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MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
浦和レッズはYBCルヴァンカップでベスト4に進出しました。川崎フロンターレとの準々決勝は、9月1日に行われた第1戦に続き、5日の第2戦もドローという結果でしたが、私は勝利に等しいと思っています。
川崎はJリーグ第26節のアビスパ福岡戦が実に43試合ぶりの黒星でした。そういうチームに対して180分間戦って良い場面を何度も作っていました。セットプレーなどから我々も合計4失点しましたが、3月に川崎と戦ったときとは全く違う内容の試合ができたと思います。
アウェイの第2戦では、最低2得点はしようと試合前から話していたのですが、前半のうちに2点目を取れなかったのが少し残念です。後半、1-1の状況からから2失点してしまいましたが、途中から入った選手たちの活躍で追いつき、アウェイゴールの差で勝ち上がることができました。
9月11日に行われた横浜FCとのJリーグ第28節は、我々の成熟度が試される試合でした。カップ戦で非常に良い結果を出してリーグ戦に戻りましたが、相手が19位のチームということで、選手たちの浮かれる気持ちが過信に変わってしまうのではないかという危惧があったので、そのことは試合前にしっかりと強調しました。
選手たちは、立ち上がりから良い姿勢を見せてくれました。そして先制点を取っただけでなく、終盤に2点目を挙げることができました。リーグ戦で4試合クリーンシートが続いているのも良いことです。
相手のチャンスに、体を張ってシュートを防ぐことができています。そういうプレーがなければ、1点差でリードしている試合を同点にされてしまうことがあるかもしれません。横浜FC戦では、相手のシュートを体で止めた明本考浩のプレーから、大久保智明のゴールが生まれました。
横浜FC戦だけでなく、シーズン終了までこの姿勢で戦い続けなければなりません。リーグ戦は残り10試合で、3位争いの相手との直接対決が終盤に多く控えていますが、それまでにしっかりと勝ち点を積んでいかなければ、直接対決の価値がなくなってしまいます。
シーズンの終盤に向かうこの時期に、チームのパフォーマンスが上がってくるのは、当初から目指していたことでした。8月に新しい選手たちが加わり、あまり練習時間が取れない中で連戦に挑まなければならなかったので、当初は内容があまり良くありませんでしたが、彼らが次第にチームに馴染んできました。
中断前の柏レイソル戦で、先発を9人を入れ替えてもチーム力が落ちなかったということがありましたが、今また一人、二人の選手に頼らず誰が出ても同じ力が出せるようなチームに近づいています。汰木康也や大久保に今季初ゴールが生まれたのもポジティブな要素です。ケガを抱えている選手たちも徐々に戻ってきています。
本日の相手セレッソ大阪は、監督が代わってまた強度の高いコンパクトな試合ができていると思います。水曜日のACLも敗れはしましたが力強く戦えていたと思いますし、ガンバ大阪とのルヴァンカップもしっかりした内容でした。
4月のアウェイ戦では良い試合ができましたが、我々は勝ち点を取れませんでした。今度は必ず勝ち点3を取りたいです。
そのために、今日も最高レベルのパフォーマンスで戦います。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
前節の横浜FC戦では小泉佳穂のクロスにヘディングで合わせて今季リーグ戦初ゴールを記録。公式戦での得点はルヴァンカップグループステージ第6節の横浜FC戦以来だが、このところは得意のドリブルからの仕掛けだけでなく、ワンタッチでゴールを狙うシーンが増えている。
「チャンスの場面で中に入っていって、ワンタッチでゴールを狙うということは以前よりも意識しています。攻撃の最後の場面で周りを見るようにしていて、それがチャンスにつながっています。
ドリブルは自分の特長の一つではありますが、『ドリブルでスタジアムを沸かせたい』というような欲はなくて、一番早くゴールにたどり着くプレーを選択するようにしています。その結果が、徳島戦でのタカ(関根貴大)へのアシストにもつながりました。
