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2020シーズン 浦和レッズ 新強化体制記者会見
12日、さいたま市のホテルにて、2020シーズン 浦和レッズ 新強化体制記者会見が行われ、立花洋一代表、戸苅 淳フットボール本部 本部長、土田尚史スポーツダイレクター、西野 努テクニカルダイレクターが会見に臨んだ。
立花洋一代表
「本日は年末のお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。2020シーズンの浦和レッズの新しい強化体制について、みなさんにお知らせする、そういう会でございます。
まず、この場におります3人のメンバーを紹介させていただきます。私の隣におりますのが、新設されますフットボール本部の本部長・戸苅でございます。同じく新設されます、スポーツダイレクター(SD)の土田でございます。土田の元に新設されるテクニカルダイレクター(TD)として、西野が参ります。
この新しい体制でやっていきますので、今シーズンのいろいろな経験を踏まえて、来シーズンに向けて新たな挑戦をしたいと思います。皆様、何とぞよろしくお願いします。
それでは、私の方から経緯についてご説明させていただきます。私は2年前のシーズンに副社長として浦和レッズに参りました。その際、4月に新しい強化本部というものの体制を構築して、副社長という立場で強化本部長を拝命いたしました。それ以降、今年からは代表になりましたけれども、クラブの一番大事な根幹である強化のところをずっと見てきた、という経緯がございます。そういった意味でも、責任をずっと感じて仕事をしてきたわけですが、代表といたしまして、これから浦和レッズを本当に強い、私が2年前に来たときに最大の目標として掲げたFIFAクラブワールドカップの優勝というものにチャレンジしていく、そういった強化の体制というものを考えたときに、今回、今までにない新しい発想で、新しいことをやっていける、そういったメンバーを集めることにしました。
まず戸苅に関しましては、レッズができたときからのメンバーですし、いろいろな経験をしています。そういう中で、強化という部分がどうあるべきかということを常に考えてきた人物でございます。
土田に関しましては、長い間現場で選手として、コーチとして戦ってきました。何よりも浦和を愛する気持ちが強い、浦和のことをよく知っている、浦和レッズはこうあるべきだ、というものを持っている男でございます。その土田を今回、強化の一番の中心であるSDというポジションに起用しました。
西野でございますが、西野は浦和レッズの選手、その後、今は大学の教授をしています。しかもスポーツマネジメント、これを非常に深く考えております。世界中のサッカー、あるいはクラブのスタイル、これから先々どういったサッカーがトレンドとなるのか、そういったいろいろな情報を持っていますし、知見もあります。
そういったことを考えて、3名の新しいメンバーに加わっていただいた、ということでございます。もうすでに仕事をはじめておりますので、戸苅、土田、西野と呼ばせていただいておりますが、その点はご容赦いただきたいと思います。この4人が一つになって、風通しのいい強化部門、クラブ全体に新しい風を吹き込む、そういったことをやっていきたいと考えております。
今、Jリーグは大きな過渡期に差し掛かっていると思います。その中で浦和レッズが大きく飛躍していくためには、これからみなさんにそれぞれのメンバーから話がありますが、浦和レッズをこうしていきたいんだと、あるいは我々のミッションはこうなんだというところを、一人ひとりお話をさせていただければと思います。
特に大切なのは、イノベーションを起こすことだと考えています。レッズの変革、そういったものに真摯に向き合い、そして取り組んでいきたいと考えております。我々がこれからどういったサッカーをするのか、私が2年間、一番考えなければいけないところだったと思います。それを具体化するために、どういうメンバーを集めてやっていくのが一番いいのか、そういうことで結果を出していきたいと考えています。
本当に毎試合毎試合、必死になってサポートしてくださるファン・サポーターのみなさまのことを考えると、今のままではいけない、自分がどうしてでも変えていかなければならない、やってやるぞと、そういう気持ちで一杯でございます。
一番大事なのは、これまでのいろいろな歴史を踏まえて、我々ができなかったことを自覚して、それをどういうふうに実現していくんだ、というところを具体的にお示しすることだと思っています。それをこの何日間、何週間、もっと言いますと私自身はこの夏ぐらいから、来シーズンに向けた浦和レッズの新しい体制、そういったものを考えてまいりました。それは私だけではなく、浦和レッズの幹部が全員集まって議論をして、浦和レッズのサッカーってなんなんだ、ファン・サポーターのみなさまが求めているものはなんなんだ、どうやって実現するんだ、そういったことを考えてまいりました。それを実現していくのが、私の仕事です。
今、我々の置かれている環境と言えば、これだけの熱いファン・サポーターのみなさんが集まる、そういう浦和レッズです。先日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝戦、6万人にも及ぶみなさんが、埼玉スタジアムに駆けつけてくださいました。みんなここでこういうサッカーを見たいんだ、そういうサッカーを俺たちがやらなきゃいけないんだ、ということを再認識させられました。すべての試合において、ファン・サポーターのみなさんが『埼玉スタジアムで応援したい』、そういう気持ちになるようなゲームをお見せするのが、2020シーズンだと思っています。みなさんのご期待に沿えるように、必死になってがんばって参りますので、引き続きのご支援、ご鞭撻、サポートをよろしくお願いします。私の方からは以上です」
戸苅 淳本部長
「みなさん、こんにちは。ご紹介にありました、来年1月よりフットボール本部長になります、戸苅 淳です。よろしくお願いいたします。
みなさん、私のことをご存じない方がいらっしゃるのではないかと思いますので、少し自己紹介をさせていただければと思います。私は浦和で生まれ、浦和でサッカーと共に育ちました。小学校の頃は駒場スタジアムのある駒場のグラウンドで、サッカーの楽しさを教えてもらいました。高校時代は浦和南高校に進み、故・松本暁司先生、野崎(正治)先生にサッカーの基礎から教えていただきました。大学では、井原(正巳)さん、中山(雅史選手)さん、そういった方々と一緒にサッカーを学ぶことができました。そして大学を卒業するときには、私の次のステップとしてはスポーツのビジネス、スポーツをプロ化した形を作っていくということを仕事にしていきたいと志を持ちました。当時、故・森(孝慈)監督から、『浦和レッズに来てプレーしないか』と誘っていただいて、一度はフロントの道に進みたいということでお断りをしたのですが、『サッカーをやって、その後フロントに入ればいいじゃないか』というふうに誘っていただきました。下手だったので1年だけ選手としてプレーをさせていただいて、その後希望したフロントの方に入れていただきました。それから27年間、ほぼ事業系の仕事をさせていただいて、浦和レッズの側面、そして継続性のある、浦和レッズのトップチームが活躍できるような、浦和レッズのためにビジネス等の両輪を築いてきたつもりです。そして今回、フットボール本部長という立場を任命され、来年1月から、今まで以上に覚悟を持って仕事をしていきたいと思っています。
私の役割になりますが、フットボール本部全体のマネジメントということになります。特にトップチームの投資効率は適切か、入場者数とリンクしているか、グッズの売り上げ、パートナー、そしてホームタウン活動とのリンクはしっかりされているか、そういった経営面からの視点で見ていく、という立場になります。そして私が目指すべきところは、勝利のための仕組みづくりというのをしていきたいと思っています。勝つために何をすべきなのか、そして浦和レッズが27年間、Jリーグで1回しかリーグ優勝できていない、それはなぜなのか、そういったことを探求して、そのための仕組みづくり、勝つための仕組みづくり、優勝するための仕組みづくり、そして1回だけじゃなく継続して優勝できる仕組みづくりをしていくことが、私のゴールだと思っております。そういったことを私の使命としてやっていきたいと思っています。
SD、TDの役割につきましては、先般のリリースの中でご説明させていただいていると思いますので、割愛させていただきます。
続きまして、組織の方を説明させていただきます。私の方は、トップチーム、それから育成部門、レディース部門を掌握した責任者となります。今回、大きく違うところは、SD、TDを配置して、トップチームに専念をしてもらう、特化した形で仕事をしてもらう、という点になります。そして育成部門にも専任のアカデミーダイレクターをこれから配属する予定として考えております。そしてもう一つは、フットボール戦略委員会、これは仮称ですけれども、こういったものをつくりまして、クラブの中でもフットボール本部だけではなく、他部門のスタッフからの意見を取り入れていくこと、そして外部の有識者の方、いろいろな方にいろいろな角度からご意見・情報をいただいて、ご指導をいただいて、開かれた組織にしていくようにしていきたいと思っております。
こういった新しい組織のもと、気持ちを新たに全力で戦って参りたいと思いますので、ぜひ引き続きのご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします」
土田尚史SD
