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不定期連載『Beyond』vol.1 「申し訳ない気持ちが溢れ出て…」遠藤優、敗戦から見えた確かなものー。
選手の思いや試合に臨む姿を伝える不定期連載『Beyond』をスタートします。
第一回は、AC長野パルセイロ・レディース戦に向かう遠藤優選手のコラムです。ぜひご一読ください。
写真:ATSUSHI KONDO
あふれ出る感情をとどめることができなかった。
2024-25 SOMPO WEリーグ 第2節 INAC神戸レオネッサ戦で敗れた翌日のリカバリートレーニング。
遠藤優は、敗戦の責任を感じ、チームメイトの前で涙を流していた。
◆「申し訳ない気持ちが溢れ出て…」◆
前日の試合。INAC神戸レオネッサの右サイドから上がったクロス。
遠藤の近くに位置した相手選手が頭で合わせる。
一度はゴールポストにはじかれたボールだったが、再び押し込まれ、ネットを揺らされた。
0-1。そしてチームは敗れた。
「チーム全員から選ばれて、責任を負って先発11人に入って、ピッチにスタートから最後まで出ていたにもかかわらず、みんなを負けにしてしまって。申し訳ないという気持ちがすごく溢れ出てしまっての涙でした」
遠藤の頭上をボールが通り過ぎる前、相手FWと味方DFが競っていた。クロスの処理をするのが難しい状況だったのは間違いない。
だが、自分の場所で失点してしまった事実に変わりはなかった。
1つのプレーでチームが負けてしまう。その重みを、彼女は翌日も全身で受け止めていた。
写真:URL:OM 2024.9.23 リカバリートレーニング時の様子
◆覚悟を持って臨むシーズン◆
2023-24シーズン、遠藤はWEリーグベストイレブンに選出された。
右サイドバックとして、アップダウンを繰り返すスタミナ。激しいタックル。彼女の特長であり魅力の1つだ。
昨季はリーグ戦全試合に先発、1試合を除いてフル出場し、1,968分とチーム内で最も長くピッチに立った選手でもある。
トレーニングジムに通い、身体を鍛える。定期的なチームトレーニング後のエキストラメニューも欠かしていない。
確かな準備とプロとしての矜持で積み重ねた先に、たどり着いた結果だった。
「下積みはすごくやってきていて、去年から続けているウェイト(トレーニング)だったりとか、週明けの走りだったりとか、それはもう自分の中では当たり前になっていて」
だが、その今に満足しているわけではない。
「もう1つ、やっぱり壁を越えるという点では、得点に絡むのと、クロスでアシストをすることが必要になると思っています。やっぱりみなさん、一番は結果を見るので。なでしこジャパン(日本女子代表)に食い込んでいくためには、どうしても数字で結果を残さないといけない」
遠藤は、自身の成長とチームへの貢献、そしてその先につながる代表への思いについて話す。
◆自分らしさを取り戻す◆
次節は長野パルセイロ・レディース戦だ。敗れた後の、チームとしても本人としても重要な試合だろう。
遠藤は、自分らしいプレーを取り戻したいと話す。
「ここ2試合は周りをうまく生かしてあげようと思いすぎてしまって、自分のプレーをなかなかうまく出せていなかったです」
「私のいいところは、やっぱりガムシャラに縦に走ったりとか、ドリブルで何回も仕掛けて、チャンスメイクしたりだとか、そういうところ」
遠藤は、自分の強みを再確認している。
「AC長野戦では、どんどん仕掛けて、足がつるぐらいオーバーラップして、勝って帰ってきたい」
◆期待に応える覚悟◆
写真:ATSUSHI KONDO
ホーム開幕戦には3,551人の方がスタジアムを訪れ、多くの子どもたちも観に来てくれた。
「もちろん期待に応えたいっていう気持ちはすごくあります」
遠藤はファン・サポーターへの思いをそう話す。
そして、だからこそ大切にしたいことがある。
「この間の負けはやっぱり、期待には応えられなかったと思うんですけど、でも大事なのは積み上げていくこと。それと最後の結果です。みんながあまり気負いすぎず、自分らしさを出せるのが一番なんじゃないかなって思います」
加えて、チームの課題についてもしっかりと見据えている。
「やっぱり点を取るとなったときに、FWの島田選手含め、その他の前線の選手だけじゃなくて、セットプレーで点を取ったり、ディフェンスが点を取ったり、私がドリブルから切り込んで点を取ったりとか、もっといろんな引き出しを出していかないと、優勝は厳しいんじゃないかなと考えています」
淡々と、だが確かな口調で話すその声色からは、覚悟と“今”を超えていくことの強い意志が感じられた。
