MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
日曜日の川崎フロンターレ戦は、非常に良い立ち上がりで、我々がしっかりとボールを持って試合を支配できていました。前半はそういう時間が長かったのですが、終了間際に失点してしまいました。
後半も悪くはなかったのですが、2点目を取られた後、立て続けにゴールを奪われてしまいました。前半、手応えを感じていただけに、特に後半の早い時間に2失点目を喫したことで、メンタル的に厳しいものがあったのかもしれません。ただ、川崎のような相手には、少しでも集中を切らしたり、スキを見せたりしてはいけません。特にあの試合では川崎の決定力が高く、作られたチャンスの多くがゴールになってしまいました。
0-5という厳しい結果になりましたが、試合の後、グラウンドを一周している私たちに対して、多くのファン・サポーターの皆さんが拍手を送ってくれました。感謝していますし、チームをしっかりと成長させていかなくてはならないという強い決意を抱きました。
今週は久しぶりに、時間をかけてトレーニングすることができました。
川崎戦では避けることができた失点もありましたから、そこを重点に練習してきました。もちろん、今週だけではなく、これからもいろいろな形の守備を練習していきます。サイドではどう対応するのか、自陣のペナルティーエリア内でどう対応するのか、あるいは前からどういうふうにプレスを掛けていくのかなど、さまざまです。これまでの失点の場面を振り返れば、守備のスライドによって、あるいはラインコントロールによって防げたものもありました。
一方で、押し込んでからどう点を取るかというのも、サッカーの最も重要な部分です。
選手の状態にもよりますが、決定機に決められるかは本能や嗅覚によるところもあります。練習でサポートができるところはやっていきますが、相手GKと1対1になった場面などでは、その瞬間に選手がどういうプレーができるかにかかっています。
本日はYBCルヴァンカップ、グループステージの柏レイソル戦です。
柏は強度の高い守備をしてきます。ダイレクトプレーが得意ですが、つなぐこともしてくる、非常に良いチームだと思います。
どの試合もそうですが、今日もまずは良い試合をすることを目指します。そして良い時間帯を長くすることにチャレンジします。アグレッシブな部分、戦う部分を多くお見せしたいと思っています。
同時に、これまで出場時間が少なかった選手たちの出場機会を確保する試合でもあります。4月以降の試合でさらに良い試合をお見せするための準備の場にしたいとも思っています。
私たちの目標は成長し続けることです。現時点では、いくつかの試合で相手に上回られたことは事実ですが、私たちはそれらの相手と同等以上のレベルに上がっていくことを目指しています。次回、彼らと戦うときに、そういうレベルまで成長した姿をお見せしたいと思っています。
そのために、今日もレフェリーが最後の笛を吹くまで全力で戦います。私たちのアドバンテージはホームで戦えること。ファン・サポーターの皆さんが作ってくれる雰囲気は、勝利のための力になります。
ムラのないパフォーマンスをお見せして勝ち点を積み上げていきたいと思います。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
3月2日に行われたYBCルヴァンカップの湘南ベルマーレ戦でプロデビューを果たし、失点をゼロに抑えてチームの勝ち点1獲得に貢献した。開幕前の練習試合ではマイボールを大きく蹴ることも多かったが、湘南戦では勇気を持って周りの選手にボールをつなぎ、ビルドアップの起点となった。その後もリーグ戦でベンチ入りを続け、3月21日から24日にかけて行われたU-20日本代表のトレーニングキャンプにも参加した。
「ジュニアの頃から憧れていたトップチームの試合に出られて、ひとまず良かったという印象です。枠内に来たシュートはさほど難しいボールではありませんでしたが、ワンバウンドのボール処理については、相手に詰められないようにセーフティーにプレーしました。
正直なところ、キャンプの時点ではまだビルドアップに自信が持てず、蹴ってしまうシーンが多かったのですが、そこから練習を積んで、湘南戦では落ち着いてビルドアップをしようと意識していました。みんなもつなぐ意識が高かったと思います。
