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MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
先々週の日曜日に、ここ埼玉スタジアムで行われた湘南ベルマーレの試合は、2-0で勝利することができました。昨季一度も勝てなかった相手に完封勝ちできたのは良かったですし、私自身も監督として湘南に勝ったのはこれが初めてでした。
先制の場面では素晴らしいコンビネーションが見られました。それぞれの選手が持ち味を発揮してくれたと思います。早く追加点を奪って試合を決定づけたかったのですが、結局2点目が入ったのは試合の終盤になってしまいました。それでも、しっかりと追加点を取れたことは良かったと思います。
先週土曜日にアウェイで行われたサガン鳥栖戦は0-1で敗れました。前半は我々が用意していたゲームプランが遂行しにくい状況でした。組み立てや攻撃のキーとなるところに相手が強いプレスをかけてきて、ビルドアップがうまくいきませんでした。後半、選手の配置を変えたことでいくつかの決定機を迎えましたが、得点には至っていません。我々が勝つチャンスもあった試合だったと思いますが、残念な結果に終わりました。
良い結果が出ていない理由の一つは、両方のペナルティーエリアにあると思っています。攻撃の際は、チャンスを作っていても決めきることができていません。また、自陣のエリア内でのミスなどから失点をしています。これが勝ち点3を取れるかどうかのポイントになっています。
今は連戦の時期と比べてプラスアルファのトレーニングができています。また本日の試合が終われば2週間空くので、さらに技術的な質を上げるためのトレーニングもできますし、チームとしてイメージを共有するトレーニングもしっかりやっていきます。
ダヴィド モーベルグもチームに合流してようやく全員がそろいました。ケガで制限のあった選手たちもフルで練習ができるようになるまでにコンディションが上がっています。現在は今季初めてほぼ全員で練習ができるようになりました。人数がそろえば練習の質も上がりますし、試合での選択肢も広がります。
状態の良い選手が増えているので、これまで試合に出ていた選手がメンバーに入らない状況も出てくるでしょう。しかし、これは長い目で見れば良いことです。リーグ戦だけではなく、今後はACLを含めた他の3つの大会もありますので、それらをすべて戦っていくには多くの戦える選手が必要です。
本日の相手、ジュビロ磐田は遠藤保仁選手を中心にボールをキープしながら攻撃を組み立ててきます。5-4-1の守備をいかにこじ開けるかということがカギになってきます。前節とは違う質や決定力をお見せできればと思っています。
リーグ戦でついた上位との勝ち点差は簡単にはね返せるものではありません。いま大事なのは磐田に勝つことです。目の前の試合に一つずつ勝っていくことが重要です。そしてチームを改善しながら、順位を上げていきたいと思っています。
我々の戦いはここからです。今日も最後までサポートをお願いします。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
今季新加入。埼スタでのプレーは昨季第9節の浦和vs徳島戦で経験していたが、ホームとしては神戸戦が初めてだった。
「ピッチに立ったのは去年が初めてですが、観戦者として来たこともありますし、湘南にいるときもレッズ戦(2013年)のメンバーには入らなかったのですが、埼スタに行ってみたいということで帯同させてもらったことがあります。日本代表の試合でも使われる大きなスタジアムですし、僕の実家が(群馬県)館林にあって、帰るときは東北自動車道を使うので、いつも横目に埼スタを見て、『こんなところでサッカーができたら選手として本望だろうな』という思いを抱いていました。
神戸戦では途中出場でしたが、ホームスタジアムとしてピッチに立ってみると、見る側もそうですが、やる側も臨場感を感じますね。そのスケール感はこれまで感じたことのないものでした」
湘南戦の43分、中盤で明本考浩が倒されてFKを得ると、伊藤敦樹が動き出したのを見てクイックリスタートした(※動画あり)。また56分には、関根貴大が相手にアタックしてこぼれたボールを拾い、飛び出した明本にスルーパスを出した(※動画あり)。いずれもゴールにはならなかったが、選手の連係によって作ったビッグチャンスだった。
「前半のあの場面は、時間を使ってもいいタイミングでしたが、早く始められるならそのほうがいいというシチュエーションでもありました。敦樹が前に走り始めていたので、パスを出しても困らないだろうと思いましたし、いろいろな要素を考えて出したほうがいい、という判断をしました。
後半の場面は、攻守が入れ替わる瞬間だったので、飛び出したアキにDFがついていけてなかったですね。ゴールが決まればもっと良かったですが、前にボールを出したいという意識は常にありますし、良い場面だったと思います。
ホームで勝利を挙げたのでもっとうれしいだろうと思っていたんですが、ここからさらに勝ち続けることを求められている状況なので、1試合に勝ったうれしさよりも、緊張感というか、危機感のほうが大きかったですね。責任感と言ってもいいかもしれません」
