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ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2004.2.25 Vol.53
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PHOTO リスクを恐れず、
常に得点を狙うアグレッシブなサッカーを
ギド・ブッフバルト(Guido Buchwald)
1961年1月24日、ドイツ・ベルリン市生まれ  1990年ワールドカップイタリア大会(優勝)に全7試合出場したドイツのストッパー。11シーズン所属したシュツットガルトでは攻守の中心としてチームを率いる不動の主将として活躍。人望も厚く、チームメイトや市民から高い尊敬を得ていた。1994年後半、浦和レッズの一員となり、3シーズン半の間に、Jリーグ・ベストイレブンを2年連続(1995、1996年)受賞する活躍を見せ、カリスマ的存在になる一方、日本のファンからも「ギド」の愛称で親しまれた。その後、1シーズン半の間、カールスルーエでプレーして1999年の夏に現役を引退した。2002年8月から、浦和レッズのアドバイザーとなり、チーム強化やユースの欧州遠征のアレンジ等で協力。今季から初めて監督として指揮を執る。
★まずサポーターに一言お願いします。
ブッフバルト監督(以下、B) 再び、この地に来られたこと、それも監督として来ることができたことを非常にうれしく思っています。選手にまた会えたこともれしいですが、あのサポーターの大観衆に再び会えることを楽しみにしています。私が選手のときもみなさんは応援してくれましたが、今度は監督としてレッズに来ましたので、これからもチームへの応援をお願いします。監督としてできることすべてに全力を尽くしてやっていきます。
ポジション争いで切磋琢磨を
★現在の浦和レッズはどんなチームだと言えますか。良いところも悪いところも教えてください。
 この2年間チームを見てきましたが、昨年から非常に良くなっていると思います。多くの若い選手がいますし、代表選手が五輪代表を含めて8人もいるということは選手のクオリティが非常に高いということです。
 多くの良い試合を見ましたが、いくつか悪い試合も見ました。それはチームの中が崩れてしまっているときです。いったんリードしながら4−4で引き分けてしまったり、大量得点をしたのに逆転負けしてしまったり、ということがありました。それらはミスから来ていることで、そういうミスをなくして多くの勝ち点を取りたいと思っています。そして常に上位にいたいと思います。
★選手のレベルはどうでしょうか。
 レッズに良い選手はたくさんいます。しかし、良い選手がいるからといって良いチームになるとは限りません。良い選手を使った良いチームを作っていきたいと考えます。しかし問題もあります。シーズンが始まったこの時期、みんなで慣れていかなければいけないときに、代表選手がいないというのは大きなマイナスです。またJリーグの開幕時には五輪代表選手がいません。これは監督として頭の痛いところです。
 しかし補強によって選手の層は非常に厚くなったと思っています。逆に通常であれば先発メンバーではない選手たちが、このチャンスを生かして良いものを見せてくれるでしょう。トップグループとセカンドグループの差を縮めていきたいと思います。彼らにチャンスを与えることも監督としての自分の役割だと思っています。
PHOTO★代表選手が増えて、トップ入りをあきらめているのではなく、逆にモチベーションが高くなっている選手が多いようです。
 それがメリットになります。代表の8人というのは昨年まで試合を見てだいたい知っています。逆にその8人がいないことによって、他の選手たちを練習で見ることができます。彼らも代表選手がいないうちにアピールしようと必死になります。代表選手が戻ってくれば、どうしても私の目はそちらに行きがちになりますからね。
★代表選手が戻ってきてポジションがないということになればチームとしては素晴らしいですね。

 (笑)そうなればチームにとっては良いことですが、代表に選ばれているというのはその選手のクオリティが非常に高いということですし、特にA代表の選手というのは長い期間見られて、その結果選ばれているのですから他の選手よりも一歩先に行っているのです。もちろん代表選手がいないときに他の選手が非常に素晴らしいプレーを見せてくれたとしたら、戻ってきた代表選手に休んでもらうかもしれませんね。
 層が厚いということは非常に重要なことで、代表選手には多くの負荷がかかっていますので、シーズンを通してすべて良いプレーができるとは限りません。ですから試合ごとにバックアップの選手が控えていることが大事なのです。
★リーグで優勝するためにはベンチにいる選手のレベルが高いことが必要だ、と言われます。強豪チームになるには乗り越えなければいけない壁ですね。
 そうですね。控え選手のクオリティが高いことは重要です。ということは、ポジション争いができる、ということです。1人の選手がレギュラーに決まってしまっていると、どうしてもモチベーションが上がったり下がったりしてしまうのですが、競争相手がいるとお互いに切磋琢磨してクオリティがまた上がっていくという効果があります。ですから全員、試合に出たい、レギュラーになりたいと思っているはずですが、1つのポジションに近いレベルの選手が2人いることは非常に良いことです。ヨーロッパのトップクラブなどは、チャンピオンズリーグ用の選手とリーグ戦用の選手と、2チーム分抱えているようなところもあるのですから。
90分全力を尽くすのは当然
★チームの戦い方についてうかがいます。攻撃的なサッカー、ということを最初から掲げておられますが、具体的にはどういうことでしょうか。
 先ほどミスを少なくすると言いましたが、昨年見た失点シーンは横パスの失敗から来ているものが多かったのです。確かに安全であれば横パス、あるいはバックパスをしてもいいのですが、本来は少しでも早く前線にボールをつないでいきたいと思っています。なぜなら前線であればリスクを冒したプレーをしてミスをしても構わないからです。しかし守備のところでミスをするとすぐに失点につながってしまいます。ですから攻撃ではミスを恐れずリスクあるプレーをしても構わない。しかし守備ではミスをせず安全を第一にしたい、ということです。
PHOTO★犬飼代表はリスクを冒して攻撃にいくということ、そしてファイトすること、この2つを監督に期待しているということでしたが。
 リスクとは何かというとボールを失うこと、それだけです。攻撃でのリスクというのは当然のことで、とにかく前での勝負というのは大切です。もちろんリスクばかりではなくたまには頭を使ったプレーも必要ですが、しかし攻撃を仕掛ける訳ですから、そのときにはリスクを怖がっていてはいけません。
 それと「ファイト」ですか。うーん、私はファイターだったと思っています(笑)。選手として90分間全力を尽くして戦い、負けたら食事も喉を通らないくらい悔しい。そういう思いでプレーしなくてはいけません。それが当たり前のことです。
★そうすると選手は、基礎的な技術はかなりできていると思いますが、気持ちの点でかなり強さを要求していくことになるのでしょうか。
気の早いマスコミは「横パス禁止令」などと書いていますが。

