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PARTNERS in REDS LADIES vol.1 サイデン化学株式会社
浦和レッズ同様、三菱重工浦和レッドダイヤモンズレディースにも多くのパートナーが協賛し、その活動を支えてくださっています。レッズの理念に共感し、共に歩みを続けてくださるパートナー。
『PARTNERS in REDS LADIES』では、レッズレディースを支える企業のみなさんの思いをご紹介します。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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サイデン化学 籠島嘉隆社長 ─ 技術と人間性を重視する経営者がレッズレディースを支援する理由
サイデン化学は、「研究開発こそがメーカーの基本」を掲げ、独自の技術で産業界に貢献してきている。
同社は最も力を注ぐ研究開発の拠点を浦和に持ち、特許を取得するなど、業界内では知る人ぞ知る、まさに日本企業の強みを持つ会社だ。
そんな同社が浦和レッズに縁を持ったのは、レッズレディースが発足して間もない2006年ごろ。
きっかけは、当時、女子チームをレッズファミリーに迎えた浦和レッズからの相談だった。
籠島社長は振り返る。
「レッズレディースが、レッズのファミリーになった後、女子サッカー選手の待遇を改善しなければならない、ということで、私のところに相談がありました。
当時は、みんなバイトとか契約社員とか、働きながらプレーしていました。チームによっては、おそらく移動費用も選手が一部負担していた時期もあったんじゃないかと思います。それで生活も安定しない中で、プレーしていたんですよね」
「土曜日にアウェイでの試合があれば、移動のために金曜日は会社やバイトを休まなければならない、そうすると収入は減ってしまう、そんな状況だったんです」
そのため、籠島社長は、同社で選手の雇用を受け入れることを承諾した。
「プロチームであれば別ですが、当時はアマチュアでしたし、アマチュアへの支援であれば、我々としても地域貢献の意味合いもあるので、それは会社としても必要なことだろうと」
それから約20年。
プロリーグになったとはいえ、全員がプロ選手ではない現状がある。
選手雇用はもちろんのこと、北海道キャンプやさまざまな部分で、サイデン化学は長期にわたり、レッズレディースをサポートしてくださっている。
そこには籠島社長の人柄と愛情が大きく関係していると言えるだろう。
80年以上の歴史を持つ接着剤をはじめとする液状合成樹脂メーカー
サイデン化学の歴史は1940年、籠島澱粉工業株式会社の設立に遡る。当初は澱粉を主原料とした液状合成樹脂の製造からスタートし、その後もさまざまな液状合成樹脂の開発を手がけ、1969年に現在の社名であるサイデン化学株式会社に改称した。
直接消費者の目に触れることは少ないものの、同社の主力製品「サイビノール」をはじめ、さまざまな製品があらゆる産業で活用されている。
たとえば、タッチパネル用粘着剤。スマートフォンやタブレットなどのタッチパネルは多くの光学部材を両面粘着テープで貼り合わせて構成されるが、その粘着剤も同社は高い品質の製品を提供している。
それらを支えているのが研究開発の力だ。籠島社長は次のように語る。
「うちはね、全体の3分の1を研究開発に注いでいます。これを他社さんに言うと、え!?と驚かれる。大変な割合を研究に当てていると」
そして、もう一つ、強い研究開発を支えているのが、研究員が営業の役割の一部を担うことだ。同社の研究員は、ときに顧客に直接会いに行き、そのニーズを直接聞く。
「お客さまのニーズに迅速に対応するところも、非常に我々の強みです。どうしても、そこに研究者ではない、営業の人間だけが介在すると、伝言ゲームのようにお客さまのニーズと研究側の理解にずれが生じてしまうことがあるんです。だから直接、研究員が足を運んでお話を伺う機会は設けています」
「キャッチボールは正確に速く。直球対直球でやるのが勝負なんです」
「わからないから」こそ、現場に行く
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そんな籠島社長の考えは、レッズレディースへの支援にも現れている。
レッズから相談を受けた当初、籠島社長はサッカー、特に女子サッカーについては、まったくの知見がなかった。
そのため、「わからないから」という理由で、レッズレディースの試合や練習を積極的に見学し始める。2007年にはなでしこリーグのリーグやカップ戦、そのほかミニ国体やユニバーシアード、そして全日本女子選手権など実に72試合を観戦したという。
「わからないから、現場に行って見る」
同社を経営しながら、日本各地で実施される試合に向かうのは、簡単なことではないだろう。
だが、一度頼まれ、請け負ったからにはしっかりと向き合う、という籠島社長のビジネスパーソンとしての姿勢が、レッズレディースのパートナー企業としての姿勢にも現れているのだ。
選手の生活を支える ─ 正社員雇用から自転車の修理まで
サイデン化学は2007年から、レッズレディースの一部の選手を正社員として雇用し始めた。
選手たちは安定した収入を得ながら競技に専念できる機会を持てるようになる。
しかし、籠島社長の支援はそれだけに留まらなかった。積極的に練習場に足を運び、選手の自転車の修理や海外遠征時の差し入れなど、細やかな気配りを欠かさない。