「みなさん、こんにちは。来シーズンからSDという立場で仕事をさせていただきます、土田尚史です。このクラブのこの立場で仕事をしていくことの責任を感じています。このクラブをもっといいクラブにしていきたいという強い思いを持って、これから一生懸命がんばって参りますので、どうぞよろしくお願いいたします」
西野 努TD
「みなさん、こんにちは。この度、TDとして来季より仕事をすることになりました、西野と申します。
クラブに帰ってくるのは15年ぶりとなります。昨日も全社会議で挨拶をさせてもらいました。今日のこの会場もそうなのですが、なじみのある顔と、全く知らない人たちと、混ざり合っております。ですので、古株の気持ちと新たな気持ちと、両方を感じております。そうした気持ちを仕事に生かしていきたいと思っております。継続して輝けるチームづくりに貢献していきたいと思っております。よろしくお願いします」
戸苅本部長
「まずはじめに、土田さん、西野さんを選任させていただいた理由を少しお話しさせていただきます。先ほど社長からもありましたように、土田さんは長くピッチの上で選手として、コーチとしてもご活躍いただきました。トップチームの状況が、芝の上に立てば匂いで分かるような人、そういった方だと思っています。
今年は1年間、フロントで浦和レッズの中のことも知っていただきました。そういった浦和レッズのことをよく知っている方ということ、そして強いリーダーシップが、この体からみなぎるようなリーダーシップがストロングポイントだと思っています。
西野さんは選手としての実績、そしてフロントでも一緒に働いていた期間があります。そういったことで、レッズのこともよく知っています。一方で長くレッズから離れていて客観的に浦和レッズを見てきた、ここの部分が西野さんのストロングポイントであると思っています。スポーツビジネスを学び、知見があって、情報、そして人脈もたくさん持っている、そして何より、常に学び続けるという姿勢、こういったところが西野さんのストロングポイントだと思っています。
二人の共通点は、チームを強くしたいというギラギラした強烈な意志と覚悟、そういったものを感じたというのが、一番の経緯でございます。この二人から、浦和レッズの経営者の幹部が集まる会で、二人から候補者としてプレゼンテーションをしていただきました。そして浦和レッズの方向性、考え方をお互いに話し合って一致した結果、この二人に来てもらうという経緯でございます。
それでは土田尚史の方から、浦和レッズの今後の取り組みについてお話しさせていただきます」
土田SD
「これからトップチームの方針を話す前に、浦和レッズの課題を話したいと思います。この現実を直視することが、まず我々に求められていると思います。我々が抱えている課題は、一貫したコンセプトの不在です。そのチームの柱となるべき一貫したコンセプトがないため、監督選び、選手選びの基準、サッカーのスタイルがその都度変わり、短期的な結果を求め、求められ、今まで来ました。『浦和レッズのサッカーは何なの?』と問われたとき、答えられない自分がいました。これからはチームの方向性を定めて、来シーズンからスタートすることが最も重要だと考えています。
これからチームコンセプトをつくっていく上で最も大切なのが、『浦和の責任』というキーコンセプトです。浦和の街を理解し、伝えていかなければならない、サッカー文化が根付き、歴史があり、熱いファン・サポーターのみなさんが住んでいる街、そこをホームタウンとする浦和レッズには責任があります。選手はあの埼玉スタジアムで、あの環境の中でプレーをする責任を感じてプレーしなければならない、この浦和の責任を再認識し、ピッチで表現していかなければならないと考えています。
チームコンセプトを説明します。今お話ししました『浦和の責任』というキーコンセプトをベースに、チームコンセプトを3つにまとめました。
一つ目は、『個の能力を最大限に発揮する』。二つ目は姿勢として『前向き、積極的、情熱的なプレーをすること』、3つ目は『攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること』。浦和らしいサッカーとは何かと考えると、攻撃的でなければならない、2点取られても3点取る、勝つために、またゴールを奪うために一番効果的なプレーを選択すること。ファン・サポーターと選手が共に熱狂できる空間を共有し、一緒につくりあげていく、それを表現できるのは、埼玉スタジアムであり、浦和レッズにしかできないことだと思っています。
まず、攻守一体となり、途切れなく常にゴールを目指すプレーを選択することです。具体的に簡潔に説明しますと、守備は最終ラインを高く設定し、前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ボールの位置、味方の距離を設定し、奪う、攻撃、ボールをできるだけスピーディーに展開する、そのためには積極的で細やかなラインコントロールが必要になると思います。
攻撃はとにかくスピードです。運ぶ、味方のスピードを生かす、数的有利をつくる、ボールを奪ったら短時間でフィニッシュまで持っていくことです。相手が引いて守るときには時間をかけることも選択肢としてありますが、フィニッシュを仕掛けるときにはスピードを上げていくことが重要です。攻守において、認知、判断、実行のプロセス、全てのスピードを上げることが重要になります。このプロセスをチームとして共有して、パフォーマンスとして見せることを目指します。
来季から、3年の計画をつくりました。基礎づくり、変革にはある程度の時間が必要となります。一方で、常に結果を求められるクラブであることも理解しております。しかしここで目先の勝利だけを追い求めると、今までと同じことの繰り返しとなります。ですので2020年は3年改革の1年目として、変革元年としました。キーコンセプト、チームコンセプトを浸透させながら、ACLの出場、シーズン終了後、得失点差プラス2桁以上が目標となります。
2021年は飛躍の年とし、選手全員がコンセプトを理解できること、表現できることを目指し、2022年にはリーグ優勝を成し遂げたいと思っています。2023年以降は、常に安定して優勝争いをするチームとなり、リーグ連覇を成し遂げたいと思っています。
3年計画の1年目を戦う上で、大槻(毅)監督の続投を決めました。監督と議論を重ね、キーコンセプトとなる『浦和の責任』と、チームコンセプトを共有し、実行できることを合意し、監督に続投してもらうことを決めました。今シーズンについては、シーズン途中からの難しいタイミングでの就任となり、目の前の試合、目の前の勝ち点を取りにいくことを優先し、本来大槻監督が目指すサッカーに取り組むことができなかったのが事実だと思っています。しかし来シーズンはコンセプトを共有して、大槻監督の攻撃的な魅力あるサッカーを実現していけると確信しております。来シーズンはチームコンセプトをベースに、新しい選手と共に、キャンプからシーズン開幕まで、万全な準備をして挑みたいと思っています。
チーム編成システムの説明は、西野の方からしてもらいたいと思っています」
西野TD
「チームコンセプトの確立と、それをチームに落とし込んで、輝けるパフォーマンスをするチームをつくることが、我々の任務であります。それに加えて、一貫したという意味では継続性を持たせるため、そして各年代にそのコンセプトを広めていくため、その先には地域にも浦和レッズのサッカーコンセプトを広めていくために、このチーム編成システムを確立したいと考えております。
具体的に言うと、チームのコンセプトを体現する選手たちを評価する指標、言葉、数値化を行って、それを共有します。そちらでスカウティングに生かしたり、選手編成の材料として、情報の質と量を上げていくことができると考えています。そしてゆくゆくはアカデミー、地域にそれを広めていきたい、そのことによってホームグロウンの選手を増やすこと、地域のサッカーの質を上げることに貢献できると考えています。
形としては今、ドイツのSAP社をはじめとしたいろいろなシステムがあります。そのようなシステムを活用して、コーチたち、選手たちがいつでもどこでもアプローチできるものにして、広く活用し、浸透させていきたいと考えています。代表的な例としては、ドイツ代表、クラブで言うとドイツのホッフェンハイム、イングランドのリバプール、マンチェスター・シティ、そういったヨーロッパの強豪クラブは既に導入しています。
サッカー界だけではなく、これからのスポーツ界では、そうしたデータの活用やITソリューションの活用というものが非常に重要な要素になってくると考えています。そういったサイエンスメント、監督や指導者の経験値とかひらめきとか感覚的なところ、そうしたアートのところを一緒に進行させてアプローチさせていけるチームが強いチームになると考えています。
ですのでTDとしては、いくつかミッションの内の一つとして、このサイエンスを導入して、再現可能、実現可能、継続可能なチームコンセプトをつくっていきたいと考えています」
土田SD
「先日、選手みんなに伝えました。このクラブスローガン、『浦和のために最後まで走り、闘い、貫く』、こんなに重い言葉はない。浦和レッズの選手は、浦和の責任を背負い、全身全霊で浦和のために最後まで走り、闘い、貫く。これをピッチの上で表現しなくてはならない。それを約束してもらいました。
最後に、ファン・サポーターのみなさまにお伝えしたいことがあります。今、説明させていただきましたが、みなさまのご理解とご協力があって、初めて達成できる計画だと思っています。時間がかかることですし、数々のハードルが予想されます。みなさんと一緒に、強いチームとすばらしい浦和レッズをつくっていきたいと思っています。一緒に戦ってください。よろしくお願いいたします」
[質疑応答]
(監督の続投についての発表がホーム最終戦の翌日8日になったが、そうなった理由は?)
