ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2003. 4. 6 Vol.51

オフィシャルマッチデープログラム 212号(4月6日発行) より
エジムンドやめた‥チーム一つになって目標を掲げ直す
森 孝慈ゼネラルマネジャー

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 3月28日、突如かけめぐった「エジムンド退団」というニュース。「残るといっていたのに」「やっぱりね。どうせそうだと思ってたよ」「フロントは何をやっていたんだ」‥‥。さまざまな声を受けて、森 孝慈ゼネラルマネージャーに話を聞いた。

―まず今回の退団に至るエジムンドとクラブの交渉経緯を教えてください。

 彼が2月の20日にオーストラリアに来てから向こうで話をしたときは、そんな様子は一切ありませんでした。ところが日本に帰って雑誌の取材などで「練習方法が合わない」などと話しているのでびっくりしました。その取材を受けたのは彼が本格的に練習に合流してから10日ぐらいしかたっていないのですから。それでナビスコの磐田戦の数日後に話をしたときには、「確かに練習内容は自分とは合わないが、それでやっていくよ」ということだったのです。
 ところが3月15日に、「ブラジルの新聞に、エジムンドが帰国を希望している、という記事が載った」という報道がありました。そこで話を聞いたところ、「そんな話はしていない」と即座に否定し、悩んでいる理由として「ビザの発給が遅れていて家族がまだ来られない」ことが加わりました。それはそのとき初めて聞いたので、私も心配したのですが、しかしレッズでやっていくことは確認しました。
 そして24日に彼から、「帰りたい。もう決めた。ここで続けていく気持ちはない。理解してほしい」という申し出があったのです。こちらは説得したのですが、彼の意志が固いこと、さらに他の選手への影響などを考えて最終的に28日、退団を了承しました。

―オフト監督のやり方に馴染めなかったということが報道されていますが。

 オフトにはエジムンドを中心とするチームを作ろうというプランがありました。だから彼のやりやすいようにしようと気にかけていたのです。しかしエジムンドから直接オフトに何か言ってきたということはあまりなかったということです。たとえば「練習で紅白戦をやらない」という不満があったようですが、彼には「練習のやり方などをフロントから監督に指示することはありえないから、希望があれば直接オフトに言えばいいし、監督もそれを望んでいる」と話したのですが、「いや、それは監督批判になるからできない」と言うのです。しかし外部のマスコミなどにはそういう話をどんどんしているのですから、ちぐはぐな感じでした。

―オフト監督は昨年からレッズで指揮を執っている訳ですし、エジムンドも一昨年から日本でプレーしていました。お互いのやり方は当然ある程度想像がつくと思われるのですが。

 実は、彼と正式に契約する前に直接オフトと会わせているんです。そこで2人はサッカーの話をいろいろしました。また「エメルソンからも、いい監督だと聞いている」などと話していました。そういうステップを踏んで契約に至ったので、今さら馴染めないということはないはずだと思っていました。

「わがまま」に違約金はないのか

―どうも話を聞いていると、ブラジルのチームと話がまとまるまでの腰掛にしたのではないか、という推測も湧いてくるのですが。

 確証がある訳ではないので、そうとは断言できません。しかし自分の思うようにならないからやめる、という印象はあります。そういうムードは周りの選手も敏感に察しますから、最後は、エジムンドがいることがチームにとっても良くない、と判断しました。みんながまとまっていかなければならないときに、中心と目される選手からモチベーションが感じられないというのはマイナスです。

―「自分は昔とは変わった」と言っていたようですが、わがままさを感じますね。

 チームのことより自分のことを考えている、とは思いますね。彼はやめる理由でこうも言いました。「サッカー人生の最後は勝てるチームでやりたい。レッズにはその可能性がない」と。

―自分の都合で退団するという場合に、違約金は選手の側に発生しないのですか。

 クラブの都合で契約途中に解雇する場合は年俸を全額支払う義務があるのですが、逆の場合は無理でしょう。実はこちらも2月分、3月分の報酬を返せ、ということを言ったのですが、専門家に相談してみると、契約書にそのことが盛り込んでいない限り難しいということでした。しかし2カ月分の報酬を超えて前渡した分については期限を切って返却するよう退団の際の覚書に入れました。それが振り込まれてから国際移籍証明書を発行します。

今後の補強はどうするのか

―補強についてのメドはいかがですか。

 すでにドイツのギド・ブッフバルト(チームアドバイザー)に連絡をしてあります。もともと6月で契約が満了するヨーロッパの選手の中でリストは作ってくれていたのですが、この話をしたら「stupid!(ばかな!)」と驚いていました。もちろん外国人だけでなく日本人選手も含めて獲得の努力をしていきます。しかし、すぐに埋まる訳ではないので当面は今の陣容でやっていくしかありません。それについても先ほど言ったように頑張ってくれると確信しています。長谷部も非常に燃えていますし、あわててはいけませんが山瀬が戻ってくればエメルソンとの連携も一段と強まります。

―今後の外国人選手の獲得については、より慎重にならざるをえないのでは。

 そうですね。これまでも能力以外に日本でやれるかどうか、家族はどうかなども考慮に入れていましたが、そういうことをより確実に調べた上で、本人の性格や練習に取り組む姿勢などもしっかり見ていくつもりです。チェックポイントを多くしないといけません。

「トップ5」あきらめるのか

―トップ5という今季の目標はどうなりますか。

 エジムンドが機能することを前提に立てたプランですから、それがグラグラすることは事実です。残念ながらプランを作り直さざるを得ません。他の選手を獲得することも含め、なるべくマイナスを最小限にとどめて、目標を掲げ直せるように120パーセント努力します。

―エジムンドが退団したら「トップ5」の目標を降ろしてしまうのでは、他の選手のモチベーションが下がってしまうのではないですか。

 グラグラしてはいますが、「トップ5」の目標を降ろす訳ではありません。選手たちに今回のことについて説明したときには「エジムンドのことはすべて忘れて、またチーム一つになって頑張ってくれ」と言いました。うなずいている選手もいましたし、これですっきりしたと思っている選手もいるはずです。
 試合というのは選手全員が自分の力を精いっぱい出して頑張る、というのが最低ラインで、その上で質の高い選手がいてさらにいいゲームができるのですが、一人の選手に気を使って、その最低線までも守れないというのはいいことではありません。今、選手たちは自分たちの力で頑張ろうという気持ちになっていると私は確信しています。その裏づけはリーグ開幕の鹿島戦の後半です。これは見ていた私たち以上に、やった選手たちが肌で感じていることです。
 エジムンドに期待していたサポーターのみなさんには本当に申し訳ないと思いますが、今季中に、新たな補強と今の選手たちのいっそうの頑張りで「トップ5」という目標を達成できるチーム力を築くために、クラブ一丸となって頑張っていきます。

(3月29日取材)
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