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MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
日曜日に行われたJリーグの大分トリニータ戦は、良い試合の入り方ができて先制点も取れました。しかし、その後は難しい時間帯が訪れ、逆転されてしまいました。後半はまた良い立ち上がりでしたが、リードした相手に堅く守られて、なかなかスペースを見つけられず簡単ではありませんでした。その中で、選手たちが頑張って最後は相手のゴールをこじ開けたこと、また逆転で勝利できたということは非常に素晴らしかったと思います。
前半は先制した後もボールを持つことはできていましたが、相手に対して嫌な攻撃をしなくなってしまいました。また、守備でも強く行くところと行かないところで、全体の統一が失われてしまった印象があります。1点取ったら2点目、2点取ったら3点目を狙うという攻撃的なサッカーをするというのが我々の考えです。そう簡単ではありませんが、先制したらもう点を取りに行かなくていいということはありません。
また、前半の残り15分と後半の最後の数分に危ない場面を作られました。90分を通じて試合を支配するのが理想ですが、最初から最後まで良い時間にするにはまだまだ途中段階です。試合をこなすごとに良くなっているとは思いますが、良くない時間帯を短くするには、まず我々がきちんとした基準にもとづいたボールの持ち方をするようにし続けないといけません。
先週水曜日に行われたYBCルヴァンカップの横浜FC戦で逆転勝ちし、大分戦では一度逆転された後で再逆転しました。開幕からしばらくは、なかなか競り勝てなかったり、先制されたらそのまま負けてしまったりという試合が続きましたが、ここに来て競り勝つ強さがついてきたと思います。これはすごくポジティブなことですが、理想は手堅くしっかりと点を取って勝っていくことです。この点でもさらに上を目指していきます。
大分戦では途中出場の選手も勝利に貢献してくれました。先発の11人だけではなく、選手全員が一つになって戦うことは非常に大事です。
そして、このほど新加入のキャスパー ユンカーがチームに合流しました。まだ本格的に練習に合流したわけではなく、いつ頃から試合でプレーできるかはまだ分かりません。彼に求めるのは、まず浦和レッズの一員になることです。もちろんFWとしてゴールも期待していますが、その部分で大きなプレッシャーを掛けるのではなく、チームとして掲げている目標の達成に貢献する選手になってほしいと思っています。
本日はルヴァンカップのグループステージ第4節です。湘南ベルマーレとは大会初戦で対戦してスコアレスドローでしたが、そこから公式戦で10試合以上を戦っていますから、あのときと同じチームではないでしょう。前回の試合を参考にするというよりも、ここ数試合の傾向をしっかりと分析して臨みたいと思います。重要なのは、我々が自分たちのサッカーをして勝つこと、グループの首位に立ってステージを突破できるようにすることです。
大分戦に続いて週に2回、ホームゲームで勝つことができれば非常に大きな喜びです。まずはこの湘南戦に全力を尽くします。すぐにアウェイの福岡戦もありますし、この連戦をしっかりと戦っていきます。
平日に埼スタまで来てくれるファン・サポーターのみなさん、仕事を早く切り上げてテレビの前で観戦するみなさん、結果を気にしながら仕事をするみなさんに、ぜひ勝利を届けたいと思っています。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
開幕して約2カ月。開幕当時からチームはどんなふうに変わってきたのだろうか。
「たくさん試合をこなしていく中で、チームとしても自分としてもやるべきことがはっきりして、徐々に形ができてきたと思います。開幕当初よりも迷いなく、チーム全体でビジョンを統一してサッカーができている感じがあります。そこに結果が伴ってきました」
ファン・サポーターからは「佳穂のチームになってきた」という声もある。
「チームが目指している方向と、自分の特長がマッチしているな、という感触みたいなものはあるんですが、チームを勝たせるプレーというのはまだまだ足りていないです。それはアシストやゴールもそうですし、ミスをなくすことだったり、守備の部分だったり、すべての面でまだまだだと思っています」