立花代表
「ACLの決勝第2戦が終わった後に、『新しい強化体制について』というリリースを出させていただきました。そこにも書かせていただいたのですが、本来、体制だったり人事に関しては、特に今年に限って言うと、最後の最後まで残留争いをしていましたので、そういうことを配慮して、シーズン終了後に発表するということがクラブとしてもありましたし、土田SDはその前から新しい監督をどういうふうにするかということを、いろいろな検討を重ねていました。そういう中で、実際に発表するのはリーグが終わってからということで、あのタイミングになりました。7日が終わって、8日がチームの解散式でした。その解散式のときに、みんなが集まっている中で、まずは中村(修三)GMがお話をされて、私としては感謝しかありませんけれども、そういった形で話しました。
今シーズンでチームを去るメンバーが部屋から退出して、その後ここにいるメンバーが、新しい監督の話をしたのですが、その日の朝一番に、大槻監督と直接2人で話をして、『昨シーズンが終わりました、来シーズンもよろしくお願いします』ということを伝えました。それが事実です」
(土田SDにお伺いします。短期的な結果はあった方が望ましいのが事実だと思う。その方が体制の安定にもつながる。そうした意味で、今季のサッカーの部分での課題がどういうところにあり、来季に向けてどういうことに取り組まなければいけないのか、どういうことに着手しているのか?)
土田SD
「今、自分が思う大切なところは、短期的なところで結果だけを求める、昨シーズン(2019)だけのことを考えるのではなく、なぜ浦和レッズがこうなっているのかということを見るのが、最重要だと思っています。先ほど申し上げた通り、コンセプトがない中、不確定の中、目先の勝利、目先の結果ばかりを追い求め、うまくいかなくなったら監督が変わり、サッカーが変わり、獲得する選手も変わり、その繰り返しを重ねていく、それは今後の浦和レッズにとって、そこは避けたい、新しい浦和レッズをつくるためには新しい目標を立て、コンセプトをつくり、チームをつくっていく、そういう流れにしないといけないと思っています。昨シーズン(2019)や来シーズンももちろん重要ですが、もっと見なければいけないところがあるのではないかと思っています。
今季(2019)に関しましては、シーズン途中の監督交代がありました。先ほど申し上げた通り、今までやってきたことと同じことを繰り返している、ということです。そういったことをもう一度ちゃんと見直す、そして来シーズンは新しいコンセプトの元、大槻監督でこれから新しいレッズをつくっていく、そういうスタートだと思っています」
西野SD
「大事なことが、今日、土田SDが話したようなクラブの、チームのコンセプトをしっかり定めて、それを大槻監督をはじめとしたコーチングスタッフとしっかり議論して、合意してもらって、クラブ主導のチームづくりのコンセプトを元に、それをピッチ上で体現してもらう、というふうに考えています。その合意をしてもらっています。なので我々はそのための準備を、チームの編成を含めて、万全の体制でシーズンをはじめられるというような体制をつくるために、今は一生懸命仕事をしています。ですのでシーズンはじめには監督が言い訳をできない環境をつくることが、我々のミッションだと思います。そうした準備をしています」
(土田SDにお聞きします。コンセプトをお示しいただいたが、これまで具体的に戦い方がどう違ってくるのか?あと、大槻監督が続投することについて、コンセプトが共有できたからだと思うが、どういう点でコンセプトを共有できて、どういうことを期待するか?)
土田SD
「まず、どういうコンセプトを共有したか、ということですが、チームづくりの上で一番ベースとなる『浦和の責任』、そこに関して大槻監督は、浦和を理解し、浦和レッズを理解し、浦和の責任という言葉の意味を本当によく理解してくれている人だと思っています。あともう一つのチームコンセプト、そこのところは先ほども申しました通り、本来大槻監督が掲げている、やりたい理想のサッカー、そこは私は大槻監督と時間を重ねて熟考してきた過去があります。その中でも共有できていたことだと思っています。そのチームコンセプトをお互いに共有することにより、本来大槻監督が持っている、そういう部分が発揮できるのではないかと思っています」
(それは、より攻撃的で素早いサッカーができるのではないか、ということへの期待か?)
土田SD
「そうです」
(GMの体制から今回の体制に変わったが、どういう風に変わったか?)
戸苅本部長
「GMは、私の本部長の立場である経営的な視点からトップチーム、それからレディース、育成という部門を見ていました。今回のSDはトップチームに特化して業務をしていただくという点が大きな違いです」
(チームの経営とかは切り離す、ということか?)
戸苅本部長
「そうです」
(立花代表と土田SD、西野TDにお伺いします。
立花代表には、今年の5月末にオリヴェイラ監督から大槻監督に移行したときに、総括的な話で、これまで20数年間のレッズの中で、特にチームの強化に対して、何をしたからうまくいったのか、何をしなかったからうまくいかなかったのか、あるいは選手の獲得、監督の交代もそうだが、そういったことを全て総括して、クラブ全体の共有をもっとしたいとおっしゃっていた。それほど時間はたっていないが、それはどこまで進んだのか?
土田SDには、先ほど大原で選手全員に浦和の責任ということを話されたと聞いたが、中には「初めて聞くよ、そんな話」という選手が、もしかしたら今年移籍してきた選手の中にはいるかもしれないが、選手の反応はどうだったか?もしそういったことが体現できない選手は、今後契約解除みたいなこともあるのか?また、契約満了になった選手がこの間2人発表されたが、そうなると日本人選手の移籍による新戦力獲得については、それほど多くはできないという理解でいいのか?
西野SDには、選手の評価を数値化するとおっしゃっていたが、現存の選手についてはできていると思うが、西野SDの目から見て、今の戦力で来季を戦った場合、優勝はそれほど大きな目標にはされていないようだが、少なくともACL出場権を争えるところで戦えるのかどうか、今の段階で結構なので、見解をお伺いしたい)
立花代表
「確かに今も覚えています。インタビューで、これまでの27年間を検証して、それを踏まえて強化につなげていく、という話をさせていただきました。もちろんそれを実行することが私の仕事ですので、その時点から、今ある浦和レッズを将来的にどういうふうな形に持っていくのか、それは私だけではなく、当然クラブ全体でいろいろな検証を行いました。それは浦和レッズがやってきたことを全て、今までうまくいったこと、いかなかったことは何だという形で抽出して、分析したことがあります。そういうことが出てきて、今ここに、27年間ずっと事業の人間として強化を見てきた戸苅であったり、実際に現場にいて、そこで何かやらなければいけないことを感じた土田SDであったり、まず人のところでそれを実現してもらおうと考えています。中身についてはいろいろありますけど、たとえば補強であったり、事業で強化の部門がどうであったのかという振り返りであったり、そういったものを認識しているメンバーに、具体的に、これから改革を進めてもらいたいと考えています」
土田SD
「選手に伝えたときの選手の状況、はっきり申しまして、この言葉の意味、重さ、理解していない選手がいるのは事実だと思っています。それは先シーズンまで私がピッチの上で仕事をしていても感じてきたことでもあります。でも、浦和レッズの選手である以上、そこを感じてプレーしなければいけない、そこは分かっていながらも理解しきれていない選手がいるのは事実だと思っています。
でもこれは、選手だけのことだけではないと思っています。実際私は、Jリーグがはじまり今まで浦和で過ごさせていただきました。その中でこの浦和レッズというクラブが、だんだん浦和との距離感が空いてきているのではないかと感じています。選手は、現場は、クラブの鏡だと思っています。選手にも要求します。浦和をもっと知ってほしい、理解してほしい。この浦和の責任というものがどういうものなのか。でもそれは、クラブがまず浦和をもっと大事にしなければいけないのではないか、そこも本当に見ていかなければいけないところだと思っています。そしてこれからチームづくりを進めていく上で、そこの理解ができない選手、そういう選手がいてはいけないクラブ、チームだと思っています。時間はかかるかもしれません。けれど、ここのところだけは、常日頃から選手に伝えていきたいことだと思っています。
移籍のことですが、確かに先ほどおっしゃった通り、選手の出し入れが、実は簡単ではない状況ではあります。選手の契約年数は、来年にまたがっている選手がほとんどです。でもその中でもやはり補強を、しっかりポイントを絞ってやっていかなければいけないと思っています。そこのところは今、進めているところです」
西野TD
「現有の戦力でどのくらいの評価をしているのか、という質問だと思うのですが、みなさん、ファン・サポーターの方とも変わらないと思います。今の戦力であれば当然、個々の能力だけを見れば、優勝争いをするべきチームだと思っています。ただチームのパフォーマンスというのは、優秀な個をそろえたらいいだけではなくて、さまざまなプレーの要素がたくさん絡んでくると思っています。ですので、そういった部分が来季に向けては課題になると思っています。
個というところに関しては、来年は現場の求める選手をしっかりと編成、補強をするというところを、今懸命に行っているところです。繰り返しますが、個の能力は、今年も十分あったと思っています」
(土田SDに、補強について質問します。浦和のために、というばかりではなかなかうまくいかないと思うが、その中でポジション的に、より具体的な補強ポイントを、現時点で話せる範囲で教えていただけるか?)
土田SD
「昨シーズン(2019)を見たときに、やはり得点、そこに関してはもっと力を入れていかなければいけないと思っています。今から攻撃的なチームを掲げてチームづくりをしていく以上、そこのところをしっかり見ないといけないと思っています。そこで今考えている補強ですが、FWには結果の残せる選手を獲得したいと思っています。そこには外国籍選手、日本人選手を問わずリストアップし、今絞って、どの選手に行くかを検討しています。
後はセンターバック、そこも重要な補強ポイントの一つと考えています」
(土田SDにお伺いします。スローガンを選手に伝えたということだが、それは8日の解散式のときか?また、今日説明したようなことをすでに選手も理解しているか?)
