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25.01.25

皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 決勝 vs アルビレックス新潟レディース 試合後監督コメント

【楠瀬直木監督】

「無事、1年かけて(皇后杯を)獲れたことには、本当にほっとしました。正直なところを言うと、やはり90分、せめて延長で決着をつけたかったなとは思います。昨年もPK戦でしたが、またPK戦ということで、何か因縁めいたものもありますけれども、やはりそこで決着をつけられるようなものがないと、まだまだ昨年のチームには追いつかないな、というのはあります。

アルビレックス新潟レディース(新潟L)さんは非常にいいチームで、チームワークもいいですし狙いどころもはっきりしていて、なかなか油断ならないところもありました。そういうチームが出てきたのもうれしく思います。また、ファン・サポーターの方が広島までたくさん来てくださって、3000人を越える方が来場されたのはいいのですが、これが5000人、1万人となれるよう、盛り上げていきたいと思います。

今日は両チームとも本当に頑張って、いいところを出しあえたいいゲームだったなと思っています。少し休んでWEリーグ、AWCL(AFC女子チャンピオンズリーグ)と、しっかりとまたチームを作っていきたいと思います。どうもありがとうございました」

(1年越しの優勝ということで、昨年は選手・監督、チームのスタッフも含めた全ての人にとってすごく悔しい準優勝になったと思います。今回またPK戦となって優勝できたということで、この優勝の重要さはどのように感じていますか)
「最後のほうで、猶本(光)も少し出ましたけれども、やはり猶本、安藤(梢)、菅澤(優衣香)、水谷(有希)という選手が怪我でおらず、残りの中堅の選手を中心になんとかしなければいけないということで、昨年もいましたけれども成長というところでは、高橋(はな)にしても塩越(柚歩)にしても、長嶋(玲奈)なども本当にみんな成長してくれて、自覚を持ってやってくれました。1つ大人になったなという感じです。ただ、先ほど言いましたけれども、そこでちゃんと90分で決着をつけられるようなゴール前のクオリティーとか、そういうものを上げていかないといけません。今度は日本を代表してAWCLに出ていく中では、まだまだ足りない部分もありますけれども、かなり成長してくれて、喜ばしい部分があります」

(昨年、安藤選手と猶本選手が長期離脱し、清家貴子選手の移籍などもあって、既存戦力から高橋はな選手をFWで本格的に起用するなどしながら、若手の選手も使っていけていると思います。チーム力の底上げについてはいかがでしょうか)
「やはり、そこを上げていかないといけません。レッズレディースにはしっかりとした育成がありますので、そこからもちゃんと供給をしていく、そういうクラブをしっかり作っていかないといけないと思います。これから先というところで、また海外に出ていく選手もいると思いますし、そうしないとサッカーの文化というものを根付かせるという部分と、あるべき姿というところでは、贅沢かもしれないですけれども、自分たちで育てた選手がそのままピッチに立って結果を出す、というところを目指したいと思っています。そういう流れでは、今日は結果が出ましたけれども、苦しむところもあるかもしれませんが、そこはブレないでやっていきたいと思います」

(三菱重工浦和レッズレディースは、WEリーグ発足から4年間、毎年ビッグタイトルを獲ってきています。ホッとしたというのは、とにかくタイトルを獲らなければいけないという気持ちの表れでしょうか)
「そうですね、やはりこのチームを常勝軍団にしたい、アジアでも常勝軍団にしたいという思いはありますので、そうすると2位ではいけません。選手にはやはり『1位でなければいけない、レッズは勝たなければいけない』と口では言っているので、それは体験させてあげないといけません。どちらのチームにも勝てるチャンスはあるのですが、それを引っ張り込むという人間性、人間力というのをつけていかなければいけないと思います。そういう点で、たとえば今日負けていたらどんな言い訳をしようが、言ってきたことが嘘になるわけではないですが、また苦しい道を歩ませてしまうことになるのかなと思います。やはり、勝てるチームというものは勝てると思うので、そっちに行きたいです。それであればこういうところでしっかり勝つ、昨年はそこでPK戦で負けてしまった、そこまで行ってしまったのは非常に残念でした。

これで次のタイトルも獲れるかというのはお約束できませんが、勝つことは本当にいいことなんだということを、クラブ全体、選手、育成も含めてもう一度知らしめたいなと、ずっと思っていました。今日はそういう意味でホッとした、と思いました」

(高橋選手を前線において、塩越選手をトップ下に配置し、2人の力で攻撃のベースを作っていったところに、今シーズンなりの色が出ていると思います。これからアジアなどに挑む中で、ここからどのように上積みしていきたいでしょうか)
「やはり塩越、高橋のコンビで、毎試合1点2点、今日も1点ありましたけど、ただ他に取れるチャンスもありました。やはり3人来ようが4人来ようがその2人で打開できるというところを伸ばしていかないといけません。彼女たちはなでしこジャパンに選ばれる可能性も高いと思うので、グループでというよりも、あそこの2人でなんとかフィニッシュまでいける、ということを、世界基準でやれていかないといけません。日本は次のワールドカップで優勝を目指していると思いますし、疲れていても出し続けているというのも、やはり日本のトップオブトップというチームでいい選手もいて、猶本はもうひとつ上に行っていると思いますが、高橋、塩越もそこに照準を合わせていかないといけないと思います。そういう点ではもう少し頑張ってほしいと思います」