4月21日に行われたYBCルヴァンカップ・グループステージ第3節の横浜FC戦はメンバー外となった。試合をどう見ていたのだろう。
「まずは勝てて良かったですが、チームが目指すサッカーを表現できていたかと言えば、内容的にはまだそれほどでもなかったというのが正直な印象です。でも、まだ慣れている段階の若い選手たちも多かったので、それは仕方のないことです。若い選手たちにとって勝てたことが良い経験になったと思います」
カップ戦では今季2度目のメンバー外。自身はどう受け止めたのか。
「しばらく出突っ張りでしたが、先週は少し休めました。でも(メンバーに入らずに)練習するのと、試合に途中出場するのとではあまり疲労は変わらないので、どちらになってもいいように準備はしていました。
ずっと試合に出突っ張りだと、一度試合から離れてチームを外から見てみたいという気持ちになるので、外れることもそれほど悪くはないかなと思ってます」
ここまでは自らシュートを打つよりも、攻撃の起点になるプレー、アシストのお膳立てをするようなプレーが多い。それでも、18日のJリーグ第10節セレッソ大阪戦では前半終了間際に非常に惜しいシュートを放った。
「(考え方が)難しいところですが、点を取るのは誰でも良くて、ゴールになる確率の高いプレーを選択したいというのが僕のサッカー観なので、無理に自分がシュートを打とうとは考えていません。C大阪戦ではチームとしてシュートが少なかったということが一つと、相手が引いて守備を固めていたので、相手を引き出す意味でミドルシュートが1本欲しかったというのがあります。それと『僕はミドルを打てるんだぞ』というのを相手に分からせて、自分に食いつかせたいというのもありました」
25日のJリーグ第11節大分トリニータ戦では、75分に槙野智章の同点ゴールを、82分には明本考浩からのクロスをゴール前でつなぎ、田中達也の決勝ゴールをアシストした。自身の言う「チームを勝たせるプレー」だった。今日の湘南ベルマーレ戦に勝てば、ルヴァンカップでは勝ち点でグループ首位に上がった状況で残り2試合を迎えることになる。
「僕は勝ち点を数えてどうこうというタイプではなく、出場するメンバーでその1試合の勝利を目指すという気持ちが強いので、これに勝てばどうなる、ということはあまり考えません。ただホームでの試合だから勝って終わりたいというのは強くあります。勝って場内を一周する、あの瞬間のためにやっているところはありますから。
すごくうれしいですし、応援してくれる人、来てくれた人が笑顔になって帰ってくれるというのは、サッカー選手冥利に尽きます。それと18番を掲げてくれている人はいるかな、というのはスタンドを一周するときにいつも見ています。本当に、あの瞬間が大好きです」
特別レポート
三菱重工浦和レッズレディース
文●清尾 淳
プレマッチ初戦は引き分け。試合のレベルアップは顕著
今年9月から始まる日本初の女子プロサッカーリーグ=WEリーグに参加する三菱重工浦和レッズレディースがファン・サポーターにお目見えした。
4月24日、午後2時から浦和駒場スタジアムで行われた2021WEリーグプレシーズンマッチで、三菱重工浦和レッズレディースはマイナビ仙台レディースと今季初の準公式戦を行い、1−1で引き分けた。
マイナビ仙台レディースはWEリーグ参加にあたって、なでしこリーグ時代と運営会社が代わり、監督になでしこリーグで実績のある松田岳夫氏を招聘。また選手では、日テレ・東京ヴェルディベレーザからなでしこジャパンFWの宮澤ひなたらを補強した。この試合では宮澤と、ちふれASエルフェン埼玉から獲得した長野風花が先発、同じくちふれASエルフェン埼玉から獲得した西澤日菜乃、日テレ・東京ヴェルディベレーザから加入した原衣吹がリザーブメンバーと、4人の新加入選手を起用してきた。
三菱重工浦和レッズレディースは立ち上がりこそ相手に主導権を握られる時間帯もあったが、徐々に本来のペースを取り戻し、20分に長嶋玲奈のクロスから菅澤優衣香が強烈なヘディングシュートを放つ。これは相手GKの好セーブに阻まれるが、その後も攻撃の手を緩めず、37分に猶本光と水谷有希の連係でエリア内に進入。相手のハンドによって得たPKを菅澤がきっちりと決めて1−0で前半を折り返した。
