MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!!
リカルド ロドリゲスです。
水曜日に行われた北海道コンサドーレ札幌戦はスコアレスドローに終わりましたが、勝つチャンスが十分にあった試合でした。
この試合では、我々がこれまで継続してやってきた、後ろからつないでビルドアップするやり方ではなく、ロングボールを直接前線に入れる攻撃を選択しました。
まず沖縄キャンプの中で行った練習試合で、相手が非常に強度の高いプレスを前から掛けてくることが分かっていたということがあります。それに加えて、我々が日曜日の試合から中2日の準備期間しかなかったのに対し、札幌は土曜日の試合が中止になったため十分な時間がありました。それによるコンディションの差は大きかったと思います。
その結果、あと少しでゴールになるチャンスを何度か作り出すことができました。もちろん相手にも大きなチャンスがありましたから、どちらが勝ってもおかしくない試合だったと言っていいでしょう。
試合によって相手も違えば内容も違います。自分たちにとって何がベストか、一番良い戦いができるのはどういう方法か。それを考えてゲームプランを立てて勝利につなげていきたいと思っています。今後は試合の中でも、流れによってはやり方を切り替えることもあります。札幌戦でも後半、相手が疲れた時間帯では、後ろからつないでいく方法に替えても良かったかもしれません。また、杉本ら前線の選手に当てるだけではなく、味方の準備が整っていれば、相手の守備ラインの裏を狙う速攻も効果的でしょう。
ここまでリーグ戦は1勝2分け2敗という結果になっています。
もっとゴールと勝ち点が必要であることは意識していますが、チームは良くなっていると実感しています。選手たちは責任感を強く持って全力で戦っています。まだ改善が必要ですが、我々が目指すところははっきりしています。ビルドアップの部分から試合を支配し、相手を敵陣に押し込んで点を取る、そういうサッカーです。
そのために、中盤での競り合いなどはもっと勝てるようにならないといけませんし、相手を押し込んでからも慌てずに、忍耐強くゴールを奪うためのプレーが必要です。
本日は川崎フロンターレとの試合です。
川崎は昨季、非常に良いシーズンを送りました。チームのスタイルもはっきりしていて質の高い選手が多く、ターンオーバーしてもチームの質が落ちない、完成されたチームです。
今日は我々にとって一つの挑戦でもあります。自分たちが持っているものをすべて発揮して、最高のレベルを見せないといけません。同時にそういうレベルのプレーができれば勝てるんだという信念を持って戦うことが大事です。
強い相手ですが、引き分け狙いはしたくありません。もしも、どこかの試合で勝利をくれると誰かが約束してくれるなら、私はこの試合を選ぶでしょう。もちろん、そんなプレゼントを期待するのではなく、しっかりとゲームプランを立て、自分たちのプレーをしながら勝ちたいと思っています。このチームと戦って勝つことは、自分たちの自信につながりますし、今後に向けて大きな力になります。
また、この試合が終わると2週続けてミッドウィークに試合がない日程となります。この期間にしっかりとしたトレーニングを積みたいと考えています。まず攻撃について、今までやってきたことをさらに深めると同時に、相手を押し込んだ状況の中からどうゴールを奪うのか、新たなコンセプトを浸透させたいと思っています。そして、ケガ人が回復することにも期待しています。
前節からホームゲームが続きます。
みなさんに見て楽しんでもらえる試合をして、勝利を目指します。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
前節の札幌戦は前線の杉本健勇を狙うという、これまではあまり見られなかった形に終始した。
「自分たちがトレーニングキャンプでやってきたことをやらずに戦った90分だったと思います。その割り切りについては監督からも話がありましたし、我慢強く、どちらかと言うと、つなぐというよりは蹴る、セカンドボールを拾う、球際で負けない、ということにシフトしながらプレーしました。
その我慢強さ、杉本選手を起点に攻撃を始めるという割り切りが、みんなでできていたので、ネガティブな雰囲気はありません。長いシーズンを戦っていくうえではこういう戦い方も大事ですし、いい意味できっかけを作れたかなと思います」
本来は後方からのビルドアップが攻撃の主体であり、GKはその第一歩になる。
「後ろからつないでいくときに、GKはセンターバックの中に入るというより、後ろからコントロールするのが役割です。また、つないでいくだけではなく、相手の出方によっては前線に送ることもやっていくので、その部分の見極めが大事だと思います。試合中に選手同士が話をするシーンは多くなっていますし、こういうときはどうする、というのをみんなが意識して確認し合っています」
試合ごとに出てきた課題を改善しつつ、目指すやり方を定着させなければならない。特に新しいスタイルを定着させながら、勝ち点も取っていくには失点を防ぐことが非常に重要だ。