土田SD
「解散式のときに、自分は初めて選手たちとこの立場で顔を合わせ、最初の挨拶のときに伝えました。今現在、選手一人ひとりと面談を行っている最中です。その際に、このようなことを選手に伝えています」
(シーズンを通して選手を取材していく中で、選手側にも危機感を持っている選手が多く、選手からもクラブに意見をしていかなければならないという言葉をよく聞いていたが、実際に選手から上がってきた意見として取り入れているもので、具体的に出せるものがあれば教えていただけるか?また、出せなくても具体的に取り入れていこうと思っているものはあるか?)
土田SD
「選手も同じだと思っています。このクラブに必要なものが何か。ちゃんとしたコンセプトを持ち、ブレない浦和レッズというものの中で戦っていく、本来あるべき姿をつくってほしい、そう思っていると思います」
(西野TDに確認したい。教授などの現職は継続しながら、兼務で浦和レッズに関わっていくのか?)
西野TD
「兼務という言葉が一人歩きしているようですが、私としては、全てを投げ打って、来たいと思って調整を続けてきました。ただ、この話がはじまったのが10月末、11月の頭からで、さまざまな仕事をしているもので、それを一気に年内でゼロにすることはできませんでした。ですので僕も個人的に、さまざまな仕事で妥協点を探りながら調整をしてきました。その中で大学に関して言うと、ゼミを持っていますので、40人の責任を抱えています。僕が辞めた瞬間に場所がなくなります。ですのでそこだけは残すということで、2年間限定で週1回、大学の方で教鞭を執るということはクラブにも理解していただきました。その他のところは、(戸苅本部長に)お願いします」
戸苅本部長
「本件についてはお話をさせていただく中で、西野さんからそういう情報をいただいていました。そして浦和レッズに関して最優先で仕事をしていただくということ、そして今回、タスクとタイムラインを明確に話し合いをしています。そしたタスクをしっかりとやってもらうことを約束して、それをしっかりやってくれれば、我々としては十分であります。一方で大学に行くことによって、そこで新しい情報が入ってくる、学びが浦和レッズにとってもあると思っているので、そういった点も、浦和レッズにだけ囲うことではなくて、外に出て行ってそこで新しい情報を得てくることも、少なくともメリットとして考えています」
(戸苅本部長に伺います。先ほど西野TDからホームグロウン選手を増やしていくという話があったが、浦和を背負う責任をピッチで体現してもらうために、生え抜きの選手であればそういうものを表現してくれるという期待をする一方、他のチームから移籍してきた選手にも、そういったものを表現してくれる選手もいると思う。そのバランス、育成をどこまでトップチームに反映するかというところで、究極的な理想を言えば、ほとんどをホームグロウン選手が埋めるようなチームが理想なのか、それとも浦和を背負う責任をどれだけ体現してくれるかというところでチームを編成していきたいのか、現時点で理想みたいなものがあればお聞きしたい)
戸苅本部長
「大変失礼なのですが、来月から着任ということで、育成部の方とはまだ話が十分できていない立場で申し上げると現場に対して失礼だと思うので、あくまでも個人の見解として聞いていただきたいと思います。
やはり理想とするのは、半分くらいが育成の選手が浦和レッズのピッチに立ってもらって、外の方から入ってくる選手とのミックスになっていくということです。多分内と外のバランスというのも、外で経験したことも非常にクラブに、ウチで育ってきた選手にもメリットになることだと思うので、半々くらいが理想ではあります。ただこれは一人歩きしてはいけないことだと思いますので、あくまでも現状の私の考えとしていただければと思います」
(土田SDにお伺いします。以前から浦和の街との関わりということはすごくおっしゃってきているが、具体的に選手たちやチームに対して、浦和の街に出て行くとおっしゃっていたが、どういった活動をしていくか?頭の中で考えているものがあれば伺いたい)
土田SD
「私は今年1年、ホームタウン活動を主にサポート、それとパートナー営業のサポートをさせていただきました。その中で、地元浦和との関わりを持つホームタウン活動、さまざまな活動があると思いますが、積極的に選手にも参加してもらいたいと思っています。それから浦和レッズの大切なところの一つ、パートナーとの関わりをもっと持つことも選手には責任があると思っています。そういうところで選手を活用ではないですが、選手もそういうところに出て行くことにより、この浦和レッズを知る、そして浦和を知るということにつながっていけばいいと思っています。あとはみなさんといろいろ話をし、他にできるアイデアがあれば、どんどんそれを選手に落とし込んでやっていきたいと思っています」
(土田SDに質問です。攻撃的なサッカーを掲げるということだが、今シーズンは34試合で34得点という結果だった。来シーズン以降、数字の目標を掲げるのは難しいと思うが、現時点で構想などは?)
土田SD
「数字は本当に難しいと思いますが、先ほどお話をさせていただいた中で、シーズン終了後には得失点差プラス2桁。今シーズンが終わった中での順位表を見ていただいても分かると思うのですが、得失点差がマイナスのチームは、上位にはいないはずです。しかも得失点プラス2桁となると、上位5チーム、6チームに限られてくると思います。ということは十分ACLも狙えるポジションにつけられるのではないかと思っています。数字のことは本当に難しいのですが、それぐらいの目標を定めて、攻撃力のある、得点力のあるチームをつくっていきたいと思っています」
(ファン・サポーターが混乱しているところがあると思うが、新しいコンセプトというキーワードが非常に分かりづらく、昨年の浦和レッズの理念に関しても、クラブ創設当初から3つのすばらしい、憲法のような活動理念があったと思う。それを前代表が事細かく分かりやすくしようとしたが、残念ながら分かりづらかった。それが途中の段階で新しいコンセプトみたいな言葉が出てきたことで、混乱しているのではないか。実際、土田SD、西野TD、戸苅本部長がおっしゃっていることは、原点回帰の方に近いのではないかと思う。攻撃はスピードというところも、犬飼元代表がおっしゃったキャッチフレーズに当てはまっているし、亡くなった森孝慈さんもおっしゃったことがみなさんから出ている感じがして、新しいことではなく、原点回帰ではないかと思う。そこが整理されないと、正しいことをおっしゃっても伝わらないのではないかと思うが、その辺をどのように考えているか?みなさんでまだうまく話し合われていないのではないかということが伝わってくるが、新しいコンセプトというのが分かりづらくて、熱狂を取り戻したいとか、そっちの方が具体的だと思う。6万人入っても、熱狂はなかった。そういう部分でどうやったら熱狂を取り戻せるのか、そのためには順位がこのくらい必要とか、それが明確なビジョンだと思う。ファン・サポーターはそういうことを求めていると思うが、その辺が分かりづらいので、新しいコンセプトとは、ひと言で言えばどういうことか?原点回帰でいいのではないかと思うが)
戸苅本部長
「とてもいい意見で、おっしゃることも分かります。当然浦和レッズの理念は普遍的なものなので、それが変わることはありません。今回、その上でトップチームに関して、戦うための姿勢のコンセプトというところ、そしてチームコンセプトとしてどういう戦い方をするのか、そこを強調したいというのが、今回僕らの表現、新しいと言っているところだと思います。一方でおっしゃる通り、フットボールは普遍的なもので変わらないところもあるので、言っているベーシックな部分は変わっていないところが原点回帰だとおっしゃることも分かると思います。ある意味原点に立ち返ってもう一回そこを見直して、あらためて再出発していこうと、そういうことに捉えられる部分もあるのではないかと思います。言っていることは確かに、新しいという言い方もできると思いますし、一方で原点に帰って、初心の気持ちになってやっていこうということもあろうかと思います」
(選手理念を昨年つくったが、そこのところも兼ね合わせて話していただけると分かりやすいと思うが?)
戸苅本部長
「昨年、選手理念の方を、今までなかったのでつくらせていただきました。選手に浸透をさせていく、その中で『浦和を背負う責任』というのもございます。そういった中の一部で特に、土田SDが一番大事にするところ、強調していきたいところ、選手理念は全部大事ですが、その中でも一番ベーシックにあるところが『浦和を背負う責任』、そこにフォーカスして、これから中長期計画を立てていく上で、最初に取り組みたいところがそこの部分です」
(話を聞いていて、容易なことではないと思う。時折、そういう容易ではないことを救ってくれた選手が何人かいて、それがスタジアムに熱狂を生んだと思う。古くは岡野(雅行)さん、岡野さんがいなくなったら(田中マルクス)闘莉王選手がスタジアムに熱狂を運んでくれた。今はそういう、足が折れても、ケガしてもチームのために戦うような選手、期待できる選手はいるのか?そういう熱を発散できる、期待できる選手はいるか?)