その後の広島戦と湘南戦で登録メンバー外になりましたが、これまでのプレースタイルだけでは駄目なのかなと少し考える時間ができて、それでよりシュートを意識するようになりました」
昨季まではシュートか、ドリブルか、パスかの判断に迷いが見られるシーンがあったが、今季は迷わずシュートを打つ場面が増えている。
「自分の一番の仕事は『ゴールを作る』ことであり、他の選手がいい位置にいるのに自分のエゴでシュートを打って失敗するのは最も良くないパターンだと思っています。少し矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、選択肢を広く持ちつつ、自分のシュートにもこだわるということです」
川崎とのルヴァンカップ準々決勝第2戦では、18分に関根のクロスを受けてシュートを放った。惜しくもGKのセーブに阻まれたが、自分に最も可能性がある局面で迷わずシュートを打てたという意味で、今後につながるプレーだった。
「あの試合は特にシュートを意識して入りました。チャンスが来たら迷わず足を振ってやろうと思っていたので、あの場面ではそれができて良かったです」
横浜FC戦のゴールは珍しくヘディングによるものだったが、大原では全体練習後に平川忠亮コーチとヘディングシュートの練習をする汰木の姿があった。
「ヒラさん(平川コーチ)だけではなく、他のコーチからも『ヘディングでシュートを決めろよ』と言われていました。自分のストロングポイントではないにしても、身長が183センチあってヘディングが苦手というのも問題なので、毎日というわけではないんですが練習を始めました。
クロスに合わせるだけの簡単な練習で、守備はGKしかいないんですが、それでも1本も枠にいきませんでした。横浜FC戦でのゴール(※動画)は練習していたパターンとは違いましたが、練習していて良かったです。これからはどんどんシュートエリアに入っていって自らボールを呼び込んで決められるようになりたいです」
リーグ戦は現在6位、ルヴァンカップではベスト4進出。自身がレッズに加入した2019年以降で最も良い成績だ。
「一つも落とせない試合が続き、カップ戦もある。毎試合これだけの緊張感を味わえるシチュエーションは、これまであまりありませんでした。そういう中で川崎相手に勝ち抜けましたし、リーグ戦で勝ち続けていくことがチームの成長につながると思うので、この緊張感を維持していきたいです。
C大阪については4月のアウェイ戦に出ていなかったので、今季のイメージはあまりありませんが、3-1で逆転勝ちした昨季のホームゲームの良いイメージが残っています。昨シーズンのあの時期は良い感覚でプレーしていた印象があるので、それを大事にしたいですね。それと乾(貴士)選手が帰ってきたので、同じピッチで戦えるのが楽しみです」
リーグ再開後の公式戦9試合で先発を外れたのは湘南戦だけ。左サイドハーフ、FW、左サイドバックと異なる3つのポジションを高いレベルでこなしながら、試合ごとに顔ぶれが変わる周囲の選手たちとうまく連係している。「自分のポジションはどこか?」と聞いたら、本人はどう答えるだろうか。
「空いたところで出ようと思っています(笑)。レッズにはうまい選手がたくさんいるので、足を止めずに周りの選手のためのスペースを作るとか、誰かをフリーにするためにランニングするとか、そういうプレーが必要だと思っています。
選手の特長はそれぞれ違うので、ドリブルが得意な選手なら自分はあえてオーバーラップしないとか、ワンツーを狙いにいくとか、連係する選手によって使い分けています。ただ、攻撃時の僕の主な役目は、相手の一人をロックすること、ランニングで相手のラインを下げることだと思っています」
マッチアップする相手も自分のポジションによって違ってくる。そこへの対応はどうだろう。
「相手選手の研究というのはあまりしません。特長がスピードなのか、テクニックなのか、フィジカルなのか、事前に把握するのはそれぐらいですね。いかに自分の間合いに持って行くかのほうが大事で、実際に対峙したときに、『この間合いでいける』と思えばそれでいきますし、一度やられたら別のやり方でいきます。そうやって、その都度対応しています。