9月29日、長野パルセイロ・レディース戦。
遠藤優はきっと“らしさ”を見せてくれる。そのときには、勝利と彼女の笑顔が見られるはずだ。
(URL:OMA)
第一回は、AC長野パルセイロ・レディース戦に向かう遠藤優選手のコラムです。ぜひご一読ください。
写真:ATSUSHI KONDO
あふれ出る感情をとどめることができなかった。
2024-25 SOMPO WEリーグ 第2節 INAC神戸レオネッサ戦で敗れた翌日のリカバリートレーニング。
遠藤優は、敗戦の責任を感じ、チームメイトの前で涙を流していた。
◆「申し訳ない気持ちが溢れ出て…」◆
前日の試合。INAC神戸レオネッサの右サイドから上がったクロス。
遠藤の近くに位置した相手選手が頭で合わせる。
一度はゴールポストにはじかれたボールだったが、再び押し込まれ、ネットを揺らされた。
0-1。そしてチームは敗れた。
「チーム全員から選ばれて、責任を負って先発11人に入って、ピッチにスタートから最後まで出ていたにもかかわらず、みんなを負けにしてしまって。申し訳ないという気持ちがすごく溢れ出てしまっての涙でした」
遠藤の頭上をボールが通り過ぎる前、相手FWと味方DFが競っていた。クロスの処理をするのが難しい状況だったのは間違いない。
だが、自分の場所で失点してしまった事実に変わりはなかった。
1つのプレーでチームが負けてしまう。その重みを、彼女は翌日も全身で受け止めていた。
写真:URL:OM 2024.9.23 リカバリートレーニング時の様子
◆覚悟を持って臨むシーズン◆
2023-24シーズン、遠藤はWEリーグベストイレブンに選出された。
右サイドバックとして、アップダウンを繰り返すスタミナ。激しいタックル。彼女の特長であり魅力の1つだ。
昨季はリーグ戦全試合に先発、1試合を除いてフル出場し、1,968分とチーム内で最も長くピッチに立った選手でもある。
トレーニングジムに通い、身体を鍛える。定期的なチームトレーニング後のエキストラメニューも欠かしていない。
確かな準備とプロとしての矜持で積み重ねた先に、たどり着いた結果だった。
「下積みはすごくやってきていて、去年から続けているウェイト(トレーニング)だったりとか、週明けの走りだったりとか、それはもう自分の中では当たり前になっていて」
だが、その今に満足しているわけではない。
「もう1つ、やっぱり壁を越えるという点では、得点に絡むのと、クロスでアシストをすることが必要になると思っています。やっぱりみなさん、一番は結果を見るので。なでしこジャパン(日本女子代表)に食い込んでいくためには、どうしても数字で結果を残さないといけない」
遠藤は、自身の成長とチームへの貢献、そしてその先につながる代表への思いについて話す。
◆自分らしさを取り戻す◆
次節は長野パルセイロ・レディース戦だ。敗れた後の、チームとしても本人としても重要な試合だろう。
遠藤は、自分らしいプレーを取り戻したいと話す。
「ここ2試合は周りをうまく生かしてあげようと思いすぎてしまって、自分のプレーをなかなかうまく出せていなかったです」
「私のいいところは、やっぱりガムシャラに縦に走ったりとか、ドリブルで何回も仕掛けて、チャンスメイクしたりだとか、そういうところ」
遠藤は、自分の強みを再確認している。
「AC長野戦では、どんどん仕掛けて、足がつるぐらいオーバーラップして、勝って帰ってきたい」
◆期待に応える覚悟◆
写真:ATSUSHI KONDO
ホーム開幕戦には3,551人の方がスタジアムを訪れ、多くの子どもたちも観に来てくれた。
「もちろん期待に応えたいっていう気持ちはすごくあります」
遠藤はファン・サポーターへの思いをそう話す。
そして、だからこそ大切にしたいことがある。
「この間の負けはやっぱり、期待には応えられなかったと思うんですけど、でも大事なのは積み上げていくこと。それと最後の結果です。みんながあまり気負いすぎず、自分らしさを出せるのが一番なんじゃないかなって思います」
加えて、チームの課題についてもしっかりと見据えている。
「やっぱり点を取るとなったときに、FWの島田選手含め、その他の前線の選手だけじゃなくて、セットプレーで点を取ったり、ディフェンスが点を取ったり、私がドリブルから切り込んで点を取ったりとか、もっといろんな引き出しを出していかないと、優勝は厳しいんじゃないかなと考えています」
淡々と、だが確かな口調で話すその声色からは、覚悟と“今”を超えていくことの強い意志が感じられた。
9月29日、長野パルセイロ・レディース戦。
遠藤優はきっと“らしさ”を見せてくれる。そのときには、勝利と彼女の笑顔が見られるはずだ。
(URL:OMA)