土田SD
「私から個人名を出すのは難しいですが、います」
立花代表
「来たる2020シーズンに向けて、このメンバーで戦って参りますので、引き続きのご支援をお願いいたします。本日は誠にありがとうございました」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】
立花洋一代表
「本日は年末のお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。2020シーズンの浦和レッズの新しい強化体制について、みなさんにお知らせする、そういう会でございます。
まず、この場におります3人のメンバーを紹介させていただきます。私の隣におりますのが、新設されますフットボール本部の本部長・戸苅でございます。同じく新設されます、スポーツダイレクター(SD)の土田でございます。土田の元に新設されるテクニカルダイレクター(TD)として、西野が参ります。
この新しい体制でやっていきますので、今シーズンのいろいろな経験を踏まえて、来シーズンに向けて新たな挑戦をしたいと思います。皆様、何とぞよろしくお願いします。
それでは、私の方から経緯についてご説明させていただきます。私は2年前のシーズンに副社長として浦和レッズに参りました。その際、4月に新しい強化本部というものの体制を構築して、副社長という立場で強化本部長を拝命いたしました。それ以降、今年からは代表になりましたけれども、クラブの一番大事な根幹である強化のところをずっと見てきた、という経緯がございます。そういった意味でも、責任をずっと感じて仕事をしてきたわけですが、代表といたしまして、これから浦和レッズを本当に強い、私が2年前に来たときに最大の目標として掲げたFIFAクラブワールドカップの優勝というものにチャレンジしていく、そういった強化の体制というものを考えたときに、今回、今までにない新しい発想で、新しいことをやっていける、そういったメンバーを集めることにしました。
まず戸苅に関しましては、レッズができたときからのメンバーですし、いろいろな経験をしています。そういう中で、強化という部分がどうあるべきかということを常に考えてきた人物でございます。
土田に関しましては、長い間現場で選手として、コーチとして戦ってきました。何よりも浦和を愛する気持ちが強い、浦和のことをよく知っている、浦和レッズはこうあるべきだ、というものを持っている男でございます。その土田を今回、強化の一番の中心であるSDというポジションに起用しました。
西野でございますが、西野は浦和レッズの選手、その後、今は大学の教授をしています。しかもスポーツマネジメント、これを非常に深く考えております。世界中のサッカー、あるいはクラブのスタイル、これから先々どういったサッカーがトレンドとなるのか、そういったいろいろな情報を持っていますし、知見もあります。
そういったことを考えて、3名の新しいメンバーに加わっていただいた、ということでございます。もうすでに仕事をはじめておりますので、戸苅、土田、西野と呼ばせていただいておりますが、その点はご容赦いただきたいと思います。この4人が一つになって、風通しのいい強化部門、クラブ全体に新しい風を吹き込む、そういったことをやっていきたいと考えております。
今、Jリーグは大きな過渡期に差し掛かっていると思います。その中で浦和レッズが大きく飛躍していくためには、これからみなさんにそれぞれのメンバーから話がありますが、浦和レッズをこうしていきたいんだと、あるいは我々のミッションはこうなんだというところを、一人ひとりお話をさせていただければと思います。
特に大切なのは、イノベーションを起こすことだと考えています。レッズの変革、そういったものに真摯に向き合い、そして取り組んでいきたいと考えております。我々がこれからどういったサッカーをするのか、私が2年間、一番考えなければいけないところだったと思います。それを具体化するために、どういうメンバーを集めてやっていくのが一番いいのか、そういうことで結果を出していきたいと考えています。
本当に毎試合毎試合、必死になってサポートしてくださるファン・サポーターのみなさまのことを考えると、今のままではいけない、自分がどうしてでも変えていかなければならない、やってやるぞと、そういう気持ちで一杯でございます。
一番大事なのは、これまでのいろいろな歴史を踏まえて、我々ができなかったことを自覚して、それをどういうふうに実現していくんだ、というところを具体的にお示しすることだと思っています。それをこの何日間、何週間、もっと言いますと私自身はこの夏ぐらいから、来シーズンに向けた浦和レッズの新しい体制、そういったものを考えてまいりました。それは私だけではなく、浦和レッズの幹部が全員集まって議論をして、浦和レッズのサッカーってなんなんだ、ファン・サポーターのみなさまが求めているものはなんなんだ、どうやって実現するんだ、そういったことを考えてまいりました。それを実現していくのが、私の仕事です。
今、我々の置かれている環境と言えば、これだけの熱いファン・サポーターのみなさんが集まる、そういう浦和レッズです。先日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝戦、6万人にも及ぶみなさんが、埼玉スタジアムに駆けつけてくださいました。みんなここでこういうサッカーを見たいんだ、そういうサッカーを俺たちがやらなきゃいけないんだ、ということを再認識させられました。すべての試合において、ファン・サポーターのみなさんが『埼玉スタジアムで応援したい』、そういう気持ちになるようなゲームをお見せするのが、2020シーズンだと思っています。みなさんのご期待に沿えるように、必死になってがんばって参りますので、引き続きのご支援、ご鞭撻、サポートをよろしくお願いします。私の方からは以上です」
戸苅 淳本部長
「みなさん、こんにちは。ご紹介にありました、来年1月よりフットボール本部長になります、戸苅 淳です。よろしくお願いいたします。
みなさん、私のことをご存じない方がいらっしゃるのではないかと思いますので、少し自己紹介をさせていただければと思います。私は浦和で生まれ、浦和でサッカーと共に育ちました。小学校の頃は駒場スタジアムのある駒場のグラウンドで、サッカーの楽しさを教えてもらいました。高校時代は浦和南高校に進み、故・松本暁司先生、野崎(正治)先生にサッカーの基礎から教えていただきました。大学では、井原(正巳)さん、中山(雅史選手)さん、そういった方々と一緒にサッカーを学ぶことができました。そして大学を卒業するときには、私の次のステップとしてはスポーツのビジネス、スポーツをプロ化した形を作っていくということを仕事にしていきたいと志を持ちました。当時、故・森(孝慈)監督から、『浦和レッズに来てプレーしないか』と誘っていただいて、一度はフロントの道に進みたいということでお断りをしたのですが、『サッカーをやって、その後フロントに入ればいいじゃないか』というふうに誘っていただきました。下手だったので1年だけ選手としてプレーをさせていただいて、その後希望したフロントの方に入れていただきました。それから27年間、ほぼ事業系の仕事をさせていただいて、浦和レッズの側面、そして継続性のある、浦和レッズのトップチームが活躍できるような、浦和レッズのためにビジネス等の両輪を築いてきたつもりです。そして今回、フットボール本部長という立場を任命され、来年1月から、今まで以上に覚悟を持って仕事をしていきたいと思っています。
私の役割になりますが、フットボール本部全体のマネジメントということになります。特にトップチームの投資効率は適切か、入場者数とリンクしているか、グッズの売り上げ、パートナー、そしてホームタウン活動とのリンクはしっかりされているか、そういった経営面からの視点で見ていく、という立場になります。そして私が目指すべきところは、勝利のための仕組みづくりというのをしていきたいと思っています。勝つために何をすべきなのか、そして浦和レッズが27年間、Jリーグで1回しかリーグ優勝できていない、それはなぜなのか、そういったことを探求して、そのための仕組みづくり、勝つための仕組みづくり、優勝するための仕組みづくり、そして1回だけじゃなく継続して優勝できる仕組みづくりをしていくことが、私のゴールだと思っております。そういったことを私の使命としてやっていきたいと思っています。
SD、TDの役割につきましては、先般のリリースの中でご説明させていただいていると思いますので、割愛させていただきます。
続きまして、組織の方を説明させていただきます。私の方は、トップチーム、それから育成部門、レディース部門を掌握した責任者となります。今回、大きく違うところは、SD、TDを配置して、トップチームに専念をしてもらう、特化した形で仕事をしてもらう、という点になります。そして育成部門にも専任のアカデミーダイレクターをこれから配属する予定として考えております。そしてもう一つは、フットボール戦略委員会、これは仮称ですけれども、こういったものをつくりまして、クラブの中でもフットボール本部だけではなく、他部門のスタッフからの意見を取り入れていくこと、そして外部の有識者の方、いろいろな方にいろいろな角度からご意見・情報をいただいて、ご指導をいただいて、開かれた組織にしていくようにしていきたいと思っております。
こういった新しい組織のもと、気持ちを新たに全力で戦って参りたいと思いますので、ぜひ引き続きのご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします」
土田尚史SD