試合ごとにポジションが変わっても、起用されていること自体ありがたいですし、個人としてはもっともっと結果を残さないといけないと思っています」
今季はここまでリーグ戦全28試合に出場し、チーム2位の4ゴールを挙げている。J2の栃木SCでチーム最多タイの7得点を挙げた昨季の数字にはまだ及ばないが、味方のゴールやアシストに貢献するプレーが数多くあり、ファン・サポーターはそこを頼もしく感じている。
「チームのために走るのが僕のストロングポイントですし、そういうところを見てほしいという気持ちはあります。今季の4ゴールの中で自分が最も理想とする形は、相手の裏に抜けて西(大伍)選手のロングパスを受けて決めた鹿島戦でのゴール(※動画)ですかね。
これまでゴールを取れるシーンはいっぱいあったので、4得点という数字には満足していません。個人としては昨年のゴール数を超えたいという目標があるので、がんばります」
リーグ戦は残り10試合。今節は約2カ月ぶりの埼スタでC大阪と対戦する。
「アウェイの対戦では多くのチャンスがあったのに決められず、ワンチャンスで1点を取られてしまいました。僕自身にも決定機が1本ありましたし、本当に悔しい試合でした。ああいう試合で勝ち点1でも持って帰っていれば、今はもっと良い位置にいたと思います。
終盤に上位陣との対戦が残っていますが、それまでに離されていたら勝負になりません。しっかり勝ち点を取って、離れずにいきたいです」
平野佑一の加入でボランチのポジション争いは激しくなったが、そんな中でもリーグ戦全試合出場を続けている。
「シーズン前半は僕と海くん(柴戸)が出ることが多かったですが、プレースタイルの違う佑一くんが入ったことで、より危機感が増しましたし、良い刺激にもなっています。
攻撃時の体の向きだったり、相手をかわしてのワンタッチパスだったり、佑一くんのプレーからは学ぶことが多いです。特にベンチで見ている時間が長かった川崎との2試合ではいろいろと感じることがありましたし、今はそういう部分を練習から意識的に取り組んでいます」
川崎とのルヴァンカップ準々決勝第2戦では80分から出場。直後の83分に3点目を奪われてチームは2点のビハインドを背負ったが、87分、94分にゴールを決めて3-3とし、アウェイゴール差で準決勝進出を決めた。
「1-1の時点で交代の準備をしていたのですが、監督の指示を聞いている間に1-2にされてしまいました。その後、すぐに1-3になったときには正直『厳しいな』と思いましたが、キャスパー(ユンカー)が決めて2-3になってからは『行けるぞ』という気持ちでした。
3-3になった瞬間にピッチにいたというのもありますが、あんなに興奮したのは久しぶりです。これまでで一番印象に残る試合でしたし、本当にうれしかったですね。最後のCKの場面では僕も中にいて、自分の所に来たら必ず決めてやると思っていたのですが、後で映像を見たらあの場面で動いているのは槙野(智章)くんだけでした。ああいう嗅覚は自分にはないものですし、すごいなと思いました。
ホーム&アウェイの180分で決まる試合は、リーグ戦とは戦い方が違って難しかったですが、良い経験をしていると思います」
前節の横浜FC戦ではリーグ再開後初めて2点差で勝利。同期の大久保智明が終了間際に2点目を決めたときにはベンチ前で祝福した。
「トモ(大久保)のゴール(※動画)は素直にうれしかったです。でも、リーグ戦での初ゴールというところで先を越されてしまったので、自分も早くリーグで決めたいですね」
リーグ戦は残り10試合。舞台を駒場から埼スタに移してC大坂と対戦する。
「駒場での試合が続きましたが、埼スタとはまた違った雰囲気でしたね。子どもの頃から思い入れのあるスタジアムということで、特に駒場では負けたくないという気持ちが強かったので、負けなしで終えられて本当に良かったです。レッズレディースの試合が駒場で行われるのも良いことだと思います。
C大阪とのアウェイ戦で自分は前半で交代してしまったのですが、本当にもったいない試合だったという印象が強いです。こちらが攻める時間が長く、シュートも多く打っていたのに、CKのこぼれを決められてしまいました。
3位を目指すうえで勝ち点を落とせない試合が続きます。あまり先のことは考えず、1試合1試合勝っていきたいです」
三菱重工浦和レッズレディース ホーム開幕!
