クラブと地域とサポーターの結束を固め、レッズは必ず1年でJ1に復帰します 斉藤和夫監督
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−監督の話があったときに、どういう気持ちでしたか。
デモス監督が辞めてから、自分に来る可能性もあるのかな、という思いがありました。プロの指導者をやっている以上、トップチームの監督を目指さない人はいないと思うんです。特に監督の経験がある人は、誰でも絶対にやりたい仕事だと思います。それだけ魅力のある仕事ですから。 −吉田さんと名取さんをコーチに選んだというのは。 ヤッコ(吉田コーチ)は、これまでトップチームにいて、選手のメンタルなことも含めてすべて知っているということがあります。名取の場合は、試合に出ない選手のケアもできるし、僕のことをよく知っていてくれています。彼自身プロ選手の経験もあります。 −この時期に監督、コーチの3人とも三菱出身というのは、逆に思い切った体制だな、とも思いますが。 外から指導者を呼んだらそれでいいのか、と言えばそうではないでしょう。三菱出身だろうが、何だろうが良いと思えばそれでいいんじゃないでしょうか。 −今年、一番大事なのは、意思の疎通、チームの結束なんだということでしょうか。 長いシーズンのうちに、当然チームの良いとき悪いときがあります。そういうときに30数人の選手が、絶対に1部に上がるんだということを忘れないで戦うことが一番大事なんです。僕は、そういう手助けというか、良い形で選手をグラウンドに送りだす、闘争心むき出しの選手を先発で送りだすのが仕事です。 −11年前にも、三菱が2部に落ちたときに監督を引き受けられて、厳しいときに限って役目が回ってくるような気がするんですが。「火中の栗を拾う」というか。 「いつも、へんなときに引き受けるな」という人もいますよ。でも、それについては、あまり考えないんです。勝たなければならないのは1部も2部も一緒ですから。 −89年に初めて監督をやられたときは。 前年、自分が選手で2部に落としてしまったという責任もありましたし、選手の気持ちというのはわかっていましたから、そういう点ではやりやすかったです。序盤で勝てなかったときも、最初の気持ちを忘れずにいました。そのころから、プロリーグの話があって1年で1部に上がって10位以内に入らないとプロになれない、と言われていました。 −95年から市原のコーチに就任されました。これはどういう経緯だったんですか。 横山さんがレッズの監督をやめて、僕も責任を取らないといけないな、と思っていたところに、ジェフの話があったんです。そのころは僕はプロじゃなかったんですが、選手がプロになってきているんだから、指導者も同じ土俵に立っていないといけないという考えもあって、ほとんど即決でした。 −その後、川崎Fの監督をされています。プロとして初めての監督だった訳ですが、描いていたことと、できたことを比べてどうですか。 ある程度できたと思います。最後までやらせていただけなかったのは悔しいですし、もう少し続けていれば、とも思いますが、それはクラブの判断ですから。 −監督としてはこれで3回目ですが、過去の2回と違うところは。 状況が一番違いますね。関心度がJ1以上に高いチームじゃないですか。J2でこんなに取り上げてもらえるチームはないでしょう。それだけ期待もされているし、厳しい目で見られるし、一番やりがいがあります。 最後まで戦える運動量を要求します −日本人選手の補強については阿部選手、室井選手で終わりと考えていいのですか。 今のところ、そのつもりです。 −昨年、選手のケガが多くてメンバーの不足が指摘されたと思うんですが。 それはどうでしょうか。僕は、中堅どころの選手が一本立ちしてこないと、レッズの今後はないぞ、と思っているんです。J1に上がっても優勝なんか狙えない。だから、今年僕はそのクラスの選手に厳しく接しようか、と思ってるんですけど(笑)。 −外国籍選手枠が一つ空いていますが。どのポジションで獲得する予定ですか。 40試合で、80点から100点は必要ですよね。今のFWで20点以上取れる選手が何人いるかと考えると、点取り屋が欲しい気がします。でも外国人ばかりに頼らず、日本人で何とかしたい、ということもありますので、中盤になるかもしれません。 −レッズの弱点というと何でしょうか。 去年、僕が見ていて、コンセプトというのがどうなっていたのかな、と思いますね。 ボールをどんどんつなぎなさい、あるいはどんどん前に入れなさい。そういうのがはっきりしていなかったんじゃないか。だからちょっと具合が悪くなったときに、どこが悪いのかわからない。たとえばボールを縦に入れ込みましょう、としたときに、うまくいかなければ、キックの精度が悪いのか、受け方が悪いのか、コースがないのか、そういうポイントがわからなかったんじゃないか、と思いますね。 でもこれは僕が感じているだけで、実際に練習を見ていた訳ではないですから。 −今年の方針としては、コンセプトを強く打ち出す、ということがある訳ですね。「ボールを支配する時間を長く」ということですが。 なるべく相手から早くボールを奪って、早くボールを動かす、というのが基本ですが、その中でも僕がやりたいのは、相手のゴール前で一番時間の余裕があるようなパス回しをしたいんですよ。後ろの方で時間を使っちゃって、ボールが前にいったときにやることが限定されてしまわないように、味方に余裕があるうちにつないでいきたいんです。 −早めに前へ出す、ということですか。 そうすることで最終的に相手のゴール前で落ち着いてシュートを狙えるようになるのが理想ですね。それと基本的には前を向いている選手を簡単に使うということで。相手を背負って後ろを向いている選手にボールを出して、何とかしようとガチャガチャしてボールを失うことは絶対にしたくないですね。早めにサポートに行く。 −練習はトップとサテライトを分けないと聞きましたが。 試合が始まると、分ける必要も出てきますが、今の時点では全部競争です。戦える選手は誰かというのを僕の目で見極めなくちゃいけません。初めから色分けしたくない。スタートラインは同じ。その中で勝ち上がってきた選手が試合に出られるということです。 −練習で変えるところはありますか。 練習時間が少し長くなることがあるかもしれないですね。最後まで粘り強く戦えるようにしたいですから。 −それは昨年、終盤で追いつかれたり、延長で負けたり、ということがある訳ですか。 ええ。サッカーは良い判断が大事だ、と言われるんですが、疲れて走れなければどうしようもないんですよ。早くボールを動かすためには早いサポートが必要だし、良い判断をして、良いポジションでボールを受けて、とやっていると、自然と動かなくてはいけないんです。だから動く量というのは選手に相当要求しようと思います。 −基本的なシステムは。 4・4・2の形で、中盤はダイヤモンド型でやれれば一番いいな、と思っていますが、2・2の形もやらなくてはならないかな、と思います。両方やろうと思います。 −レッズにとって、浦和出身の監督は初めてですね。 僕がいま高校生や大学生だったら、浦和のチームに入りたいと思うでしょうね。それだけ浦和でサッカーをやってきた者の、浦和に対する思いは強いですから、そのチームの監督をできるというのはうれしいです。 −契約は1年で、J1復帰がノルマですが、当然J1での優勝が最終目標ですよね。 もちろんです。J1に復帰して、来年すぐに優勝戦線に飛び込んでいくつもりです。
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