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12.11.13

コラム「再び心躍る瞬間を」

8勝4分け6敗。勝点28。順位は4位。

それが、レッズレディースの2012シーズン、プレナスなでしこリーグで残した結果となった。

2009シーズンには、それまでの強化策と選手、そして村松 浩監督を初めとするコーチングスタッフの努力が重なり合って実を結び、チームがレッズの名を冠して初のリーグ優勝を成し遂げた。2010シーズンには、シルバーコレクターという悔しさもあったが、すべてのタイトル(リーグ、リーグカップ、全日本女子選手権)で、“決勝”まで進み、その力を示すことができた。そして、昨シーズンも序盤は苦しんだが、リーグの後半戦は、優勝をしたINAC神戸レオネッサを抑える成績を残すほど、ベテランが健在の中で、徐々に若手が成長し、ポテンシャルを示していた。

その中で迎えた今シーズンの結果が、冒頭で示したものだった。

開幕戦は快勝したものの、次の試合で早々に勝ち点を取りこぼし、その後も試行錯誤を繰り返す中で、リーグでは一度も敗れたことのない相手に黒星を喫するなど、非常に苦しい戦いを強いられてしまった。最終節、降格が決まっている福岡J・アンクラスに喫した敵地での敗戦は、今シーズンを象徴しているものだったかもしれない。

もちろん、チームの陣容にも変化は加わっている。選手の3分の1強となる10人が新加入選手となり、コーチングスタッフも変わった。ある意味、それまでとは“違うチーム”のスタートとなり、難しいシーズンであることは間違いなかっただろう。

だが、それでも今シーズンのここまでの戦いを振り返ったとき、心の中に広がる思いは、やはり残念、というものだった。

何よりそう感じたのは、彼女たちがピッチ上で見せたその姿だった。

当たり前のことだが、引き分けた試合、敗れた試合で見せた彼女たちの姿は、全力を尽くしているにもかかわらず、その力を十分に発揮できているように思えないことが多かった。そして、プレーする楽しさを感じていないように見えることも少なくなかった。

サッカーを見に来る人たちの多くは、チームを応援する、一緒に闘うという思いがあるのはもちろん、やはりそこに楽しみや驚きを求めに来ているのだとも思う。日々の生活では味わえない興奮や心躍る瞬間を得たいと願い、スタジアムに足を運んでいるのだ。

そう考えたとき、やはり選手たちが躍動し、楽しめていない状況でサッカーをしている、その姿に苦しさを感じてしまうことが多かったのだ。

ホーム最終戦で、INAC神戸に敗れた後、ファン・サポーターへの挨拶の中で、キャプテンである矢野喬子が「今季は、本当に情けない試合をしてしまい、申し訳ありませんでした」と述べていた。それは、あの場所に立っていた選手たちの偽らざる気持ちだったろう。

今シーズンの残りは、皇后杯の名を冠する全日本女子サッカー選手権のみである。リーグ最終節を降格が決まった相手に敗れた今、流れを変える大きな変化が必要だと思うが、3週間強ある準備期間をうまく使い、良い方向へと進んでほしい。

第16節の2位日テレ・ベレーザ戦で見られたように、決して彼女たちに力がないわけではないと思う。

ぜひ、見ている人たちに、彼女たちが躍動し、プレーを楽しむ姿、そうしたポジティブな空気が伝わる試合をしてほしい。
(高野和也/MDP編集)

※皇后杯全日本女子サッカー選手権大会、レッズレディースは12月8日(土)に行なわれる3回戦から登場します。
【試合日程】
◆3回戦:12月8日(土)14:00・藤枝総合運動公園サッカー場
◆準々決勝:12月16日(日)11:00・三木総合防災公園陸上競技場
◆準決勝:12月22日(土)14:00・NACK5スタジアム大宮
◆決勝:12月24日(月・祝)14:00・NACK5スタジアム大宮

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