文●清尾 淳
試合終了の笛が鳴ると、ベンチから控えの選手たちが飛び出していった。9月12日のWEリーグ第1節、味の素フィールド西が丘。三菱重工浦和レッズレディースは敵地で日テレ・東京ヴェルディベレーザに2-1で勝利した。
リーグ戦1試合の勝利の瞬間としては、喜びの表現が少々派手すぎたかもしれない。だが、記念すべき日本初の女子プロサッカーリーグの開幕戦。相手は最大のライバルと目される、アマチュア時代の日本女子リーグ最多優勝チーム。そして前半に先制されながら、後半に追いつき、88分に勝ち越すという劇的な逆転勝利…。そういう流れを考えれば、彼女たちの反応は当然のものだった。例えて言えば、9月5日のYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦で川崎相手に勝ち抜けを決めた直後の浦和レッズの心境に似ていただろう。
WEリーグ開幕戦に臨んだ三菱重工浦和レッズレディースのイレブン
この感動がこれから何度も味わえそうだ。しかも駒場で。浦和駒場スタジアムは今季11年ぶりに浦和レッズのホームゲーム会場として使用され、通算4勝2分けの成績を収めた。レッズの原点を改めて感じることができた6試合だった。
その駒場をホームとして、WEリーグ初代女王を目指す浦和レッズレディースの戦いが始まった。一昨年から2シーズン監督を務め、昨季チームをなでしこリーグ優勝に導いた森栄次を総監督に、レディースユースを指揮していた楠瀬直木を監督に据えて体制を強化。ネーミングライツにより経済的な基盤も整備し、プロチームとして2月の始動からここまで練習を積んできた。開幕戦でライバルを下し、9月20日には第2節ノジマステラ神奈川相模原戦で、歴史的なホーム開幕を迎える。
ここからは浦和レッズレディース・オフィシャルライターの青柳舞子さんに登場してもらおう。
WEリーグ初代女王への第一歩〜開幕戦で東京NBに劇的逆転勝利
──青柳さんは開幕の東京NB戦をどう見ましたか。
青柳 ペース配分など、自分たちで試合をコントロールするようになったのかなと感じました。去年は常に2~3人で相手を囲んでボールを奪っていたと思うんですが、後半にスタミナが落ちてピンチを招くこともありました。今季は、良い意味で焦らなくなったと思います。チームとしてもまだ70パーセントぐらいではないかと思いますし、もっと高みに昇っていけると感じています。──プレーの強度も高くなったようですが。
青柳 はい。4月からプレシーズンマッチを5試合やりましたが、1勝3分け1敗とあまり勝てなかったことですごく引き締まったと思います。その後、日本代表選手や年代別代表選手が招集されて、人数が少ない時期も長かったのですが、選手全員がかなり危機感を持っていたと思います。その辺りから強度も上がってきたようです。
──他のチームは選手の補強が盛んでしたが、レッズレディースはユースから3人が昇格したのみで、即戦力の補強はありませんでした。
青柳 ユースから昇格したばかりの島田芽依選手(24番・FW)がプレシーズンマッチや開幕戦で起用されたことで、若い選手たちが「自分たちにもチャンスがある」とかなり練習で力強いプレーを見せるようになりました。文字どおり目の色が変わりました。一人の有力選手が入って、ということではなく、チーム全員がレベルアップをして、もう一度タイトルに挑もうという意識になったと思います。
──同点ゴールを決めたFW菅澤優衣香選手、決勝点のMF塩越柚歩選手、何度もピンチをしのいだGK池田咲紀子選手、DF南萌華選手の4人は、東京2020オリンピックにも出場していました。
青柳 彼女たち代表組は五輪が終わってから少し長めのオフをもらったんですが、ケガ気味だった菅澤選手以外の3人は、もっと休んでいなくていいのか、と思うほど早く練習に出てきました。ある意味で悔しさを抱えて戻ってきたのではないかと思います。五輪で果たせなかった思いを、東京NB戦でぶつけようという気持ちがあったのかなと感じました。
一生懸命さの中に思いやりが~レッズレディースの魅力とは?