「みなさん、こんにちは。来シーズンからSDという立場で仕事をさせていただきます、土田尚史です。このクラブのこの立場で仕事をしていくことの責任を感じています。このクラブをもっといいクラブにしていきたいという強い思いを持って、これから一生懸命がんばって参りますので、どうぞよろしくお願いいたします」
西野 努TD
「みなさん、こんにちは。この度、TDとして来季より仕事をすることになりました、西野と申します。
クラブに帰ってくるのは15年ぶりとなります。昨日も全社会議で挨拶をさせてもらいました。今日のこの会場もそうなのですが、なじみのある顔と、全く知らない人たちと、混ざり合っております。ですので、古株の気持ちと新たな気持ちと、両方を感じております。そうした気持ちを仕事に生かしていきたいと思っております。継続して輝けるチームづくりに貢献していきたいと思っております。よろしくお願いします」
戸苅本部長
「まずはじめに、土田さん、西野さんを選任させていただいた理由を少しお話しさせていただきます。先ほど社長からもありましたように、土田さんは長くピッチの上で選手として、コーチとしてもご活躍いただきました。トップチームの状況が、芝の上に立てば匂いで分かるような人、そういった方だと思っています。
今年は1年間、フロントで浦和レッズの中のことも知っていただきました。そういった浦和レッズのことをよく知っている方ということ、そして強いリーダーシップが、この体からみなぎるようなリーダーシップがストロングポイントだと思っています。
西野さんは選手としての実績、そしてフロントでも一緒に働いていた期間があります。そういったことで、レッズのこともよく知っています。一方で長くレッズから離れていて客観的に浦和レッズを見てきた、ここの部分が西野さんのストロングポイントであると思っています。スポーツビジネスを学び、知見があって、情報、そして人脈もたくさん持っている、そして何より、常に学び続けるという姿勢、こういったところが西野さんのストロングポイントだと思っています。
二人の共通点は、チームを強くしたいというギラギラした強烈な意志と覚悟、そういったものを感じたというのが、一番の経緯でございます。この二人から、浦和レッズの経営者の幹部が集まる会で、二人から候補者としてプレゼンテーションをしていただきました。そして浦和レッズの方向性、考え方をお互いに話し合って一致した結果、この二人に来てもらうという経緯でございます。
それでは土田尚史の方から、浦和レッズの今後の取り組みについてお話しさせていただきます」
土田SD
「これからトップチームの方針を話す前に、浦和レッズの課題を話したいと思います。この現実を直視することが、まず我々に求められていると思います。我々が抱えている課題は、一貫したコンセプトの不在です。そのチームの柱となるべき一貫したコンセプトがないため、監督選び、選手選びの基準、サッカーのスタイルがその都度変わり、短期的な結果を求め、求められ、今まで来ました。『浦和レッズのサッカーは何なの?』と問われたとき、答えられない自分がいました。これからはチームの方向性を定めて、来シーズンからスタートすることが最も重要だと考えています。
これからチームコンセプトをつくっていく上で最も大切なのが、『浦和の責任』というキーコンセプトです。浦和の街を理解し、伝えていかなければならない、サッカー文化が根付き、歴史があり、熱いファン・サポーターのみなさんが住んでいる街、そこをホームタウンとする浦和レッズには責任があります。選手はあの埼玉スタジアムで、あの環境の中でプレーをする責任を感じてプレーしなければならない、この浦和の責任を再認識し、ピッチで表現していかなければならないと考えています。
チームコンセプトを説明します。今お話ししました『浦和の責任』というキーコンセプトをベースに、チームコンセプトを3つにまとめました。
一つ目は、『個の能力を最大限に発揮する』。二つ目は姿勢として『前向き、積極的、情熱的なプレーをすること』、3つ目は『攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること』。浦和らしいサッカーとは何かと考えると、攻撃的でなければならない、2点取られても3点取る、勝つために、またゴールを奪うために一番効果的なプレーを選択すること。ファン・サポーターと選手が共に熱狂できる空間を共有し、一緒につくりあげていく、それを表現できるのは、埼玉スタジアムであり、浦和レッズにしかできないことだと思っています。
まず、攻守一体となり、途切れなく常にゴールを目指すプレーを選択することです。具体的に簡潔に説明しますと、守備は最終ラインを高く設定し、前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ボールの位置、味方の距離を設定し、奪う、攻撃、ボールをできるだけスピーディーに展開する、そのためには積極的で細やかなラインコントロールが必要になると思います。
攻撃はとにかくスピードです。運ぶ、味方のスピードを生かす、数的有利をつくる、ボールを奪ったら短時間でフィニッシュまで持っていくことです。相手が引いて守るときには時間をかけることも選択肢としてありますが、フィニッシュを仕掛けるときにはスピードを上げていくことが重要です。攻守において、認知、判断、実行のプロセス、全てのスピードを上げることが重要になります。このプロセスをチームとして共有して、パフォーマンスとして見せることを目指します。
来季から、3年の計画をつくりました。基礎づくり、変革にはある程度の時間が必要となります。一方で、常に結果を求められるクラブであることも理解しております。しかしここで目先の勝利だけを追い求めると、今までと同じことの繰り返しとなります。ですので2020年は3年改革の1年目として、変革元年としました。キーコンセプト、チームコンセプトを浸透させながら、ACLの出場、シーズン終了後、得失点差プラス2桁以上が目標となります。
2021年は飛躍の年とし、選手全員がコンセプトを理解できること、表現できることを目指し、2022年にはリーグ優勝を成し遂げたいと思っています。2023年以降は、常に安定して優勝争いをするチームとなり、リーグ連覇を成し遂げたいと思っています。
3年計画の1年目を戦う上で、大槻(毅)監督の続投を決めました。監督と議論を重ね、キーコンセプトとなる『浦和の責任』と、チームコンセプトを共有し、実行できることを合意し、監督に続投してもらうことを決めました。今シーズンについては、シーズン途中からの難しいタイミングでの就任となり、目の前の試合、目の前の勝ち点を取りにいくことを優先し、本来大槻監督が目指すサッカーに取り組むことができなかったのが事実だと思っています。しかし来シーズンはコンセプトを共有して、大槻監督の攻撃的な魅力あるサッカーを実現していけると確信しております。来シーズンはチームコンセプトをベースに、新しい選手と共に、キャンプからシーズン開幕まで、万全な準備をして挑みたいと思っています。
チーム編成システムの説明は、西野の方からしてもらいたいと思っています」
西野TD
「チームコンセプトの確立と、それをチームに落とし込んで、輝けるパフォーマンスをするチームをつくることが、我々の任務であります。それに加えて、一貫したという意味では継続性を持たせるため、そして各年代にそのコンセプトを広めていくため、その先には地域にも浦和レッズのサッカーコンセプトを広めていくために、このチーム編成システムを確立したいと考えております。
具体的に言うと、チームのコンセプトを体現する選手たちを評価する指標、言葉、数値化を行って、それを共有します。そちらでスカウティングに生かしたり、選手編成の材料として、情報の質と量を上げていくことができると考えています。そしてゆくゆくはアカデミー、地域にそれを広めていきたい、そのことによってホームグロウンの選手を増やすこと、地域のサッカーの質を上げることに貢献できると考えています。
形としては今、ドイツのSAP社をはじめとしたいろいろなシステムがあります。そのようなシステムを活用して、コーチたち、選手たちがいつでもどこでもアプローチできるものにして、広く活用し、浸透させていきたいと考えています。代表的な例としては、ドイツ代表、クラブで言うとドイツのホッフェンハイム、イングランドのリバプール、マンチェスター・シティ、そういったヨーロッパの強豪クラブは既に導入しています。
サッカー界だけではなく、これからのスポーツ界では、そうしたデータの活用やITソリューションの活用というものが非常に重要な要素になってくると考えています。そういったサイエンスメント、監督や指導者の経験値とかひらめきとか感覚的なところ、そうしたアートのところを一緒に進行させてアプローチさせていけるチームが強いチームになると考えています。
ですのでTDとしては、いくつかミッションの内の一つとして、このサイエンスを導入して、再現可能、実現可能、継続可能なチームコンセプトをつくっていきたいと考えています」
土田SD
「先日、選手みんなに伝えました。このクラブスローガン、『浦和のために最後まで走り、闘い、貫く』、こんなに重い言葉はない。浦和レッズの選手は、浦和の責任を背負い、全身全霊で浦和のために最後まで走り、闘い、貫く。これをピッチの上で表現しなくてはならない。それを約束してもらいました。
最後に、ファン・サポーターのみなさまにお伝えしたいことがあります。今、説明させていただきましたが、みなさまのご理解とご協力があって、初めて達成できる計画だと思っています。時間がかかることですし、数々のハードルが予想されます。みなさんと一緒に、強いチームとすばらしい浦和レッズをつくっていきたいと思っています。一緒に戦ってください。よろしくお願いいたします」
[質疑応答]
(監督の続投についての発表がホーム最終戦の翌日8日になったが、そうなった理由は?)