試合に出て、自分がどれだけできるかが分かったという点で自信になりましたし、キックなどの精度を上げていけば、必ず試合で通用するようになると思っています。U-20の代表合宿で紅白戦をやったときも、以前より余裕を持ってプレーできるようになったという実感がありました」
リーグ戦では苦しい戦いが続いているが、ベンチから見ていてチームの変化や課題をどう見ているのだろう? 相手の守備ラインが高いときなどは、カウンターのチャンスだと感じることもあるのではないか。
「試合を通してなかなか点を取れていないのは苦しいところではありますが、川崎戦の前半などは自分たちの時間帯もありました。それを続けていけばいいと思います。
外から見ていると、ロングボールを蹴ればいけるかもしれないと思う場面はありますが、そこはピッチでプレーしている選手の判断を尊重したいです。あとから映像を見て『ここが空いていた』と分かることがありますが、自分がピッチにいると分からなかったりするものですから。
外から見ることで、『こういう場面ではこの選手が走ってくれている』ということは分かるので、実際に自分がプレーするときには、それを生かしてトライしたいと思っています。(西川)周作選手はそういう部分もうまいので、自分もそこを磨いていきたいですね」
レッズジュニア出身のプロ選手第1号になったが、自身のジュニア時代は埼玉県で優勝できず、全国大会出場の経験はない。それでも埼スタでの試合見学やサブグラウンドでの試合を通じて、常に“ホーム”を意識しながら成長してきた。柏レイソル戦に出場すれば、“ホーム”でのプロデビューとなる。
「J1クラブの育成組織でありながら、ジュニアの頃に他のチームに勝てなかったことが悔しくて仕方なかったです。単に自分のチームが負ける悔しさよりも、『浦和レッズは埼玉県で優勝して、全国でも上位に行かなくてはならないチームなのに』という悔しさのほうが大きかったですね。僕はもうユースに上がった後でしたが、一昨年にレッズジュニアが初めて12月のJFA全日本U-12サッカー選手権大会に出場したときは非常にうれしかったです。
埼スタで出場することになれば、前回の試合よりも重みを感じるでしょうね。最近ジュニア時代の自分の写真がよく出るのですが、あのときからついにここまで来た、という感覚になると思います。湘南戦はうまくゲームを運ぶということを学べたので、今回も自分がゲームをコントロールするという意識でプレーしたいです。無失点で終えたいですし、このスタジアムでレッズが勝てるようにがんばります」
1996年、Jリーグカップに『ニューヒーロー賞』が創設されてから、GKが同賞を受賞した例は2001年の曽ヶ端準(鹿島)のみ。前節に続いて無失点を続けていけば、記者投票が集まることは十分に考えられる。
「自分がそれを意識することはないと思います。チームで結果を出すことだけを意識しています」
YBCルヴァンカップの湘南戦でプロデビューを飾り、リーグでも第5節の北海道コンサドーレ札幌戦と第6節の川崎フロンターレ戦に途中出場。特に札幌戦では短い出場時間で好プレーを見せた。71分、こぼれ球を拾ってドリブルで一人をかわすと、もう一人を抜こうとしたところでファウルを受け、ゴール正面でFKを獲得。阿部勇樹の際どい直接FKへとつながった。終了間際に杉本健勇が惜しいヘディングシュートを放った場面では、緩急をつけた動きで相手をかわし、山中亮輔のクロスをお膳立てした。
「湘南との試合はデビュー戦ということもあり、まだフィットしていない感覚がありました。不完全燃焼というか、何かやり切れずに終わったな、という印象です。一方で、札幌戦は短いプレー時間の中で自分の特長を見せられたと思いますし、楽しかったです。ファウルをもらった場面は、もう少しうまくやればエリア内に入れていたかもしれません。一人目を抜いたときは、相手が寄せて来る方向と逆に行ったことで球際で勝つことができましたが、二人目のときは右にかわそうとして止められてしまいました。少し前で方向を左に変えていれば、もっと進めたと思います。