──青柳さんが感じるレッズレディースの魅力は何ですか。
青柳 練習にも試合にも一生懸命なのはもちろんですが、一番素敵だなと思うのは森総監督が「思いやりのある選手を育てたい」とおっしゃっているんですが、それが垣間見えることです。ピッチの中で掛けている声が、お互いがお互いを補い合うようなものなんですね。それが聞いていてすごく素敵だなと思います。そのうえで攻撃的なパスがつながるあのサッカーを、みんなが楽しそうにやっている。それが非常に魅力的です。
私はレッズレディースの仕事を始めてから女子サッカーに対する見方が変わりました。本当に「楽しいからみんな見に来て!」という気持ちになっています。一人ひとりの選手も魅力的なんですが、チームとしてまとまったときに、より魅力的になりますね。
──走るスピードやキック力などが男子に劣るのは仕方ないとしても、練度の高い連係プレーはリーグ一と言っていいですし、球際で負けない激しさや強さは昨年よりも増していますね。
青柳 私は2018年からレッズレディースを見させてもらっているんですが、2019年に森さんが監督になられてから、すごく変わりました。女子サッカーは男子よりも選手のキャラが見えるような気がするんですが、今のレッズレディースは一人ひとりの表情が輝いていますから、顔を見ているだけでも楽しいです。
──2019年からチームがどう変わったかということは青柳さんが別のところに書いてくれています(https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202109100039-spnaviow)。レッズレディースの特長は、育成出身の選手が多いということですね。今季在籍している25人(レディースユース所属を除く)のうち15人がそうですし、開幕戦で見るとベンチ入り18人のうち11人が育成出身で、そのうち6人が先発していました。中学、高校年代の6年間、トップチームの隣のグラウンドで練習し、同じユニフォームを着て育ってきてトップに上がってきた選手は、戦力として重要だし実績もあります。さらに森総監督は、育成チームでもトップの軸となるスタイルを作っていきたいと話していますから、昇格してからのフィットが早くなっていくでしょうね。
青柳 レディースユースは本当にトップと同じようなサッカーをしています。選手同士の距離感が良くて、人もボールもどんどん動いて相手ゴールに迫るという。森総監督がいつも言っているのは「トップチームに魅力がないと、入って来てくれる選手が増えない」ということなんです。育成チームで選手を育てることとトップチームを強くすることは、両輪でやっていかないといけないということですね。
──今季のWEリーグは20試合と比較的短く、1試合の結果に重みがあります。開幕戦で東京NBに勝ち点を与えず、勝ち点3を得たことで、初代女王に向けて確かな一歩を踏み出したと言っていいでしょう。これから初めてレッズレディースを応援するというファン・サポーターもいると思いますが、優勝への道を共に歩んでいってほしいですね。
青柳 森総監督は「チーム一丸」という言葉をよく使うんですが、そこにはファン・サポーターも含まれているんだよ、と言っています。3年前、レッズレディースに来たとき、一番驚いたのはファン・サポーターの熱さだったということです。
新しくできたプロリーグですから、これまで応援してくれた方々と合わせて、改めて多くの人たちと一緒に作り上げていくということができると思います。
ダブルの後押しでダブルの歓喜を
今季6試合あった浦和駒場スタジアムでの浦和レッズ公式戦は、コロナ禍での入場制限もあり、いずれも5000人弱の入場者数だった。浦和レッズの試合で5000人は決して多くないが、レッズレディースのホームゲームで2000人を超えることはあまりない。
この夏、Jリーグやルヴァンカップの試合を駒場で取材しているときに、こういう中でレッズレディースにも試合をしてもらいたいなと何度も思った。普段から「多くのファン・サポーターに来ていただくことでパワーをもらっている」と本音で語る選手たちが、5000人の駒場で試合をしたときにどんなプレーを見せてくれるのか。
宇賀神友弥を始め、浦和レッズの選手たちもレッズレディースに注目し、盛り上げのためにSNSなどでの発信に協力してくれている。同じプロという立場になって、一体感が増しているようだ。
9月12日の東京NB戦前日は、Jリーグの横浜FC戦だった。2試合続けて気持ちの良い勝利。最高の週末だった。これまでも両方のチームを後押ししてきたファン・サポーターが味わってきたダブルの喜びを、より多くの人に感じてもらいたい。
浦和の名を冠する2つのプロチームが、共に日本の頂点に立つシーズンは決して遠くないと信じている。街中がダブルの歓喜に包まれることを想像すると鳥肌が立つ思いだ。
まずは9月20日のホーム開幕戦に足を運んでほしい。
https://www.urawa-reds.co.jp/redsladies/tickets/