 (笑)「禁止」という訳ではなくて、横パスは一つの手段であるということです。攻撃的なサッカーですから前目、前目を狙う訳ですが、縦へのロングパスやクロス、それにつなぐための手段として横パスもあるでしょう。しかし4回も5回も横パスが繰り返されるというのは、何かチームとして良くないことがあるのです。たとえば前に行く勇気がないとか、視野が狭いとか、結局チームとして何かが欠けているのです。サッカーというのはやはり攻撃的でなければ。でも1−0でリードしていて88分になったら横パスでボールをキープするというのは別の話ですよ(笑)。
期待が大きいほど自分は燃える
★選手の実力、人数、スタッフあるいはクラブの施設などは、あなたが目的を達成するのにふさわしいものになっていますか。
 ここ数年の間にクラブは非常にポジティブに成長してきたと思います。クラブハウスもそうですし、2面の芝のグラウンド、スタッフも非常に献身的な仕事をしてくれています。サポーターは前から日本一だと思っています。逆に言えば、そういうことが、私が監督のオファーにイエスと言った理由の一つでもあるのです。
PHOTO★山田選手をキャプテンに任命した理由と期待をお聞きしたいのですが。
 まず理由ですが、彼とは以前一緒にプレーしていて、彼の成長ぶりを見てきました。日本代表のレギュラーも奪い取りましたし、今のプレーは本当に充実しています。チームメイトからも信頼されています。チームが彼についていく、そう考えたからです。
 期待は、彼が先頭に立ってチームを引っ張っていってほしいということです。「山田さんの言うことなら」と周りから認められている存在だと思います。それともう一つはチーム内であったことを監督である私に意見しに来ることです。ぶつかるということではなくて、チームスポーツですから、監督とスタッフと選手が違う方向を向いていてはいけません。勝利に向けて一丸となるためです。
★キャプテンを任命したとき、山田選手はどうでしたか?
 静かでした。たぶん驚いていたのでしょう。で、一呼吸おいて「はい、やります」と。キャプテンに任命したということは、監督が彼を評価したことだと喜んでくれればいいと思っています。選手として一緒にプレーしていたとき、彼は素晴らしい才能の持ち主だと思っていました。しかし、いつも40%か50%の力しか出していなかったのです。彼には今後、自分の持っている力をすべて継続的に出してくれることを願っています。
★最後に、今季の目標を「チームの成長」と「成績」という2つの面から挙げてください。
 成績については昨年以上を目指します。またチームについては、常に点を取るぞと狙っているアグレッシブなチームにすることです。それが見ている観客にとっても非常に魅力的なサッカーだと思います。
 みなさんの期待が大きいことは知っています。私は期待が大きければ大きいほど燃えるのです。恐れてはいません。選手たちはやってくれると確信しています。

コーチ
ゲルト・エンゲルス Gert Josef Arthur ENGELS
PHOTO1957年4月26日、ドイツ・デューレン市生まれ

<指導者としての経歴>
 1999年元日、横浜フリューゲルスとして最後の大会である天皇杯で優勝を成し遂げたドイツ人監督。現役時代は、ボルシアMGなどに所属したMF。その後、アーヘン大学、ケルン体育大学で指導者としての道を歩み、1990年に来日。横浜フリューゲルスで6シーズン指導を続けた後、市原、京都の監督などを歴任。京都ではJ2で優勝、J1復帰を果たし、さらに2003年元日、関西Jクラブとして初めての天皇杯優勝を果たした。ドイツ語だけでなく、英語、日本語、フランス語が堪能でスペイン語、ポルトガル語も話すことが出来る。今季から浦和レッズのコーチに就任。
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