MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
先週の土曜日、ここで行われたガンバ大阪とのJ1リーグ第32節はドローで終わりました。
立ち上がりは我々が試合を支配し、非常に多くのチャンスを作っていました。データを見ても、これまでで最も決定機が多い試合でした。相手を押し込んだ状態では、ゴール前を固められることが多いというのは分かっていたので、そこを打開するための練習をやってきましたし、これからもそれは課題となります。
守備では、速い攻守の切り替えで相手の攻撃回数を減らしただけでなく、流れの中で攻められたときにしっかりとゴールを守ることもできていました。これからの試合は無失点で終えることが大事になってきます。
私はいつもパフォーマンスと結果は別だと言っています。
例えば8月には、徳島ヴォルティス戦のように内容が良くなくても勝つという試合が続きました。逆に、内容が素晴らしくても勝てなかったのが今回のG大阪戦です。どちらが大事かと言えば、G大阪戦のような試合を続けていくことです。なぜゴールが決まらなかったのはプロとしてしっかり分析しなければいけませんが、勝てなかったことで必要以上にナーバスになったり、焦ったりすることは禁物です。
勝敗は重要な要素ですが、パフォーマンスが右肩上がりになっていくことはさらに重要です。良くない結果にとらわれて、パフォーマンスの向上が妨げられるのが一番良くありません。
G大阪とは来週、天皇杯の準々決勝で対戦し、今回の答えを出すチャンスがあります。今は目の前の柏レイソル戦に集中しましょう。
柏の特長は速攻です。縦に速い攻撃が得意で、前線には能力が高い攻撃陣がいます。我々はしっかりとチームプレーで対応し、相手の攻撃を封じたいと考えています。そして攻撃でもチームプレーで点を取ります。
相手はまだ残留を確定していませんから、勝ち点1を狙ってくる可能性もあります。前節のG大阪もそういう部分が見られ、勝ち点1を得たことを喜んでいました。この時期は、それぞれのチームがそれぞれの目標に向かって戦っているので、それは当然のことです。
我々は自分たちの目標であるACL出場権獲得のために勝ち点3を積み上げなければなりません。この試合ではG大阪戦の内容を再現すること、そして今度はゴールに結びつけることが大事です。
ACL出場権を目指して、浦和レッズは一丸となっています。シーズン終盤で多くの勝利を収めれば、それは実現すると信じていますし、我々にはその力があります。それを示す試合にしたいと思います。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
ガンバ大阪戦では長い時間良い攻撃ができていながら点が取れなかった。経験のある選手として、そういうときのメンタル、あるいは終盤に先制点が入ってからの試合運びをどう捉えているだろうか。
「90分の中で良い波もあれば悪い波もあるので、良い波のときに仕留められなかったのは残念です。耐える時間帯と攻める時間帯があるということは、みんなも分かっていると思います。
勝ち点3を取れなかったのは、良い時間帯に点が取れなかった攻撃陣の責任のように思われがちですけど、そうではなく後ろの責任だと思います。いろいろなことが重なってPKになってしまいしたが、最後に1点取ってくれたのに守りきれなかったことは反省しないといけません。
ただ、1−1になってからも、チームとして最後まで勝ちを目指す姿勢は出せたと思います(※動画あり。G大阪戦アディショナルタイムの小泉佳穂のシュート、田中達也のシュート)」
柏ユースの3年後輩であり、長く欠場していた左サイドバックの山中亮輔がG大阪戦から先発に戻ってきた
「ヤマ(山中亮輔)の特長である、精度の高いクロスはチームにとってプラスですし、G大阪戦ではそれがかなり出ていました。
左サイドバックに誰が入るかで、自分のプレーに変化はありません。うまくバランスを取って、前に行けるときは行く、という姿勢は変わりませんから。相手の配置によっては、自陣に残っている必要もないので、左からチャンスを作っているときでも、自分が前に行くことはあると思います。
ヤマとは3年違いですが、二種登録でトップに来ていた頃から左足のキックに特長がありました。昔から知っている選手とこうやって一緒にできるというのはなかなかないことですし、それを浦和レッズのような大きなクラブでやれているのはうれしいです。しかも次の相手はレイソルですから、思い入れのある試合になると思います」