同社のホームページには次のような籠島社長の言葉が掲載されている。
「企業における究極の目標は利益の追求ですが、自社の製品を通じて人々の生活に役立つと同時に社員及びその家族の生活の安定、向上を提供して初めてその企業としての存在価値があると言えます」
「利益の追求」だけではなく「人々の生活に役立つ」のはもちろん、「社員及びその家族の生活の安定、向上を提供」する。
そこに籠島社長の人としての姿勢が見える。
選手への向き合い方にも、籠島社長は一人一人を見て、親身になって対応し、支援してくださっているのだ。
雇用している選手にはあえて厳しさも
だからこそ、籠島社長は、雇用した選手たちにもしっかりと仕事と向き合うことを求める。
選手だから、という理由で、負荷のあまりかからない業務を割り当てるのではなく、その選手が引退後でも、しっかりと社会の中で生きていけるよう厳しさを持って接している。
「選手たちも、たぶん仕事はきついと思います。正社員として働ける権利もある分、やっぱり求めるものは仕事でも求めるので」
「でもそれは引退した後でも、ここに残って働く、さらには周りの同僚から選手あがりだからと見られないようにしてほしいというのがあるんです」
女子サッカーの発展と課題
最後に女子サッカーへの期待を聞いた。
返ってきたのは、心配と課題の指摘だった。
「私はWEリーグの発足をきいたとき、当初反対だったんです。
なかなか継続していくことを考えたとき、非常に難しいと思いました。実際、ここまで来て、難しい状況にもなっていますし」
長年支援をし、愛があるからこそ、本当に心を砕いてる様子だった。
「まあ、頼まれるとどうしても手を差し伸べてしまうんですが、もっとリーグやJFA、そしてクラブも含めて、長期的な視点で取り組んでほしいですね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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籠島社長は、インタビュー中、ビジネスパーソンとしての一面や女子サッカーへの提言など、さまざまな話をしてくれた。
その中で、とても多く出てきたのは、あの選手はいまはこうして頑張っている、あの選手からこうした相談を受けていて、こうアドバイスをした、など、豊富な選手とのエピソードだった。
それは現在レッズレディースに所属する選手だけではなく、かつて所属したOG、あるいは、女子サッカー界でさまざまな知り合いができたため、他クラブ、あるいはリーグなどからの相談もあるようだった。
籠島社長の人柄もあると思うが、それは一(いち)パートナーの役割や範囲を超える関わりだと感じる。
女子サッカーは、まだまだ発展途上の段階。
ファン・サポーターをはじめ、多くの方たちに支えられているが、籠島社長をはじめとするサイデン化学のような企業のみなさんの強い熱意にも支えられている。
(URL:OMA)
『PARTNERS in REDS LADIES』では、レッズレディースを支える企業のみなさんの思いをご紹介します。
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サイデン化学 籠島嘉隆社長 ─ 技術と人間性を重視する経営者がレッズレディースを支援する理由
サイデン化学は、「研究開発こそがメーカーの基本」を掲げ、独自の技術で産業界に貢献してきている。
同社は最も力を注ぐ研究開発の拠点を浦和に持ち、特許を取得するなど、業界内では知る人ぞ知る、まさに日本企業の強みを持つ会社だ。
そんな同社が浦和レッズに縁を持ったのは、レッズレディースが発足して間もない2006年ごろ。
きっかけは、当時、女子チームをレッズファミリーに迎えた浦和レッズからの相談だった。
籠島社長は振り返る。
「レッズレディースが、レッズのファミリーになった後、女子サッカー選手の待遇を改善しなければならない、ということで、私のところに相談がありました。
当時は、みんなバイトとか契約社員とか、働きながらプレーしていました。チームによっては、おそらく移動費用も選手が一部負担していた時期もあったんじゃないかと思います。それで生活も安定しない中で、プレーしていたんですよね」
「土曜日にアウェイでの試合があれば、移動のために金曜日は会社やバイトを休まなければならない、そうすると収入は減ってしまう、そんな状況だったんです」
そのため、籠島社長は、同社で選手の雇用を受け入れることを承諾した。
「プロチームであれば別ですが、当時はアマチュアでしたし、アマチュアへの支援であれば、我々としても地域貢献の意味合いもあるので、それは会社としても必要なことだろうと」
それから約20年。
プロリーグになったとはいえ、全員がプロ選手ではない現状がある。
選手雇用はもちろんのこと、北海道キャンプやさまざまな部分で、サイデン化学は長期にわたり、レッズレディースをサポートしてくださっている。
そこには籠島社長の人柄と愛情が大きく関係していると言えるだろう。
80年以上の歴史を持つ接着剤をはじめとする液状合成樹脂メーカー
サイデン化学の歴史は1940年、籠島澱粉工業株式会社の設立に遡る。当初は澱粉を主原料とした液状合成樹脂の製造からスタートし、その後もさまざまな液状合成樹脂の開発を手がけ、1969年に現在の社名であるサイデン化学株式会社に改称した。