「特に負けた試合の後でも、自分たちがやってきたことを信じてやり続けることが大事だと思います。ただ、試合で結果を求めることももちろん大事ですから、そういう意味では失点しないこと、特にGKの役割は重要です。防げる失点は自分が防がないといけないですし、勝った横浜FC戦でも危ない場面は何回かありました。そこで失点ゼロに抑えたことが初勝利につながったと思います。ただ、他の試合でも防げたはずの失点があるので、そこはDF陣と話し合っていますし、同じような失点をしないよう、生かしていければいけません。
また横浜FM戦の3失点目のように、攻撃から守備への切り替えの速さがどうだったのかと問われるような失点は、問題点をチーム全体で共有しています。特にあの試合は0-2で後半が始まって、こちらが反撃に出ていたところでの3失点目ですから、試合の流れとしても絶対にやられてはいけなかったと思います」
序盤から完成度の高いチームとの対戦が続いている。
「川崎は力のあるチームですし、間違いなくチャレンジしていかなければいけない相手です。ホームでできることは僕たちにとって非常にプラスですし、リスペクトしすぎないことも大事だと思います。自分たちのサッカーができるかということにトライしていきたいです。
こういう相手と対戦しながら、自分たちが目指すサッカーを磨いていけると思います。レッズのサッカーが面白い、見に行きたいという人たちが増えてくれるように頑張ります」
センターバックの槙野智章、岩波拓也とともに開幕からリーグ戦全試合にフル出場し、YBCルヴァンカップの湘南戦でも途中出場。ここまで全公式戦に出場している。
「正直、疲労はあります。シーズン中盤であれば身体も出来てきていますが、開幕して間もない、まだ身体が仕上がっていない状態で、いきなり連戦というのはけっこうきつかったです。
ただコンディション良くやれているので、感触は良いですね」
札幌戦はこれまでやってきた後方からのビルドアップではなく、ロングボールを前線に入れるという戦術をチームとして徹底していた。
「試合までの準備期間が中2日しかなかったということで、現実的なやり方にシフトチェンジしたということだと思います。札幌はキャンプ中の練習試合でも相当前から来ていましたし、こちらのつなぎを相当意識して対策を練っていたはずです。こちらの戦術に慌てているようなところもありました。今後も臨機応変にやっていければいいと思います。
チームとして主導権を握るスタイルは、これからも継続して作っていくと思います。札幌のような相手にもボールを握って勝てるようになっていきたいです」
レッズで3年目を迎え、一列前にいる汰木康也との連係はますます上がっている。また、ほかの選手と絡むことで、左サイドからの攻撃は昨季までよりもスムーズになっているように見える。
「監督のやりたいことをしっかりと体現できていますし、そこを意識してプレーしているので康也との関係性はよくなっていると思います。
自分が決定機に絡むことは多いですし、チームとして左からの攻撃が多いので、そこは今後もストロングポイントにしていきたいです。ただ、アシストやゴールという結果がまだ一つもないので、そこは物足りないところです」
リーグ5連戦の最後が暫定首位の川崎。仕上げの意味でも流れの中からのゴールが欲しいところだろう。特に新加入の選手たちに得点が生まれれば勢いもつきそうだ。
「中2日で戦った札幌戦とは全く違い、中3日ありますからコンディションは問題ないと思います。チャンピオンチームなので、非常に難しい試合になると思いますが、ホームで戦えるので、みんなでハードワークすれば勝機はあるはずです。リーグの連戦もこれで最後ですし、勝ち点を積み上げたいのでしっかりと戦いたいです。
新加入選手たちの特徴は分かっていますし、みんなハードワークできる、非常に良い選手たちです。前線の選手が点を取ればチームも乗っていけるので、彼らが点を決められるように良いボールを出したいです」
札幌戦のロングボール戦術では、杉本がターゲットになり、汰木たち周りの選手がセカンドボールを拾うという役回りだった。一方、西川から直接、相手の守備ラインの裏で受けるという場面はなかった。
「後ろからボールを握ってビルドアップしていくという自分たちに対して、札幌がマンツーマン気味に前からはめてくるというのは予想していました。だからチームとしてそれをひっくり返すようなシンプルな形でやっていこうという意思統一をして試合に入りました。
健勇くんに当てて、自分とアキ(明本考浩)が拾う役割でした。周くん(西川周作)から直接自分にボールが来るというラインもできてはいるんですが、札幌戦ではそういう場面はなかったですね。
札幌戦で自分が絡んだチャンスは、前半の終わりのほうに左からクロスを上げて、健勇くんがヘディングシュートしたシーンくらいでした。ボールタッチ自体が少なかったと思います」
横浜FM戦までは、良い連係からボールを持って左サイドを上がるシーンがよく見られた。また、横浜FC戦ではエリア内で自らが倒されて2点目となるPKを得ている。