男女両方のチームを応援することで、ダブルの喜びを味わうことができる
浦和の誇りを抱き続けて~1 GK 池田咲紀子
子どもの頃から「サッカーのまち浦和」「浦和と言えばレッズ」という感覚でサッカーをやってきました。その浦和レッドダイヤモンズの一員として、浦和の誇りを胸にずっと戦ってきました。
ずっと抱いていたプロになりたいという思いが実現したのはうれしいですし、いっそうの責任や果たすべき役割があると分かっています。
WEリーグ初代女王になるのがチーム全員の目標ですし、開幕の東京NB戦での勝利という結果は、その強い気持ちの表れだと思っています。この姿勢を持ち続けて最後の20試合目まで戦います。
今年、駒場で行われたJリーグの試合を見て、私たちも5000人のファン・サポーターの中で試合ができたらどれほど力が出るのか、と思いました。初めて試合を見た方が「また来たい」「次は友だちを誘って来たい」と思っていただけるような試合をしていきますので、ぜひ駒場に足を運んでください。
また浦和レッズの選手たちも応援してくれたり、SNSなどでレディースを盛り上げてくれたりして、本当に感謝しています。浦和ならではの強みだと思いますが、私たちもWEリーグ優勝に向かって進むことで、浦和レッズの選手たちの刺激になりたいと思っています。
ぜひ、一緒に闘ってください。
【プロフィール】
いけだ・さきこ 旧浦和市出身。中学3年生からトップチームに登録され、2011年にユースからトップ昇格。育成時代を含めて在籍は通算17年目となる。シュートストップのうまさはもちろん、リーグ随一の足元の技術は攻撃のビルドアップや、高い守備ラインを保つのに欠かせない。なでしこジャパンのメンバーとして東京2020オリンピックにも出場した。
THE MDP
文●清尾 淳
主力選手がチームを離れたとはいえ、絶対の強さを誇ってきた川崎を相手に互角以上の戦いをし、劇的な形でベスト4の座を奪った。
リーグ19位の横浜FCには、今季公式戦で3戦3勝しており、川崎戦の後で気持ちを緩めずに戦えるのか、という懸念があったが杞憂に終わった。
9月1日からの3試合は、残りのシーズンを占うような意味があったと言える。
川崎をリスペクトし過ぎず、横浜FCにおごることもなく、どんな相手にもどんな状況でも自分たちの力を出し切る戦いができた。
今季の公式戦は最多で残り16試合。その中にはJリーグで首位争いを演じているチームとの対戦もあれば、3位を狙う足がかりにレッズを倒そうというチームとの試合もある。カップ戦では決勝への切符を奪い合う戦い、さらにはタイトルを懸けた決勝もある(と信じている)。
どの試合でも、プレッシャーをもパワーにして、高いモチベーションで自分たちの力をしっかりと発揮することができる。そういう、ある意味で“図太い”チームになってきたように感じた9月の前半だった。
そして、自分たちの力を100パーセント発揮することができれば、望む結果が得られる。そう言っても身内ぼめではないほど、レッズの最大値は高くなってきた感覚がある。
例えば横浜FC戦の2つのゴールだ。我慢強く守った後、小泉のボール奪取から始まり、1回目の右足クロス。そのリバウンドを関根が拾い、再び小泉が右足…のフェイントから左足クロス。中には江坂、敦樹、汰木の3人が入っており、さらに明本がファーへ走り込んでDFを1枚はがした。最後は誰もが驚いた汰木のヘッド。練習とは違う形でも、頭で決めるという感触を身につけていた成果だった。
2点目は、相手のFKからのシュートを槙野と明本が体に当てて守ったところからのカウンターだった。相手がシュートを打つタイミングでは誰かが前に立ち、体で止めるという、見るからに痛そうなプレーが徹底されているからこそ生まれたチャンスだった。もちろん、シュートを打たせないよう、相手のボールホルダーにしっかり寄せ、かつ寄せすぎてかわされることのない距離を保ち、決定的な仕事をさせない、粘り強い守備もリーグ戦でクリーンシートを続けている要因だ。
終盤に向かっていくとき、最大値がさらに上がりつつある予感がある。
汰木と大久保に今季初ゴールが生まれたこともその契機だ。点を取ろうと繰り返してきた努力。その蓋が開いた。ケチャップ理論を展開する気はないが、汰木は昨季、第21節の鳥栖戦で初ゴールを決めてから3試合連続で得点に絡んだ“実績”がある。大久保も、あの絶妙のパスと落ち着いたシュートで“何か”をつかんだのではないか。
最大値が高まっていく一番の背景は、新加入選手たちのフィットとそれによる競争の激化だ。リカルド監督は再開以降の9試合で、20人の選手たちを先発でピッチに送り出してきたが、その結果“ベストメンバー”が複数、頭にあるのではないか。だから競争はシーズン終了まで続き、それによる底上げも終わりがないだろう。
大事なのは、100パーセント出し切ること。そして、その雰囲気を作ること。
終了の笛と同時にピッチに倒れ込むほど、出し尽くす選手がいても大丈夫だ。
埼スタは、戦い終えた彼らを温かく包み込み、癒やす場所だから。