終了間際のシーンは、(伊藤)敦樹がヘディングでつないでくれたとき、頭でそらして前にボールを送ろうかとも思ったのですが、意外とフリーだったので胸トラップに切り替えて斜め前のスペースに運びました。そうしたら、相手の右サイドバックの選手が出てきたので、フリーで上がってきたヤマくん(山中)に託しました。ヤマくんなら絶対に良いボールを上げてくれると思っていましたから」
ファン・サポーターに好印象を与えた札幌戦とは対照的に、川崎戦では思うように持ち味を発揮できなかった。川崎戦の前と後で心境の変化はあったのだろうか。
「川崎との試合で、チームの位置も自分の位置も明確になりました。危機感が増した部分もありますし、より高めていかないといけないと思っています。
もちろん、ポジティブに考えていくことは大事ですし、僕たちはまだ発展途上ですから長い目で見ていく必要があるのは分かります。ただ、フィニッシュの場面で『決め切る』という部分は、チームの戦術云々ではなく個の部分ですから、チームが完成途中というのは関係ありません。特に攻撃の選手は、そこで決めていかないと自分の評価も上がりませんし、チームの勝利にもつながらないと思います」
自身はルヴァンカップという大会をどう見ていたのだろうか。柏戦では先発も予想されるが、湘南戦との違いを見せたいと考えているに違いない。
「ルヴァンカップは若手が出る大会というイメージがあるので、特別指定選手になった一昨年から自分にも出場のチャンスがあると思っていました。もし柏戦で先発することができたら、最初から出し惜しみせず、チームのために走り、点を取るために戦いたいです。90分持たなくてもいいと思っています」
レッズユースから昇格し、YBCルヴァンカップの湘南戦に左サイドバックとして先発出場、62分までプレーした。
「こういう早い時期にデビューできたことを、すごくポジティブにとらえています。キャンプから練習試合を4~5試合やってきて、その中でできること、できないことが明確になっていたので、そこを少しずつ改善しながらやってこられたと思います。初めは緊張もありましたが、やっているうちに慣れていきました。個人としては悪いプレーが多かったんですが、出場したという点も含めて自分にとってすごくポジティブな試合だったと思います。
判断のスピードやポジショニングについては、湘南戦に限らず、監督や周囲の選手からも言われていたので、そこはもっとやっていかないといけない。やっていく中で身につくものだと思うので、周りの選手たちにも聞きながら今は少しずつ改善していけていると思います」
中学卒業後に地元の宮崎県を離れ、浦和レッズユースに加入。寮暮らしをしながらプロを目指して励んできた。
「浦和レッズの選手だった河野真一さんが少年団の総監督だったので、その頃からレッズが大好きでした。中3の夏にレッズユースの練習に参加したときから、もし合格したらレッズユースに入ってプロになりたいと思っていました。
中3の三学期に浦和に来たのですが、最初はやっぱり寂しくて帰りたい気持ちもありました。でもユースの活動が始まってからは、自分が目指すものは何かを考え、いろんな人に応援されているんだという気持ちでやっていたので、すごく濃い3年間だったと思います」
練習試合ではセンターバックでも起用されていた。左利きながら右足の精度も高い。
「高校2年のときはセンターバックでプレミアリーグの全試合に出してもらっていました。得意なのはサイドバックですし、そちらのほうがいいですが、自分が与えられたポジションでしっかりとやるだけです。左足のほうが精度は良いですけど、右足も普通に使いたいと思っているので、練習から意識しています」
前回の湘南戦は途中交代、柏戦では埼スタでの先発フル出場を目指す。
「湘南戦を振り返ると、少し消極的なプレーが多かったので、もし出場することができたら『ミスしてもいい』ぐらいの気持ちで、アグレッシブにどんどん自分の良さを出していきたいと思っています。
埼スタは昨年のプレミアリーグの最終節、大宮アルディージャユース戦の会場でした。小学生の頃からずっと、あの素晴らしいスタジアムで、満員のファン・サポーターの前でプレーしたいと思っていたので、出場できるようにがんばりたいです」
THE MDP
文●清尾 淳
今回、福島竜弥に取材したときのこと。
「自分のサッカー少年団の総監督が元レッズの方で…」
え、ちょっと待って。宮崎県で、元レッズの選手と言えば……河野さん?
