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ファン・サポーターのみなさまへ「2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて」

日ごろより浦和レッズへ熱いサポートをいただき、誠にありがとうございます。

今シーズンは、2月18日に行われた明治安田生命J1リーグ 第1節 FC東京戦から、12月22日に行われたFIFAクラブワールドカップ サウジアラビア2023 3位決定戦 アル・アハリFC戦まで、過去最多となる60試合の公式戦を闘ってまいりました。
この長く険しい道のりは想像を絶するほどにハードなものであり、最後まで走り、闘い、貫いた選手たち、チームの勝利のために粉骨砕身のおもいで自らの全てを捧げてくれたチームスタッフやメディカルスタッフ、国内外、オンライン、オフラインを問わずチームを鼓舞し、勇気を与え続けてくださったファン・サポーターのみなさま、そのほか、チームにおもいを寄せてくださった全てのみなさまのうち、どなたかお一人でも欠けていれば、完走することはできなかったものと痛感しております。
選手、チームと共に闘ってくださった、浦和レッズを愛する全てのみなさまに対しまして、心からの感謝と敬意を表します。
本当にありがとうございました。

2023シーズンは、「J1リーグで優勝争いをすること」、「AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24の出場権を獲得すること」を目標に掲げるとともに、ACL2022決勝での必勝を期したシーズンでした。
シーズンを通して実践できたこと、できなかったこと。
それらの事実と誠実に向き合い、「浦和レッズはこうなっていきたい、ならなければいけない」という主体的思考と、データ等の客観的視点の両方を用いて、浦和レッズの一員であり、また浦和レッズの最大の理解者でいていただきたいファン・サポーターのみなさまへ、「2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて」をお伝えさせていただきます。


2023シーズン振り返り

上述の通り、2023シーズンの目標は、「J1リーグで優勝争いをすること」と「ACL2023/24の出場権を獲得すること」の2点でした。
J1リーグでは、終盤まで優勝争いに加わることこそできたものの、結果的に4位(15勝12引き分け7敗)という成績に終わり、2024/25シーズンのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)、およびAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)のいずれの出場権も獲得することができませんでした。具体的な勝敗の内訳に目を向けますと、昨シーズン終了後にもチームの課題として挙げておりました引き分け試合の数が、若干減少した(2022シーズン:15試合、2023シーズン:12試合)ものの引き続き多い(J1リーグ2位タイ)状況が続いており、得点力不足による勝ち星の取りこぼしがその要因であったと分析しております。
一方、目標達成に向けた取り組みを評価するにあたっては、達成の可否とは別に、「できたこと」と「できなかったこと」の両方に目を向ける必要があり、そのことが継続的な成長につながると考えております。
その観点から、2020年のフットボール本部設立以降、最も強いこだわりをもって取り組んできたと言える「チームコンセプトに基づいたチーム作り」を継続することによる継続的な成長に目を向けますと、J1リーグ4位、YBCルヴァンカップ準優勝、そしてACL2022優勝という成績からも、決して十分とは言えないものの一定の評価には値する成果を得た1年とも言えると考えております。特に、クラブ史上3度目のACL制覇は、ACL2023/24、および2025年に開催される新大会フォーマットでのクラブワールドカップ「Mundial de Clubes de la FIFA」への出場権獲得につながっており、チームの強化に加えて、クラブとしての価値向上にも寄与する重要な成果となりました。
しかし、「できなかったこと」に目を向けますと、J1リーグでの優勝やACLの連覇を実現し、そして世界の舞台で継続的に闘い続けるためには、多くの局面において少しずつ足りていないものがあることを痛感いたしました。チームとして更なる成長を目指すうえでは近道など決して存在せず、小さくも数多くの「もう一歩」を愚直に突き詰めていくことこそが極めて重要であると、改めて強く認識しております。
以下、フットボール本部のコンセプトであります「チーム」、「個」、「姿勢」に沿いまして、より細かな振り返りをさせていただきます。

コンセプトベースの振り返り

【チーム:攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレー】
2022シーズンの課題をもとに、今シーズンに向けてはより攻撃的で、相手ゴールに近いスペースでのプレー時間を増やすことを目指してきました。ハイラインを保ち、ハイプレスをする機会を増やすことで試合の主導権を握るべく、マチェイ スコルジャ監督を招聘しチーム作りを進めてきたなかで、シーズンを通じて多くの改善は果たしたものの、まだまだ理想とする姿とのギャップが存在しています。また、一つ一つの試合についてだけではなく、シーズンを通じて、チームのバイオリズム(ピーキング)をどのようにコントロールするかという点についても課題が残りました。
年間プランとして、まずはACL2022の決勝に照準を合わせてプレシーズンからシーズン序盤戦を戦い、ACL優勝という成果を原動力に、J1リーグの優勝につなげるということを目指しました。チームの土台は、自陣での強固で組織的な守備であり、自陣からのビルドアップを経ての攻撃。その長所を最大限に活かしながらアルヒラルというアジアを代表する強豪に挑み、そして勝つ。そこから、J1リーグ優勝を果たすために、数多くの試合と海外遠征をこなし、勝ちながらどれだけチームをアップデートしていけるかという挑戦でしたが、結果的には、後半戦におけるリーグ優勝を左右する試合での勝ち点の取りこぼしや、ACL2022/23グループステージ、主にアウェイでの敗戦、そして10月以降のシーズン終盤戦での重要な試合でチームパフォーマンスをピークに持ってくることができず、YBCルヴァンカップのタイトル、J1リーグのタイトル、 ACL2024/25の出場権を逃すこととなりました。この挑戦は、クラブ全体で取り組んだものでしたが、多くの課題に直面し、そしてそれらをクリアするために必要なアクションを起こす力が私たちには不足していました。
一例を挙げますと、チーム編成について改善すべき点があります。理想的なチーム作りに向けては、その構成要素となる選手の獲得はもっとも重要なタスクであり、チームの現状分析、課題の洗い出し、そして獲得候補ポジションとプロファイルの決定から獲得活動という一連のプロセスにおいて、更なる改善が必要であると認識しております。2023シーズンの注力ポイントの一つであった、「戦力の継続的な、更なる充実」については、文字通り終わることのない挑戦です。新戦力の獲得環境は、新卒者の獲得や国内外クラブからの移籍獲得など、あらゆる場面において競争が激化しています。そしてそうした環境下では、経済的な効率を考慮しながら適確な候補者を選定することに加え、迅速な意思決定と高い交渉力が求められます。これらの点において私たちには発展の余地があり、激変する環境にいかに迅速に対応していけるかという、柔軟性と勇気が今まで以上に求められるという認識のもと、改善に努めております。