後半に入ると47分に猶本、48分に栗島朱里が惜しいシュートを放つが、いずれも相手GKに止められる。するとプレーの強度を高めた相手に攻め込まれる時間が増え、72分に失点してしまう。その後、ユースから昇格したばかりのFW島田芽依を投入するなど勝ち越しを狙うが実らず、そのまま引き分けた。
コロナ禍でも1,504人のファン・サポーターが見守る中、三菱重工浦和レッズレディースらしいコンビネーションとボールポゼッション、前への推進力など持ち味を見せたが、WEリーグ始動を前にマイナビ仙台レディースが大幅に強化されていることがはっきりと分かる一戦だった。
女子プロリーグ設立が日本の女子サッカーのレベルを一段も二段も引き上げ、来たる9月のWEリーグが盛り上がりそうな予感がする一方、三菱重工浦和レッズレディースがWEリーグ初代女王に就くためにはさらなる強化が必要だと感じる試合でもあった。
チームの底上げをどう図るか。代表選手を多く抱える悩みも
今季から浦和レッズレディースはチーム名(呼称)を「三菱重工浦和レッズレディース」に変更した。プロ化に伴って必要になる資金的裏付けを確保したものだが、これまでも遠征や合宿の費用をサポートしてきた同社がレッズレディースのネーミングライツを取得したのは自然な流れと言える。かつて「三菱重工業女子サッカー部」も保有していた同社には、女子サッカーに対する特別な思い入れもあるだろう。
一方、チームの強化に関しては、森栄次がユース、ジュニアユースを含めたレディース部門を統括する「総監督」になり、監督には昨季ユースの監督を務めた楠瀬直木が就任。指導体制は厚くなったが、選手の補強についてはほぼゼロの状態でプレシーズンマッチの開幕を迎えた。
昨季まで在籍した乗松瑠華、大熊良奈が大宮アルディージャVENTUSへ、加藤千佳がちふれASエルフェン埼玉へ移籍、小嶋星良が現役を退いた一方、新加入はGK福田史織、FW島田、DF河合野乃子がユースから昇格したのみ。少なくとも選手層が厚くなったとは言えない。
チームが強くなったがゆえの悩みもある。
なでしこジャパンは3月の後半、代表候補のトレーニングキャンプを行い、その後2試合の代表戦を行った。三菱重工浦和レッズレディースからは池田咲紀子、南萌華、高橋はな、水谷有希、塩越柚歩、菅澤優衣香、猶本光(トレーニングキャンプのみ)が招集され、中心選手の半数以上が1カ月間チームの練習に参加できなかった。4月15日から静岡県の清水ナショナルトレーニングセンターで5日間のトレーニングキャンプを行い、そこでようやく全員での練習が可能になったという状況だ。
このキャンプについて栗島朱里は、「全員でどういうサッカーをするのか、選手個々にどういうプレーをするのか。選手それぞれによって違うと思うので、選手ごとに自分のプレーを変えていくことも含めて、もっとチーム全体が強くなるためにという気持ちで臨んだ」(4月24日、マイナビ仙台レディース戦後の記者会見)と語ったが、全体での練習はそのキャンプを含めて9日間ほどで、あまりに短い期間であったことは否めない。
東京五輪を控え、なでしこジャパンの活動は今後も予定されているから、WEリーグ参加クラブの中で現在、最も多くの代表選手を抱える三菱重工浦和レッズレディースの悩みは続くことになる。
プロとしての自覚は十分。残り試合、さらに魅力的なプレーを
WEリーグの成功はいかに多くの観客に来場してもらうかに懸かっているから、お披露目の場としてこのプレシーズンマッチは非常に重要になる。選手たちも、試合を見てもらうことが喜びだけでなく“仕事”になったことをしっかりと自覚している。
栗島は24日の試合後、「コロナ禍であっても1,500人を超える方が来てくれた。これからはもっと多くのみなさんにスタジアムに来てもらうことが目標の中にあるので、見に来てくださった方にもう一度見てもらえるようなプレーをしないといけないなと感じた」と語った。
また南萌華はこう話した。「本当に多くの方が足を運んでくれて、これからはプロのリーグとしてもっとたくさんの方に来てもらい、楽しんでもらうサッカーをしないといけないと思う。プレシーズンマッチだが、チームとしても個人としても意識を高く持って、面白い試合をしてみなさんに楽しんでもらえるように取り組んでいきたい」