「そうです。真一さんです」
福島は宮崎市の中心部から50キロほど離れた児湯(こゆ)郡川南町の出身で、小学2年生のときに地元のサッカー少年団に加入した。その少年団の総監督が1995年までレッズでプレーしていた河野真一さんだったと言う。
河野真一という名前を聞いたファン・サポーターの反応は、レッズ歴によって二分されると思う。
1. 全く聞いたことがないか、知っていても特に印象はない。
2. 絶対に忘れない。
2021年の現在、「1」の人が多いのは無理もない。
河野真一さんは92年に大卒新人でレッズ入りしたが、その年はアルゼンチンにサッカー留学。翌年レッズに戻り、96年、神戸(当時JFL)に移籍した。現在は故郷の宮崎県で自営業のかたわら、宮崎市にある小中学生年代のクラブチームを指導している。福島と同じ川南町の出身なので、地元の少年団の総監督だったというのもうなずける。
河野さんがレッズでの3シーズンで残した成績は、公式戦8試合出場2得点。決してめざましい数字ではない。
だがその2点のうち1点は、Jリーグ開幕4連敗を喫して迎えた93年の第1ステージ第5節・ヴェルディ川崎戦、レッズが1-1の末にPK戦でJリーグ初白星を挙げたときの同点ゴールだった。しかも、その試合の82分、河野さんは左ヒザじん帯にケガを負い手術。約2カ月のリハビリ生活となったのだ。
さらにその年の9月18日、復帰して6試合目となるJリーグカップ・横浜フリューゲルス戦で先制ゴールを挙げた28分後、今度は右ヒザに大ケガを負ってしまった。
これがレッズでの最後の公式戦となった。壮絶な2得点は、当時を知るサポーターの記憶に深く刻まれているだろう。
その河野さんからレッズのことを聞かされた福島は、レッズが大好きになり、レッズが宮崎市内でトレーニングキャンプを行っていた時期(2009年~2015年)には、お母さんが運転する車で1時間ぐらいかけて見学に来ていたという。
中学生時代にレッズユースから誘われたのは、通常のスカウト活動によるものだったが、浦和レッズの一員になる素地はすでに整っていた。
28年前、勝てずに苦しんでいたレッズの「救世主」とも言われた河野さんが、今も宮崎の地でレッズを忘れていないどころか、レッズのために尽力してくれている。
河野さんに福島のことを聞くと、「浦和レッズユースに行ってからも、宮崎に帰ってくるたびに顔を出してくれていました。こっちにいたときよりも、他人に気を遣える人間に成長していると感じています。ノブ(池田伸康レッズユース監督。河野さんとはレッズの同期)に感謝しています」と言う。
縁(えにし)を感じずにはいられない。
福島がレッズユースにいたのは3年間だが、レッズファンとしてその倍以上の期間を過ごしてきた。プロデビューも果たし、夢の半分は実現したと言える。残りの半分を達成するのはこれからだ。
福島は埼スタについて、「小学生のときから、あの素晴らしいスタジアムで、満員のファン・サポーターの前でプレーしたいとずっと思っていました」と語る。今日出場することがあれば、また夢の一部が叶うことになる。それが彼にどんなパワーを与えるのかが楽しみだ。
そして近い将来、「満員のファン・サポーターの前で」という願いが現実のものとなったとき、福島竜弥と浦和レッズは大きく成長しているはずだ。
そこへ続くこの柏戦。若木を育てる水のような、大きな拍手が何度も起きる試合になることを願っている。