立花代表
「ACLの決勝第2戦が終わった後に、『新しい強化体制について』というリリースを出させていただきました。そこにも書かせていただいたのですが、本来、体制だったり人事に関しては、特に今年に限って言うと、最後の最後まで残留争いをしていましたので、そういうことを配慮して、シーズン終了後に発表するということがクラブとしてもありましたし、土田SDはその前から新しい監督をどういうふうにするかということを、いろいろな検討を重ねていました。そういう中で、実際に発表するのはリーグが終わってからということで、あのタイミングになりました。7日が終わって、8日がチームの解散式でした。その解散式のときに、みんなが集まっている中で、まずは中村(修三)GMがお話をされて、私としては感謝しかありませんけれども、そういった形で話しました。
今シーズンでチームを去るメンバーが部屋から退出して、その後ここにいるメンバーが、新しい監督の話をしたのですが、その日の朝一番に、大槻監督と直接2人で話をして、『昨シーズンが終わりました、来シーズンもよろしくお願いします』ということを伝えました。それが事実です」
(土田SDにお伺いします。短期的な結果はあった方が望ましいのが事実だと思う。その方が体制の安定にもつながる。そうした意味で、今季のサッカーの部分での課題がどういうところにあり、来季に向けてどういうことに取り組まなければいけないのか、どういうことに着手しているのか?)
土田SD
「今、自分が思う大切なところは、短期的なところで結果だけを求める、昨シーズン(2019)だけのことを考えるのではなく、なぜ浦和レッズがこうなっているのかということを見るのが、最重要だと思っています。先ほど申し上げた通り、コンセプトがない中、不確定の中、目先の勝利、目先の結果ばかりを追い求め、うまくいかなくなったら監督が変わり、サッカーが変わり、獲得する選手も変わり、その繰り返しを重ねていく、それは今後の浦和レッズにとって、そこは避けたい、新しい浦和レッズをつくるためには新しい目標を立て、コンセプトをつくり、チームをつくっていく、そういう流れにしないといけないと思っています。昨シーズン(2019)や来シーズンももちろん重要ですが、もっと見なければいけないところがあるのではないかと思っています。
今季(2019)に関しましては、シーズン途中の監督交代がありました。先ほど申し上げた通り、今までやってきたことと同じことを繰り返している、ということです。そういったことをもう一度ちゃんと見直す、そして来シーズンは新しいコンセプトの元、大槻監督でこれから新しいレッズをつくっていく、そういうスタートだと思っています」
西野SD
「大事なことが、今日、土田SDが話したようなクラブの、チームのコンセプトをしっかり定めて、それを大槻監督をはじめとしたコーチングスタッフとしっかり議論して、合意してもらって、クラブ主導のチームづくりのコンセプトを元に、それをピッチ上で体現してもらう、というふうに考えています。その合意をしてもらっています。なので我々はそのための準備を、チームの編成を含めて、万全の体制でシーズンをはじめられるというような体制をつくるために、今は一生懸命仕事をしています。ですのでシーズンはじめには監督が言い訳をできない環境をつくることが、我々のミッションだと思います。そうした準備をしています」
(土田SDにお聞きします。コンセプトをお示しいただいたが、これまで具体的に戦い方がどう違ってくるのか?あと、大槻監督が続投することについて、コンセプトが共有できたからだと思うが、どういう点でコンセプトを共有できて、どういうことを期待するか?)
土田SD
「まず、どういうコンセプトを共有したか、ということですが、チームづくりの上で一番ベースとなる『浦和の責任』、そこに関して大槻監督は、浦和を理解し、浦和レッズを理解し、浦和の責任という言葉の意味を本当によく理解してくれている人だと思っています。あともう一つのチームコンセプト、そこのところは先ほども申しました通り、本来大槻監督が掲げている、やりたい理想のサッカー、そこは私は大槻監督と時間を重ねて熟考してきた過去があります。その中でも共有できていたことだと思っています。そのチームコンセプトをお互いに共有することにより、本来大槻監督が持っている、そういう部分が発揮できるのではないかと思っています」
(それは、より攻撃的で素早いサッカーができるのではないか、ということへの期待か?)
土田SD
「そうです」
(GMの体制から今回の体制に変わったが、どういう風に変わったか?)
戸苅本部長
「GMは、私の本部長の立場である経営的な視点からトップチーム、それからレディース、育成という部門を見ていました。今回のSDはトップチームに特化して業務をしていただくという点が大きな違いです」
(チームの経営とかは切り離す、ということか?)
戸苅本部長
「そうです」
(立花代表と土田SD、西野TDにお伺いします。
立花代表には、今年の5月末にオリヴェイラ監督から大槻監督に移行したときに、総括的な話で、これまで20数年間のレッズの中で、特にチームの強化に対して、何をしたからうまくいったのか、何をしなかったからうまくいかなかったのか、あるいは選手の獲得、監督の交代もそうだが、そういったことを全て総括して、クラブ全体の共有をもっとしたいとおっしゃっていた。それほど時間はたっていないが、それはどこまで進んだのか?
土田SDには、先ほど大原で選手全員に浦和の責任ということを話されたと聞いたが、中には「初めて聞くよ、そんな話」という選手が、もしかしたら今年移籍してきた選手の中にはいるかもしれないが、選手の反応はどうだったか?もしそういったことが体現できない選手は、今後契約解除みたいなこともあるのか?また、契約満了になった選手がこの間2人発表されたが、そうなると日本人選手の移籍による新戦力獲得については、それほど多くはできないという理解でいいのか?
西野SDには、選手の評価を数値化するとおっしゃっていたが、現存の選手についてはできていると思うが、西野SDの目から見て、今の戦力で来季を戦った場合、優勝はそれほど大きな目標にはされていないようだが、少なくともACL出場権を争えるところで戦えるのかどうか、今の段階で結構なので、見解をお伺いしたい)
立花代表
「確かに今も覚えています。インタビューで、これまでの27年間を検証して、それを踏まえて強化につなげていく、という話をさせていただきました。もちろんそれを実行することが私の仕事ですので、その時点から、今ある浦和レッズを将来的にどういうふうな形に持っていくのか、それは私だけではなく、当然クラブ全体でいろいろな検証を行いました。それは浦和レッズがやってきたことを全て、今までうまくいったこと、いかなかったことは何だという形で抽出して、分析したことがあります。そういうことが出てきて、今ここに、27年間ずっと事業の人間として強化を見てきた戸苅であったり、実際に現場にいて、そこで何かやらなければいけないことを感じた土田SDであったり、まず人のところでそれを実現してもらおうと考えています。中身についてはいろいろありますけど、たとえば補強であったり、事業で強化の部門がどうであったのかという振り返りであったり、そういったものを認識しているメンバーに、具体的に、これから改革を進めてもらいたいと考えています」
土田SD
「選手に伝えたときの選手の状況、はっきり申しまして、この言葉の意味、重さ、理解していない選手がいるのは事実だと思っています。それは先シーズンまで私がピッチの上で仕事をしていても感じてきたことでもあります。でも、浦和レッズの選手である以上、そこを感じてプレーしなければいけない、そこは分かっていながらも理解しきれていない選手がいるのは事実だと思っています。
でもこれは、選手だけのことだけではないと思っています。実際私は、Jリーグがはじまり今まで浦和で過ごさせていただきました。その中でこの浦和レッズというクラブが、だんだん浦和との距離感が空いてきているのではないかと感じています。選手は、現場は、クラブの鏡だと思っています。選手にも要求します。浦和をもっと知ってほしい、理解してほしい。この浦和の責任というものがどういうものなのか。でもそれは、クラブがまず浦和をもっと大事にしなければいけないのではないか、そこも本当に見ていかなければいけないところだと思っています。そしてこれからチームづくりを進めていく上で、そこの理解ができない選手、そういう選手がいてはいけないクラブ、チームだと思っています。時間はかかるかもしれません。けれど、ここのところだけは、常日頃から選手に伝えていきたいことだと思っています。
移籍のことですが、確かに先ほどおっしゃった通り、選手の出し入れが、実は簡単ではない状況ではあります。選手の契約年数は、来年にまたがっている選手がほとんどです。でもその中でもやはり補強を、しっかりポイントを絞ってやっていかなければいけないと思っています。そこのところは今、進めているところです」
西野TD
「現有の戦力でどのくらいの評価をしているのか、という質問だと思うのですが、みなさん、ファン・サポーターの方とも変わらないと思います。今の戦力であれば当然、個々の能力だけを見れば、優勝争いをするべきチームだと思っています。ただチームのパフォーマンスというのは、優秀な個をそろえたらいいだけではなくて、さまざまなプレーの要素がたくさん絡んでくると思っています。ですので、そういった部分が来季に向けては課題になると思っています。
個というところに関しては、来年は現場の求める選手をしっかりと編成、補強をするというところを、今懸命に行っているところです。繰り返しますが、個の能力は、今年も十分あったと思っています」
(土田SDに、補強について質問します。浦和のために、というばかりではなかなかうまくいかないと思うが、その中でポジション的に、より具体的な補強ポイントを、現時点で話せる範囲で教えていただけるか?)
土田SD
「昨シーズン(2019)を見たときに、やはり得点、そこに関してはもっと力を入れていかなければいけないと思っています。今から攻撃的なチームを掲げてチームづくりをしていく以上、そこのところをしっかり見ないといけないと思っています。そこで今考えている補強ですが、FWには結果の残せる選手を獲得したいと思っています。そこには外国籍選手、日本人選手を問わずリストアップし、今絞って、どの選手に行くかを検討しています。
後はセンターバック、そこも重要な補強ポイントの一つと考えています」
(土田SDにお伺いします。スローガンを選手に伝えたということだが、それは8日の解散式のときか?また、今日説明したようなことをすでに選手も理解しているか?)