三菱重工浦和レッズレディースの魅力を十分に伝えつつ、控えメンバーを実戦で鍛えていくことも必要だ。残り3試合でそれがどこまで達成できるか分からないが、限られた機会だけにそれぞれが力を余すことなく発揮できる場でもある。またマイナビ仙台レディース戦を見る限り、公式戦と同じ緊張感と闘争心で戦わなければ、昨季より強化されている各チームに勝つことは難しそうだ。
9月のWEリーグ開幕がいっそう楽しみになるような、これからもそんなプレシーズンマッチを期待したい。
三菱重工浦和レッズレディースは、4月29日にノジマステラ神奈川相模原と、5月22日にINAC神戸レオネッサとアウェイで戦った後、5月29日の14時から浦和駒場スタジアムで新生チーム、サンフレッチェ広島レジーナとWEリーグ主催のプレシーズンマッチ最終戦を行う。
THE MDP
文●清尾 淳
デスクの前に張ってあるカレンダーにはもちろん試合の予定が書かれているが、大分戦の翌日から、終わった試合の日にマグネットを置いていくことにした。勝利が赤系、負けが青系、引き分けがそれ以外。不思議だが29年間、こんなことはやってこなかった。前回の「THE MDP」で「リーグ戦の連勝は止まったが、ホームでの連勝は続けたい」と書いたのを思い出し、あと1個で4月のホームゲーム4試合すべて赤のマグネットが置かれる、という状況を視覚で感じたかった。
日曜日の大分戦が終わった後、試合内容を反すうしながら、場内を一周する選手たちを双眼鏡で追っていた。
特に新加入の選手たちの表情に注目していた。
「試合の後でスタンドを見たりすると“15番”が徐々に増えているのかな、という気がしています。それは本当にうれしいことですし、今後も結果を残せればもっと増えてくれるのかな、と思っています」「90分が終わった後に笑って埼玉スタジアムを一周できるようにしたいです」という明本のコメント(MDP606号)を思い出したからだ。
スタンドを埋めたファン・サポーターが、声を枯らして選手の名を呼び、ゲーフラやマフラーを掲げる。あの光景を、新加入の選手たちはまだ味わっていない。
場内を一周した後に選手が一列になって肩を組み、サポーターと一緒に「We are Diamonds」を歌う。あの時間もまだ共有していない。歌詞を忘れそうになるほど(覚えていたら、だが)素晴らしいマフラーの波も見たことがないはずだ。
早く経験してもらいたいと思うが、まだしばらくは難しいだろう。
だが、あえてポジティブな面を探せば、今のスタンドは選手たちがゆっくり回れば一人ひとりのファン・サポーターと目を合わせられそうでもある。来たくても来られない人たちには非常に申し訳ないが、ある意味で濃い時間が流れている、と言えないだろうか。
今日のMDPで小泉は「勝って場内を一周する、あの瞬間のためにやっているところはあります」とまで言い切った。そう言えば25日は、スタンドに「18」が目立っていた。ちょうど今、レプリカユニフォームの「送料無料キャンペーン」をやっているが、その“競争”も注目されそうだ。
苦しくてもホームで勝ってくれた。
大分戦は相手に試合を支配された時間帯もかなりあり、4月のホームゲームでは一番苦しかった。しかし最後には勝った。試合を経るたびに、プレーがスムーズになっていくとともにメンタルが強くなっていく気がする。
また決勝点は、途中出場の汰木がビルドアップのキーだったし、最後を締めたのはやはり途中出場の達也。共にYBCルヴァンカップ横浜FC戦でも決勝点に絡んだ2人だ。「ルヴァンカップをリーグ戦につながる大会にしたい」というリカルド監督の意図が、絵に描いたように当たったわけだが、それを埼スタで披露してくれたのが何よりだ。
試合をたくさん見たい。タイトルを目指すことはもちろんだが、このチームの試合をもっともっと見たいから、ルヴァンカップで勝ち上がりたい。いま本当にそう思う。
ルヴァンカップ横浜FC戦は、間違いなくJリーグの大分戦につながった。次はあの大分戦を、この湘南ベルマーレ戦につなげる番だ。
できれば「俺もいるぞ!」と結果を出す選手が新しく現れて、喜びをこれまでの何倍にも膨らませて場内を一周してほしい。そして小泉が言うように「この時間のために…」と、“とりこ”になってほしいものだ。