今のレッズのストロングポイントと今後の課題をどう考えているだろうか。
「チームで話し合いながら、そのときによって戦術を変えていけるのは強みだと思います。もちろん、戦術に関しては試合前やハーフタイムに監督から指示がありますが、それを理解しつつ、試合状況や相手の戦い方に合わせてピッチの中で少し変化させることができる選手が多いです。
今はそれにプラスして、勝ちきる精神力や相手に与える“圧”がほしいと思っています。チームは常に成長していくものなので、足りないものを常に課題として挙げていくことが大事です。もう完成形だというチームは落ちていくだけですが、今のレッズは非常に良い状態だと思います。ただし常に、結果を求めていかないといけません」
リーグ3位以上と天皇杯優勝という目標に向けて、歩みを止めずに戦わなければいけない。柏戦では勝利が必要だ。
「ホームではずっと勝っていた中で、G大阪戦でそれができなかったのは本当に残念です。『負けなし』よりも『全勝』のほうが響きが良いですからね。ただ、それを引きずっていても仕方がないので、リーグ3位に向けてやっていくだけです。
ACL優勝は僕のキャリアで果たしたいことの一つですし、これまで2回優勝している経験値というのは、選手が入れ替わってもクラブとファン・サポーターからは失われていないはずなので、レッズの魅力です。今の選手はみんな狙っているので、先日スタジアムに掲げられた「ASIA」の文字は、『目標を共有できている』という気持ちになりました。
レイソルにはお世話になった人たちがいるので、監督やスタッフに成長した姿を見せたいという気持ちはありますが、ピッチに入ったら他の試合と同じように全力で勝ち点3を取りにいくだけです。相手の攻撃を封じて失点ゼロで終えたいですし、そこは責任を持ってやりたいです。1点取れば勝てるというチームに戻していきたいです」
G大阪戦では前半に長い時間攻勢を取りながら無得点。自身もGKに弾かれた45分のシュート(※動画あり)をはじめ、5度のチャンスがあった。心理的にだんだん難しくなっていったのではないか。
「立ち上がりから自分たちがボールを保持して良い攻撃ができていたので、15分くらいで1点は取りたかったですし、その後も前半のうちに何とか1点を取って後半を優勢に進めたいという気持ちでした。
自分にも何度かシュートチャンスがありましたが、そこに至るまでのパス回しや選手同士の距離はすごく良かったです。あとは最後のシュートを決めるだけという状況で、なかなか入らなかったですが、続けるしかないという気持ちでした」
試合終了間際のシュートが相手のハンドを誘ってPKを獲得。VARによる確認が4~5分あり、判定を待つ間の心境が心配されたが見事に成功させた。
「PK獲得のシーンは、後半良い形ができていなかった中で、ようやくエリア内でシュート気味のプレーに行けた場面でした。相手の好ブロックに阻まれてしまったと思っていたので、初めはなぜVARになったのか分からなかったのですが、会場に映像が流れて『これはPKかもしれない』ということで蹴る準備はしていました。相手GKはすごく良い選手ですが、しっかりとコースを決めて蹴ることができたので、それほど不安はありませんでした。
その後に追いつかれたのは残念ですが、それよりも最後の数分間でまた攻撃する場面がありながら、そこで決めきれなかったことが最近勝ち切れていない原因なのかなと思います」
どうしても勝ちたい試合、勝てたはずの試合がドローになった。メンタル的に厳しいものがあるかもしれない。
「ヴィッセル神戸戦で大敗した後に、ルヴァンカップでも勝てそうな試合を勝ち切れずに敗退してしまったので、G大阪戦は絶対に勝とういう気持ちでした。思っていたのとは違う結果になりましたが、内容を見ると前半は自分たちがやりたい流動的なサッカーが長い時間できていました。そこはすごくポジティブに捉えています。あとはゴールするだけ。これをどんな試合でもできるようにならないといけないと思っています」
これまでJ1での年間最多ゴールは「9」。今季途中に加入してここまでリーグ戦10試合で4得点、ルヴァンカップで1得点だが、単純な試合数で計算するとキャリアハイのペースだ。