(90分で決めたかったというお話がありましたが、追いつかれた後に逆転を許さなかったことには、守備陣の頑張りがあったと思います。守備についてはどのように評価していますか)
「守備は全体的に、非常に良くなったと思います。WEリーグでも失点はかなり減ってきています。守備からとは言っていませんけれども、守備をしっかりしなければ、表裏一体なのでそれができない選手は試合には出られないよとは言っていますし、そういうトレーニングもやっているので、トレーニングで守備を高めていかないといけません。先ほどの塩越、高橋をもっと上げるということや、他の若い選手、藤﨑(智子)とかも、トレーニングのときから守備を高めていかないとそちらが上がらないので、そういう点では守備は高まってきていると思います。

ただ今日の1失点も、今ベストである石川(璃音)と後藤(若葉)を組ませた中で、滝川(結女)選手による素晴らしいシュートがありました。あの2人が対応してあのシュートを決められたら、もう相手を褒めるしかありません。こちらが上がってくれば周りの相乗効果で全体的に上がってくるのではないかと思っています」

(遠藤 優選手がベンチスタートでしたが、サッカー的な理由でしょうか、コンディションの問題でしょうか)
「少し体調を崩していました。でも、そこも競争の一つで、長嶋が非常にいいクロスを上げるようになっていた、というのもあります。決勝戦で、新潟Lさんは粘り強いチームなので、結果的にはそうなったのですが少し延長も視野に入れていて、延長になったときに体力的にとっておかなければいけない選手がいたりしたので、そういう理由で長嶋を先発で起用しました」

(クラシエカップでサンフレッチェ広島レジーナ(S広島R)が連覇し、今日も新潟Lを相手に大変苦しい試合となって、強いと言われているチームが簡単に勝てなくなっています。さらに強くなっていくためには何が必要になってくるのでしょうか)
「こういう拮抗したゲームを繰り返すしかないと思います。試合数も、過密なときもありますけれども、もっと増やしていかないといけないですし、興業として成功させていかないと盛り上がりません。今日みたいに何かが懸かっていると遠方からもたくさんの方が来ていただけますが、そういう底上げをしていかないといけないと思います。

今まで3強と言われていましたけれども、S広島Rさん、新潟Lさん、また次に続くチームもあると思いますので、そこをもっと盛り上げていきたいなと思います。やはり準決勝や決勝になればもちろんお客さんも来ると思いますが、そこに来られないようなチームにも、Jリーグではプレーオフなどの敗者復活戦のようなものがありますし、消化試合にならないよう、そういう取り組みもしていかないと増えていかないとかなと思います。あとはちょっと海外への流出が多いと思っていて、そこもいい悪いはありますけれども、今みんながやっているWEリーグをもっと魅力あるリーグにしていかなければいけないのかなと思っています」

(先ほど、なでしこジャパンのニルス ニールセン監督が、レッズレディースはPK戦に関して『冷静で、集中力も保っていた』とおっしゃっていました。どういう戦略があったのでしょうか)
「準備はしていました。練習もしましたし、相手の分析もしました。ただ、お願いしても決まるものは決まるし、決まらないものは決まらないので、やはり準備が全てだと思うので『こういうこともあり得るよ』ということは言っていましたし、昨年はそれで負けたというのも取り返して、そういう準備はスタッフを含めてしっかりやってくれました。いい準備ができたからこそだと思いますし、たまたま功を奏したので良かったのですが、試合中は『PKになるなよ』と祈っていました」

(いろいろなところに伸び代はあると思いますが、どういうところを伸び代として働き掛けていきたいと考えていますか)
「まず大きいのは、猶本が帰ってきたことです。チームとしては非常にパワーがアップすると思いますが、帰ってきたけれども居場所を取るのは簡単じゃないぞ、というのが我々にとってすごくいいプラス材料ですよね。競争ができるというところ、またもう少し経つと安藤や菅澤も帰ってくるので競争が過激になって、そのまま高橋がFWでいられるのか、また後ろをやるのか、でも後ろも競争があるということで、僕としてはワクワクする競争をさせるところが増えてきました。そこは十分に伸び代はあると思います。また新たな競争がスタートするので、そこがどういうふうになっていくのかです。今回は高橋が成長したように、1年間外からサッカーを見て帰ってきた猶本がどういう成長をしてピッチに立つのかも楽しみです。

勝てるかどうかはまた別ですけれども、チームの魅力はまた上げていけると思います」

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