Match Day Information
MDI 2024-25 SOMPO WEリーグ 第12節 vs ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

◆今後のサッカー人生においても重要な1年だった◆
--猶本選手は昨年の皇后杯で膝の大怪我(左膝前十字靭帯損傷)を負ってしまいましたが、今年の皇后杯で復帰されました。この1年間は、猶本選手にとってどんな1年でしたか。
今振り返ると、自分の今後のサッカー人生においてもすごく重要な1年だったと思っています。この1年で、特にフィジカル的な部分を新しく学ぶなどして、しっかりと積み上げてこられました。
私はジェフユナイテッド市原・千葉レディース(千葉L)戦の日に31歳の誕生日を迎えますけど、30代って世間一般的には、だんだんフィジカルの部分が落ちていって、経験を生かして戦術面や技術面で違いを出す、みたいなイメージがあると思います。
だけどフィジカル面でもサッカー選手・アスリートとしての土台作りのところでまだ伸びしろはありますし、そこにしっかりフォーカスして積み上げてきて、復帰してからはリハビリで鍛えられた部分の良さも実感できています。ベテランのプレーヤーとしてではなく、自分自身がまだまだ成長していくための1年だったと捉えています。
--同じ日に安藤梢選手も同じ怪我をして、2人で励まし合いながら、というところもあったと思います。
休みなくリハビリをしていて、しんどいメニューも一緒にやっていたのですが、身体が疲れてきたときも梢さんがいたので、お互いに引っ張り合ってやれたのかなと思います。
--今はもう、万全と言って大丈夫ですか。
皇后杯のころから、練習にはフルで合流できています。でも、これは「大怪我明けあるある」らしいんですけど、復帰してきてすぐのときは調子が良くても、そのままサッカーだけをやっていると怪我をしていた部分の筋力や機能が落ちて調子を落としてしまう、ということがあるそうなので、今はリハビリも並行と言いますか、練習後も個別でトレーニングをするなど、バランスを見ながらやっている段階です
s

◆アドバイスを通じ、お互いを高め合えている◆
--今まで、外からチームを見る時間はあまりなかったと思います。この1年のチームの成長や変化はどのようにご覧になられてきましたか。
チーム全体としてはしっかりと守備の部分での積み上げができていて、若い選手が出てもそれなりに穴が開かずにできるようになったかな、というのが正直な感想です。
でも、昨シーズンであればチームが守っていたら(清家)貴子が点を取ってくれる、みたいなところがあったじゃないですか。今シーズンの前半戦などはしっかり守って無失点だけど点が取れない、というところで選手が悩んでいた部分があって、私も気付いたところを伝えるようにはしていました。ただ、一緒にやっていたらそういう悩みにももう少し早く気付いて声をかけてあげられたと思います。
--今では、同じピッチに立っての目線からアドバイスできている、ということですね。
アドバイスというよりは「もうちょっと、こうだったらこうしよう」みたいに伝えながら、お互いに高め合えている感覚はあります。みんな結構「点を取らなきゃ」「チームを勝たせなきゃ」という漠然とした目標に向かってしまって悩んでいるところがあったので、もう少し具体的に「もっとこういうプレーをしたらいいんじゃないの」という声をかけて、それぞれの選手が「自分が何をしたらチームのためになるのか」という部分にフォーカスできるようになったことで、チームも良くなっていったと思います。

◆リーグ後半戦、アジアの戦いに向けて◆
--チームはWEリーグ再開時点で、首位から勝ち点1差の3位につけています。ここからの優勝争いに向けてはいかがでしょうか。
もちろん優勝は目標ではありますけど、まずは目の前の1試合が大事です。そこで勝って勝ち点を積み重ねていくことで初めて見えてくるものだと思うので、あまり遠い目標を見過ぎず、しっかり足元を見て、まずは次の千葉L戦で勝てたらいいなと思います。
--猶本選手も戦列に復帰したことで、今度はチームの勝利に貢献していくところが求められると思います。
もちろんそれは目指していきますけど、まずは自分ができることでしっかりとチームに貢献していきたいです。そして、私も出るからにはチームに貢献しないと意味がないと思ってリハビリをしてきたので、狙えるところはしっかりと狙っていきます。
--また、3月にはAFC WOMEN'S CHAMPIONS LEAGUE 2024/25(AWCL)のノックアウトステージも始まります。
AWCLに関しては、クラブもそうですし、WEリーグやJFAなどが動いてくださっていて、クラブを背負っているのはもちろん、日本の女子サッカー界にとっても優勝することがすごく重要になってくると思います。楠瀬監督からも「もう一段レベルを上げないとダメだ」ということがあってやってきて、それをしっかりと表現できれば、自分たちは優勝できると考えています。
タフな戦いになると思いますが、そこで自分たちの技術やコンビネーションなどをいかに発揮していけるか、という点で楽しみですし、強度の高いゲームになるのかなと思います。
私はシーズンが始まる前にみんなに言ったんですけど、この大会の優勝は今後女子クラブワールドカップにつながるかもしれないですし、日本の女子サッカーのレベルアップのためにも、絶対に獲らなければいけないと強く思っています。

◆ここからまた、新しい自分を追求していきたい◆
--復帰後の2試合は、いずれも西日本での試合でした。浦和駒場スタジアムでプレーするとなれば、1年以上ぶりになります。
浦和駒場スタジアムでプレーするのが久しぶりすぎて、すごく楽しみです。月曜日のナイトゲームで、どれくらいの方が来てくれるか分からないですけど、アウェイはいけないけど浦和駒場には絶対に来てくれる、というファン・サポーターの方もたくさんいらっしゃると思うので、ぜひ1年以上ぶりの猶本 光のプレーを見てもらいたいなと思います。
--また、千葉L戦では選手プロデュースグルメ『REDS Re:DISH』として、『猶本光のひかまつり丼』が販売されます。
試合のある月曜日はすごく寒いみたいですけど、これは辛くて体がすごく温まるんです。私も辛いものが好きですし、こちらを食べて、熱い応援をお願いします。
--最後に、千葉L戦への意気込みをお聞かせください。
私は復帰するにあたって、ただピッチに戻ればいいというふうには思っていませんでした。「早く復帰してほしい」という声はいただいていましたけど、それだけじゃなくて、ファン・サポーターのみなさんは以前の猶本光以上のプレーを期待してくださっていると思っていますし、そうしたパフォーマンスが出せないのであれば、それは本当の意味での復帰とは言わないんじゃないかと思います。もしかしたら選手によってはもう少し早い段階で復帰していたのかもしれませんが、私はここまで、万全を期してやってきました。
結構時間がかかってしまいましたけど、私としてはしっかりとそのレベルまで持ってきて復帰したので、自分もここからまた新しい自分を追求していきたいですし、そういう私の変化、よりパワーアップした猶本光を楽しみに見てきてもらえればいいかなと思います。そしてWEリーグ再開初戦で勝利して、みなさんと喜び合いたいです。

(写真:近藤 篤)