土田SD
「解散式のときに、自分は初めて選手たちとこの立場で顔を合わせ、最初の挨拶のときに伝えました。今現在、選手一人ひとりと面談を行っている最中です。その際に、このようなことを選手に伝えています」
(シーズンを通して選手を取材していく中で、選手側にも危機感を持っている選手が多く、選手からもクラブに意見をしていかなければならないという言葉をよく聞いていたが、実際に選手から上がってきた意見として取り入れているもので、具体的に出せるものがあれば教えていただけるか?また、出せなくても具体的に取り入れていこうと思っているものはあるか?)
土田SD
「選手も同じだと思っています。このクラブに必要なものが何か。ちゃんとしたコンセプトを持ち、ブレない浦和レッズというものの中で戦っていく、本来あるべき姿をつくってほしい、そう思っていると思います」
(西野TDに確認したい。教授などの現職は継続しながら、兼務で浦和レッズに関わっていくのか?)
西野TD
「兼務という言葉が一人歩きしているようですが、私としては、全てを投げ打って、来たいと思って調整を続けてきました。ただ、この話がはじまったのが10月末、11月の頭からで、さまざまな仕事をしているもので、それを一気に年内でゼロにすることはできませんでした。ですので僕も個人的に、さまざまな仕事で妥協点を探りながら調整をしてきました。その中で大学に関して言うと、ゼミを持っていますので、40人の責任を抱えています。僕が辞めた瞬間に場所がなくなります。ですのでそこだけは残すということで、2年間限定で週1回、大学の方で教鞭を執るということはクラブにも理解していただきました。その他のところは、(戸苅本部長に)お願いします」
戸苅本部長
「本件についてはお話をさせていただく中で、西野さんからそういう情報をいただいていました。そして浦和レッズに関して最優先で仕事をしていただくということ、そして今回、タスクとタイムラインを明確に話し合いをしています。そしたタスクをしっかりとやってもらうことを約束して、それをしっかりやってくれれば、我々としては十分であります。一方で大学に行くことによって、そこで新しい情報が入ってくる、学びが浦和レッズにとってもあると思っているので、そういった点も、浦和レッズにだけ囲うことではなくて、外に出て行ってそこで新しい情報を得てくることも、少なくともメリットとして考えています」
(戸苅本部長に伺います。先ほど西野TDからホームグロウン選手を増やしていくという話があったが、浦和を背負う責任をピッチで体現してもらうために、生え抜きの選手であればそういうものを表現してくれるという期待をする一方、他のチームから移籍してきた選手にも、そういったものを表現してくれる選手もいると思う。そのバランス、育成をどこまでトップチームに反映するかというところで、究極的な理想を言えば、ほとんどをホームグロウン選手が埋めるようなチームが理想なのか、それとも浦和を背負う責任をどれだけ体現してくれるかというところでチームを編成していきたいのか、現時点で理想みたいなものがあればお聞きしたい)
戸苅本部長
「大変失礼なのですが、来月から着任ということで、育成部の方とはまだ話が十分できていない立場で申し上げると現場に対して失礼だと思うので、あくまでも個人の見解として聞いていただきたいと思います。
やはり理想とするのは、半分くらいが育成の選手が浦和レッズのピッチに立ってもらって、外の方から入ってくる選手とのミックスになっていくということです。多分内と外のバランスというのも、外で経験したことも非常にクラブに、ウチで育ってきた選手にもメリットになることだと思うので、半々くらいが理想ではあります。ただこれは一人歩きしてはいけないことだと思いますので、あくまでも現状の私の考えとしていただければと思います」
(土田SDにお伺いします。以前から浦和の街との関わりということはすごくおっしゃってきているが、具体的に選手たちやチームに対して、浦和の街に出て行くとおっしゃっていたが、どういった活動をしていくか?頭の中で考えているものがあれば伺いたい)
土田SD
「私は今年1年、ホームタウン活動を主にサポート、それとパートナー営業のサポートをさせていただきました。その中で、地元浦和との関わりを持つホームタウン活動、さまざまな活動があると思いますが、積極的に選手にも参加してもらいたいと思っています。それから浦和レッズの大切なところの一つ、パートナーとの関わりをもっと持つことも選手には責任があると思っています。そういうところで選手を活用ではないですが、選手もそういうところに出て行くことにより、この浦和レッズを知る、そして浦和を知るということにつながっていけばいいと思っています。あとはみなさんといろいろ話をし、他にできるアイデアがあれば、どんどんそれを選手に落とし込んでやっていきたいと思っています」
(土田SDに質問です。攻撃的なサッカーを掲げるということだが、今シーズンは34試合で34得点という結果だった。来シーズン以降、数字の目標を掲げるのは難しいと思うが、現時点で構想などは?)
土田SD
「数字は本当に難しいと思いますが、先ほどお話をさせていただいた中で、シーズン終了後には得失点差プラス2桁。今シーズンが終わった中での順位表を見ていただいても分かると思うのですが、得失点差がマイナスのチームは、上位にはいないはずです。しかも得失点プラス2桁となると、上位5チーム、6チームに限られてくると思います。ということは十分ACLも狙えるポジションにつけられるのではないかと思っています。数字のことは本当に難しいのですが、それぐらいの目標を定めて、攻撃力のある、得点力のあるチームをつくっていきたいと思っています」
(ファン・サポーターが混乱しているところがあると思うが、新しいコンセプトというキーワードが非常に分かりづらく、昨年の浦和レッズの理念に関しても、クラブ創設当初から3つのすばらしい、憲法のような活動理念があったと思う。それを前代表が事細かく分かりやすくしようとしたが、残念ながら分かりづらかった。それが途中の段階で新しいコンセプトみたいな言葉が出てきたことで、混乱しているのではないか。実際、土田SD、西野TD、戸苅本部長がおっしゃっていることは、原点回帰の方に近いのではないかと思う。攻撃はスピードというところも、犬飼元代表がおっしゃったキャッチフレーズに当てはまっているし、亡くなった森孝慈さんもおっしゃったことがみなさんから出ている感じがして、新しいことではなく、原点回帰ではないかと思う。そこが整理されないと、正しいことをおっしゃっても伝わらないのではないかと思うが、その辺をどのように考えているか?みなさんでまだうまく話し合われていないのではないかということが伝わってくるが、新しいコンセプトというのが分かりづらくて、熱狂を取り戻したいとか、そっちの方が具体的だと思う。6万人入っても、熱狂はなかった。そういう部分でどうやったら熱狂を取り戻せるのか、そのためには順位がこのくらい必要とか、それが明確なビジョンだと思う。ファン・サポーターはそういうことを求めていると思うが、その辺が分かりづらいので、新しいコンセプトとは、ひと言で言えばどういうことか?原点回帰でいいのではないかと思うが)
戸苅本部長
「とてもいい意見で、おっしゃることも分かります。当然浦和レッズの理念は普遍的なものなので、それが変わることはありません。今回、その上でトップチームに関して、戦うための姿勢のコンセプトというところ、そしてチームコンセプトとしてどういう戦い方をするのか、そこを強調したいというのが、今回僕らの表現、新しいと言っているところだと思います。一方でおっしゃる通り、フットボールは普遍的なもので変わらないところもあるので、言っているベーシックな部分は変わっていないところが原点回帰だとおっしゃることも分かると思います。ある意味原点に立ち返ってもう一回そこを見直して、あらためて再出発していこうと、そういうことに捉えられる部分もあるのではないかと思います。言っていることは確かに、新しいという言い方もできると思いますし、一方で原点に帰って、初心の気持ちになってやっていこうということもあろうかと思います」
(選手理念を昨年つくったが、そこのところも兼ね合わせて話していただけると分かりやすいと思うが?)
戸苅本部長
「昨年、選手理念の方を、今までなかったのでつくらせていただきました。選手に浸透をさせていく、その中で『浦和を背負う責任』というのもございます。そういった中の一部で特に、土田SDが一番大事にするところ、強調していきたいところ、選手理念は全部大事ですが、その中でも一番ベーシックにあるところが『浦和を背負う責任』、そこにフォーカスして、これから中長期計画を立てていく上で、最初に取り組みたいところがそこの部分です」
(話を聞いていて、容易なことではないと思う。時折、そういう容易ではないことを救ってくれた選手が何人かいて、それがスタジアムに熱狂を生んだと思う。古くは岡野(雅行)さん、岡野さんがいなくなったら(田中マルクス)闘莉王選手がスタジアムに熱狂を運んでくれた。今はそういう、足が折れても、ケガしてもチームのために戦うような選手、期待できる選手はいるのか?そういう熱を発散できる、期待できる選手はいるか?)
土田SD
「私から個人名を出すのは難しいですが、います」
立花代表
「来たる2020シーズンに向けて、このメンバーで戦って参りますので、引き続きのご支援をお願いいたします。本日は誠にありがとうございました」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】