直接消費者の目に触れることは少ないものの、同社の主力製品「サイビノール」をはじめ、さまざまな製品があらゆる産業で活用されている。
たとえば、タッチパネル用粘着剤。スマートフォンやタブレットなどのタッチパネルは多くの光学部材を両面粘着テープで貼り合わせて構成されるが、その粘着剤も同社は高い品質の製品を提供している。
それらを支えているのが研究開発の力だ。籠島社長は次のように語る。
「うちはね、全体の3分の1を研究開発に注いでいます。これを他社さんに言うと、え!?と驚かれる。大変な割合を研究に当てていると」
そして、もう一つ、強い研究開発を支えているのが、研究員が営業の役割の一部を担うことだ。同社の研究員は、ときに顧客に直接会いに行き、そのニーズを直接聞く。
「お客さまのニーズに迅速に対応するところも、非常に我々の強みです。どうしても、そこに研究者ではない、営業の人間だけが介在すると、伝言ゲームのようにお客さまのニーズと研究側の理解にずれが生じてしまうことがあるんです。だから直接、研究員が足を運んでお話を伺う機会は設けています」
「キャッチボールは正確に速く。直球対直球でやるのが勝負なんです」
「わからないから」こそ、現場に行く
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そんな籠島社長の考えは、レッズレディースへの支援にも現れている。
レッズから相談を受けた当初、籠島社長はサッカー、特に女子サッカーについては、まったくの知見がなかった。
そのため、「わからないから」という理由で、レッズレディースの試合や練習を積極的に見学し始める。2007年にはなでしこリーグのリーグやカップ戦、そのほかミニ国体やユニバーシアード、そして全日本女子選手権など実に72試合を観戦したという。
「わからないから、現場に行って見る」
同社を経営しながら、日本各地で実施される試合に向かうのは、簡単なことではないだろう。
だが、一度頼まれ、請け負ったからにはしっかりと向き合う、という籠島社長のビジネスパーソンとしての姿勢が、レッズレディースのパートナー企業としての姿勢にも現れているのだ。
選手の生活を支える ─ 正社員雇用から自転車の修理まで
サイデン化学は2007年から、レッズレディースの一部の選手を正社員として雇用し始めた。
選手たちは安定した収入を得ながら競技に専念できる機会を持てるようになる。
しかし、籠島社長の支援はそれだけに留まらなかった。積極的に練習場に足を運び、選手の自転車の修理や海外遠征時の差し入れなど、細やかな気配りを欠かさない。
同社のホームページには次のような籠島社長の言葉が掲載されている。
「企業における究極の目標は利益の追求ですが、自社の製品を通じて人々の生活に役立つと同時に社員及びその家族の生活の安定、向上を提供して初めてその企業としての存在価値があると言えます」
「利益の追求」だけではなく「人々の生活に役立つ」のはもちろん、「社員及びその家族の生活の安定、向上を提供」する。
そこに籠島社長の人としての姿勢が見える。
選手への向き合い方にも、籠島社長は一人一人を見て、親身になって対応し、支援してくださっているのだ。
雇用している選手にはあえて厳しさも
だからこそ、籠島社長は、雇用した選手たちにもしっかりと仕事と向き合うことを求める。
選手だから、という理由で、負荷のあまりかからない業務を割り当てるのではなく、その選手が引退後でも、しっかりと社会の中で生きていけるよう厳しさを持って接している。
「選手たちも、たぶん仕事はきついと思います。正社員として働ける権利もある分、やっぱり求めるものは仕事でも求めるので」
「でもそれは引退した後でも、ここに残って働く、さらには周りの同僚から選手あがりだからと見られないようにしてほしいというのがあるんです」
女子サッカーの発展と課題
最後に女子サッカーへの期待を聞いた。
返ってきたのは、心配と課題の指摘だった。
「私はWEリーグの発足をきいたとき、当初反対だったんです。
なかなか継続していくことを考えたとき、非常に難しいと思いました。実際、ここまで来て、難しい状況にもなっていますし」
長年支援をし、愛があるからこそ、本当に心を砕いてる様子だった。
「まあ、頼まれるとどうしても手を差し伸べてしまうんですが、もっとリーグやJFA、そしてクラブも含めて、長期的な視点で取り組んでほしいですね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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籠島社長は、インタビュー中、ビジネスパーソンとしての一面や女子サッカーへの提言など、さまざまな話をしてくれた。
その中で、とても多く出てきたのは、あの選手はいまはこうして頑張っている、あの選手からこうした相談を受けていて、こうアドバイスをした、など、豊富な選手とのエピソードだった。
それは現在レッズレディースに所属する選手だけではなく、かつて所属したOG、あるいは、女子サッカー界でさまざまな知り合いができたため、他クラブ、あるいはリーグなどからの相談もあるようだった。
籠島社長の人柄もあると思うが、それは一(いち)パートナーの役割や範囲を超える関わりだと感じる。
女子サッカーは、まだまだ発展途上の段階。
ファン・サポーターをはじめ、多くの方たちに支えられているが、籠島社長をはじめとするサイデン化学のような企業のみなさんの強い熱意にも支えられている。
(URL:OMA)