「いろいろなポジションをやらせてもらって、いろいろな選手と組んで、自分の特長を出せているので充実しています。より攻撃的なサッカーができていますし、ゴールに迫る回数も多いので、得点のペースとしては悪くないと思います。ただし、そのうちの2点はPKですし、チャンスの数から言えばもう2~3点は取れていたので満足はしていません。それを取れていたらもっと勝てていたはずだし、もっと良い内容の試合になっていたはずです。そこに自分の課題があると思っていますし、まだまだ貢献しないといけないです」
ピッチ内外でのチームの雰囲気をどう感じているのだろう。また、関根貴大とは試合での連係だけでなく、練習でも仲の良さが目立っている。
「ポジション争いが激しい中で、みんなが自分の特長やチームでやるべきことを出そうとしていますし、良い雰囲気で切磋琢磨できていると思います。オフのところではみんな和気藹々としていますね。盛り上げてくれる選手もいますし、コミュニケーションが取りやすいです。
タカ(関根)とは、ポジションが近いこともあってよく話します。長くレッズにいる選手なので、練習後のジョギングのときになどに、チームのことを教えてもらっています。試合ではお互いの動きを見て動き出していますし、そこでも良い関係性ができていると思います(※動画あり。9月18日のC大阪戦、関根と江坂の連係による得点)」
今季は3月に日本代表に初選出され、その後レッズに移籍と動きのあるシーズンとなった。そして今節は古巣である柏との対戦を迎える。
「代表に選んでもらったこと、レッズに移籍したこと、どちらも自分の今後にとって大きな出来事です。ただ、また代表入りを目指すというよりは、レッズでどれだけ貢献していくかだと思います。リーグ3位という目標は1戦1戦勝っていった先に見えてくるものなので、目の前の試合に集中していきます。
柏はカウンターが鋭いチームなので、自分たちがボールを保持しているときの奪われ方には注意しないといけないですし、攻守の切り替えのところも意識しないといけません。僕は3カ月前まで一緒にやっていて選手の特長や監督の考えはだいたい分かりますから、それをチームに落し込めればと思っています」
これまでレッズとの対戦も多く経験してきたが、今季最多入場者となったG大阪戦の雰囲気について、何か感じるものはあっただろうか。
「ゴール裏などを見て『レッズだな』というのは感じました。以前、特に大宮アルディージャにいたときは、満員の埼スタの“圧”を感じたので、早く満員のスタジアムでやりたいという気持ちは強いです。『コロナ禍が収まってほしい』という思いを、より強く感じた試合でした」
G大阪戦では78分から出場。いきなり逆サイドで相手ボールをカット(※動画あり)するなど、プレー範囲の広さを見せた。その後は本来の左サイドで連係から崩しにかかったが、得点への絡みはなかった。
「もともと中に絞ってプレーするよう言われていましたし、あそこは僕がしっかり行くべき場面だったと思います。相手のボールが出てくるのが分かったので、トラップのところで奪おうと狙っていて、それがうまくいきました。気持ちの良いプレーでした。
それ以外のプレーについては、0-0から点を取りに行くという状況だったので、自分自身のプレーについては仕掛けの部分などで少し物足りなかったと感じています。ゴールに向かうプレーは、佳穂くん(小泉)との連係で行きかけたシーンぐらいだったのが残念です。
PKで先制した後、ベンチから『終わり方をしっかりやろう』と指示があったのですが、あの時間帯に点が取れたことで『勝った』と思ってしまった部分はあったかもしれないです。最近勝てていなかったことも影響したかもしれません」
今季はメンバー外の状態からスタートしたが、リーグ戦での先発機会が増え、第28節の横浜FC戦ではレッズでの初ゴールも挙げた。ここから次の段階に上がりたいところだ。
「今季はまず試合に出ることを目指していて、その次の課題がゴールでした。横浜FC戦で1ゴール決めた(※動画あり)ことで、点が取れるんだという自信になりました。その次のC大阪戦でも良い感触、やれそうだという感触があったのですが結果が出ませんでした。
『大久保が出れば流れが変わる、点が入る』というところまでいかないといけないと思っています。今は得点から遠ざかってしまっているので、そうなるためにも早く2点目を取ることが重要です」
大原での居残り練習では、縦パスを受けて、いろいろな形で前を向いてシュートするというプレーを繰り返している。自分の課題を乗り越えるための努力は惜しんでいない。