【個:個の能力の最大限発揮】
選手だけに限らない、チームに関わる全員の「個」の能力が最大限に発揮されながら、組織として「ワンチーム」となり意思統一をはかることは、勝利に不可欠な要素です。この点において、マチェイ スコルジャ監督によるリーダーシップとチームマネジメントのもと、一人一人がプロの選手として、或いはプロのスタッフとしての役割を全うし、チーム全体が一つの方向を向いて最後まで闘い抜くことができました。
その中でも特筆すべき点としまして、メディカルチームの高い貢献度が挙げられます。怪我をした選手のリハビリプロセスや、コンディショニングにおいて、テクニカルスタッフと監督とが密にコミュニケーションをとり、科学的なアプローチを駆使して計画的にリハビリとコンディショニングを進めるというアプローチがこれまでと比較して格段に進歩しました。その結果、リハビリ期間の短縮や、過密スケジュール下でのコンディショニング維持が、考え得る限り最高のレベルで実現できました。今後も選手・スタッフともに、常にアジアでトップを目指し世界で闘い続けるクラブにふさわしい能力と行動、そしてビジョンを求め続けます。

【姿勢:前向き、攻撃的、情熱的なプレー】
2022シーズンに大きな課題を残したこのコンセプトですが、今期、大幅に改善されたと評価しております。個としての選手の姿勢はもちろん、チームとしても「最後まで走り、闘い、貫く」姿勢を多くの試合でお見せすることができたことは、逆転勝ちの回数(2022シーズン:0試合、2023シーズン:7試合)が物語っています。また、J1リーグの終盤でタイトル争いから脱落するという結果となっても決して気持ちを切らすことなく、FIFAクラブワールドカップ 3位決定戦の最後の1分まで全力を尽くすという姿勢を、ピッチ上の選手のみならず、全ての選手・スタッフが貫き通しました。これらの事象は「真のプロフェッショナルが結集した組織」、言葉を換えれば、我々のキーコンセプトである、「浦和を背負う責任」の実践が一定水準以上に行えている証であると考えており、シーズンの終盤には疲労の蓄積もありパフォーマンスの低下が見られましたが、個とチームの「姿勢」については高く評価しております。この大幅な改善は、個々の選手による真のプロフェッショナルとしての取り組みはもちろん、マチェイ スコルジャ監督をはじめとしたチームスタッフによるマネジメントも大きく寄与していると考えております。

2024シーズンへ向けて

チーム作りに関しては攻撃陣の強化が急務であり、最優先課題となります。具体的には、J1リーグで得点王を目指すことのできるストライカーと、年間10得点以上取ることのできる2列目の選手の獲得を目指します。
また、2シーズン連続で新監督を迎えることになりますが、ペア マティアス ヘグモ新監督のもと、より前方に重心を掛けた攻撃的なチームを目指すべく、既にその準備に着手しております。
これまでのチーム作りへの取り組みをベースに、変わらない方向性で更なる上積みを図るというコンセプトは、選手、監督、チームスタッフ等が今後変わっていくことがあったとしても決して変わることなく、クラブとしての歩みを進めてまいります。
これからもクラブ主導で、コンセプトに沿った育成、チーム強化を継続していくことを改めてお伝えいたします。

最後に

浦和レッズは2024シーズン、国内3大タイトルに数えられる極めて重要な大会であります、天皇杯に出場することができません。この事実と、そこに至った経緯につきましては、浦和レッズというクラブが存続する限り絶対に風化させてはならず、また継続的に向き合っていくべき問題であると強く認識しております。
再発防止は勿論のこと、私たち浦和レッズがこの問題とどう向き合い、どのような方向に進んでいくのかということが社会から問われていることを決して忘れることなく、誠実にクラブ運営を行ってまいります。
そして、そうした姿勢を前提としたうえで、ファン・サポーターのみなさまに多くの喜びや感動を提供できますよう、選手・スタッフ一同、愚直に勝利を追い求めてまいります。
今シーズンも最後まで熱いサポートをいただき、本当にありがとうございました。
引き続き、2024シーズンも熱いサポートをどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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