「ヤマくん(山中亮輔)とは長くやっているので、お互いがどういうタイミングでどういうところに欲しいかが分かっています。ただ、今は全体的に後ろが重たくなっていて、サイドを上がっても後ろがついてこない分、間延びしてしまうことが多い。それで攻撃が完結しないことがあります。自分が孤立してボールを失うシーンもけっこうあると思います。
横浜FMや札幌はカウンターが強烈なので、それを警戒して後ろが重たくなっていたということもあると思います。逆に開幕のFC東京戦などは本当にうまくボールが回っていて理想の形でした」
横浜FM戦は0−3で敗れたが、前半の終盤には汰木も絡んで連続して攻め込む場面があった。
「あの時間帯で1点取れていれば、勝負は分からなかったと思います。ただ、ああいうチームを相手にしても、チーム全体が押し込んで自分たちが高い位置でボールを握れる時間を、一部の時間帯だけでなく、1試合を通して作るのが、今季目指しているサッカーです。
サイドで選手の位置がぐるぐる替わっていくというポジション取りは初めてですし、もっと味方同士で同じ絵を描いて、相手がつかみきれないポジションを取れるようになったら、面白いサッカーができるんじゃないかというイメージがあります。そうなったら楽しいだろうと思います」
ここまでフル出場はないが、リーグ戦の全試合に先発している。
「逆に危機感のほうが大きいです。決定機は何回もあったので、そのチャンスを生かせていないという危機感があります。ただ、そういうプレッシャーはありつつも、短いスパンで試合は来ますし、新しいことに取り組んでいることで充実した時間を過ごせているという感触もあります。
フルで出られればいいですが、短い時間でもいいので、迫力を持ってゴールに向かっていきたい。相手にとって怖いプレーがまだまだ少ないので、そういう選手になりたいです。
もちろん、川崎には勝ちたいです。自分たちの状態は良いとは言えませんが、調子が良いチームを相手に勝ち点3が取れれば勢いがつきますし、難しい試合も含めて勝ちぐせをつけていかないといけない。そういう理想を体現できればと思っています」
THE MDP
文●清尾 淳
札幌戦のメンバー表を見ると、いつも「宇賀神友弥」と書かれている上から2番目(GK西川周作の次)のところに「阿部勇樹」とある。
横浜FM戦で負ったケガのため宇賀神が外れたのは残念だったが、阿部が右サイドバックなのか?
それもアリだが、メンバー表に書いてある順序と実際の布陣が同じとは限らない。小泉がボランチに入って、右サイドバックは明本か関根という可能性もある。いや、阿部、岩波、槙野の3バックで、関根と山中がウイングバックということはないか? 去年から練習を見られる機会がめっきり減って、非公開の練習で何が行われているか見当がつかない。
試合前の数十分間、そんな思考が頭をぐるぐる回っていた。
敵をあざむくにはまず味方から、と言う。
ノープロブレム。構わないからどんどんあざむいてくれ。逆に楽しみだ。
あら。阿部は右サイドバックの位置に入り、岩波と槙野もいつもどおり。メンバー表そのままじゃないか。
何にもあざむいていなかった。
と思ったら大間違い。
あれ? 蹴ったな、いま。
西川がゴールキックを前線に蹴った。当たり前のことだが、当たり前ではない。いつもなら、ひらいた槙野か岩波、あるいは降りてきたボランチ、今日なら金子につないでいるはずだ。
あ、まただ。これはひょっとすると。
キャンプの練習試合で札幌は、今季のレッズが取り組む後ろからのビルドアップをマンマークに近い形で潰した。それを避けるための戦術変更か。
試合後、リカルド監督は、両チームの消耗度の差を考えての戦術だと明かした。それが大きな理由だったとしても、練習試合の再現を狙っていたであろう札幌に肩すかしを食らわせたことは間違いない。
「今日も自分たちの哲学を貫き、勝利に値する試合をお見せできるよう全力を尽くします」
札幌戦の『MDP601号』に載ったリカルド監督の締めの言葉だ。
リカがこう言えば「今日も後ろからしっかりビルドアップして」と同義語だと思う。
正直なところ、札幌のプレスをはがしてビルドアップし、誰かがシュートを決めるところを見たかったのは間違いない。だが、それは8月9日の第23節まで待とう。
敵をあざむくにはまず味方から。
いや、あざむいたとも言えないか。もともとリカは前線へのロングキックを選択肢から排除しているわけではない。「相手の出方によって」と言っている。
もしかして、この第5節の伏線として練習試合では特に後ろからのつなぎにこだわったのか、とも空想してしまう。
それもノープロブレム。勝利のために、あざむいてくれて構わない。
だが「勝利に値する試合をお見せできるよう全力を尽くします」という言葉は、我々をあざむかなかった。札幌の攻撃を、西川を中心とした守りで封じながら、相手ゴールに迫っていた。
そして。
「川崎はずっと勝っていますし、黒星を付けたいです」
今日は、札幌戦後の記者会見で金子大毅が最後に言ったこの言葉を、現実のものにしてほしい。