「ボールを受けたときに、最初のプレーで“前”を意識するようにしています。練習は楽しくやれていますけど、チャンスメークの回数を増やすことが大事だと思います。
試合では、ベンチにいる時間に相手がディフェンスラインと中盤の間が空いているチームなのか、コンパクトなチームなのかを見きわめて、自分がどういうプレーをしたら相手が嫌なのかを考えています」
自身のステップアップがチームの結果にもつながる。ホームゲームの入場者数も徐々に増えてきた。柏戦で出場したら何を意識するか。
「ホームゲームだという感覚がより強くなってきました。G大阪戦での『ASIA』の文字は、クラブとファン・サポーターの目標が一致していると感じましたし、自分たちが目指すものを再確認させてくれました。ユニフォームを着た方がスタジアムに入るバスに向かって手を振ってくれているのを見ると、がんばらないといけないと思います。柏戦で意識するのはゴールやアシストだけ、得点に絡むことだけです」
THE MDP
文●清尾 淳
もう33節。通常のシーズンならリーグ戦は“ラス前”だが、今季は今日を入れてあと6試合ある。
2021シーズンの浦和レッズは、ここまでリーグ戦32試合、YBCルヴァンカップ12試合、天皇杯3試合、合わせて公式戦47試合を戦ってきた。もし天皇杯で決勝まで勝ち進めば、シーズンの総試合数は56となり、これはJ1クラブの中で最多、もしくは最多タイになるはずだ。今季はACLのノックアウトステージが1試合制になり、Jクラブが準決勝を前にすべて敗退して、試合数が少なかったからだ。
公式戦の総数でチームの価値が決まるわけではないが、トーナメント戦で勝てば試合が増えていくことを考えれば、多くの試合を戦うことは上位に勝ち進んでいるという指標にはなる。それともう一つ。今季の浦和レッズは試合をこなせばこなすほど、成長できると思う。
例えば、個の力が強いチームに対してコンビネーションで勝つ。例えば、多くのチャンスを作ったら、それに見合った数のゴールを決める。例えば、ビルドアップを途中で阻まれたら違うやり方で相手を攻略する。例えば、負けたら敗退する大会では、より勝利にこだわる。例えば、リードした試合の終盤は絶対にそのまま、あるいはリードを広げて終わらせる……など、今季中に解決したい宿題がある。
それらを全部きちんと解くには1試合でも多いほうがいい。そしてできる限りの成長を遂げるとともに、ACL出場権とタイトルの獲得という目標を達成してシーズンを終わりたい。来季のことを考えるのは早いと思うが、今季どこまで到達したかによって、2022シーズンの出発点が決まってくるだろう。
AFCチャンピオンズリーグ2021のファイナリストが決まった。
東アジアからは韓国の浦項スティーラーズ。そして西アジアからはサウジアラビアのアルヒラルだ。
ACLの試合はテレビで見ることが多い。今季もグループステージは時間があれば見たし、ノックアウトステージからは、Jクラブの出場試合はもちろん、海外勢同士の試合もほとんど見た。Kリーグでも覇を競っている蔚山現代vs全北現代の「現代家ダービー」は興味深かったし(レッズユース出身、邦本宜裕の活躍も)、準決勝の浦項vs蔚山も延長、PK戦まで全部見た。
ACLの試合は、Jリーグの試合よりも「見なくちゃ」感が強い。アジアのライバルたちが躍動している姿を見ることで、あの場所へ戻るモチベーションが高まるから。
そう言っておけば綺麗に聞こえるが、本音はこうだ。
ACLに浦和レッズが出ていなければ面白くないだろう。レッズのサポーターが応援を繰り広げなければアジア各地が盛り上がらないだろう。
傲慢。そう、傲慢な考えだと思うが、ACLに関しては自信を持ってそう言える。そもそもJクラブにACL出場という目標を掲げさせたのは2007年の浦和レッズだ。3度の決勝進出、2度の優勝を果たしているのも我々だけだ。酒井宏樹は「その経験値がクラブとサポーターにあるのがレッズの魅力」と語ったが、それは揺るぎない誇りであり、過去の栄光として棚に飾っておくものでもない。
ACLは出場するだけでなく優勝を目標にすべきものだし、傲慢ついでに言ってしまえば、アルヒラルを倒すのは浦和レッズだ、という思いもある。
ACL出場という目標を達成する戦いをして自分たちを高めていくことが、またアジアで勝っていく力を付けていくことにもなる。柏レイソルを倒すことも、もちろんその一つだ。
今日の勝利が3度目のアジア制覇へつながる。その思いで、できる限りの後押しをしたい。