前節の鳥栖戦はこれまでの試合と比べて、あまり良い時間帯を作れなかった。
「いろいろなプランを持って試合に臨みますが、サッカーでは想定していたものとは違うということが往々にしてあります。そんなときに自分たちがどういうリアクションを起こせるかが大事なファクターなのですが、悪い意味で良い子にし過ぎるというか、言われていることしかしないというふうになってしまうと、ああいう試合になってしまうのだなという印象です。
選手それぞれの中にある『こうしたほうが良い』とか、『こうすればあそこが空いてくる』とか、いろいろな考えを一つの線にする作業をしなければいけなかったのですが、なかなかそれがうまくいきませんでした。
リカルド監督が考えるサッカーの実践において、そういう対応力も含めて自分らしさを出すということにトライしていきたいです」
それでも選手の配置を変えた後半は、47分にいきなりビッグチャンスが来た。多くの選手が絡んでボールを奪い、小泉佳穂、江坂任、関根とつないで明本がシュート。最後は自身でこぼれ球を拾ってシュートを狙ったが、わずかにゴール左へと外れた(※動画あり)。
「あのシーンは良い流れだったと思います。でもゴールに入ったか、入っていないかがすべてなので、しっかりと枠に入るように打たなければいけません。
どんなプランを持っていても、どんな形でやっていても、良いパスを出すとか、良いコントロールをするとか、戦うとか、そういう部分が絶対に必要です。そこに関しては戦術云々ではありません。
鳥栖のプレスは確実に整理されていましたし、非常にスピードも速かったので、それを逆手にとって利用したかったのですが、うまくいきませんでした。実力不足だったと思いますし、真摯に受け止めて、次にやるときには借りを返したいです」
加入2年目。川崎戦から3試合連続途中出場している。沖縄キャンプでは昨季よりもゴールを狙う意識が高まったようなプレーをしていた。
「今季は早くからチャンスを与えてもらっていますし、より結果にフォーカスしています。もちろん去年も結果にこだわっていましたが、今年は数字を残さないといけない年だと思っているので、まずは単純にゴールしたいという気持ちが強いです。自分で決めるのもそうですが、アシストなり、その前のプレーなりで、勝利への貢献度を高めたいです。
僕はドリブルが持ち味と言われますが、サッカーの目的はボールをゴールに入れることであって、ドリブルはその手段の一つです。だから、ドリブルしたいという自分の感情を捨てて、どうやってゴールに入れるのか、どうするのがチームにとって良いことなのかを最優先に考えるようになりました」
左利きだが右サイドハーフに入ることが多く、カットインからの左足シュート、縦に突破してのクロスが期待されている。湘南戦の73分には、右サイドからグラウンダーで中央にパスを送り、伊藤敦樹のシュートにつなげた(※動画あり)。
「右足でのクロスは大学のときからずっとやっていました。右サイドでドリブルをしているときは、カットインしたらシュート、縦に突破したらクロス、最低でもCKを取れと言われていて、その3つは今も意識しています。
湘南戦のあのシーンは、最初はカットインを狙っていて、アーリークロスも考えましたが、敦樹が良いタイミングで顔を出してくれたのでシンプルに出しました。あのときは左足でしたね。ただボールが少し浮いてしまったのは申し訳なかったです」
以前、岩尾憲からアドバイスを受けたという「裏に抜ける動き」は意識しているのだろうか。
「意識しています。『足元で受けてドリブルで仕掛けることが多いけど、相手の裏を取れるのであれば、それが一番良い』と言われました。2019年に横浜F・マリノスが優勝したとき、仲川輝人選手は監督から「足元でボールを受けるな」と指示されていたそうです。足元でもらうだけだと相手もつかまえやすいですし、まずは相手の嫌なところ、最終ラインの裏を狙って、それで相手が引いてくれたらドリブルもより生きてくるということです」
ここまでリーグ戦では1勝1分け4敗。途中出場が多い中でも、点を取るためのプレーが期待されている。
「成績に関しては妥当なところもあると、個人的には思います。去年はあまりうまくいっていないときに勝てた試合もありますし、天皇杯で優勝したことで、少し勘違いしてしまった部分があるのではないかと感じています。
亡くなったプロ野球の野村克也さんの言葉に『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』というのがありますよね。運が味方して勝つことはあるけど、負けるときには何か理由があるということです。今のレッズがあまり勝てていないことにも理由があるはずです。
鳥栖戦は戦術や技術云々の前に、目の前の相手に競り負けていました。裏に抜けた相手についていけなければ勝てません。相手よりも強い気持ちで戦う、泥臭くても戦う。そういう気持ちがチームに足りないのかなと思っています。ただ、それで悲観的になっているわけではありません。
流れが良くない時間帯に起用されるということは、その流れを変えるのが自分の役割です。まだまだ流れを持ってくるような仕事ができていませんし、そこは実力不足を感じています。
磐田戦で起用されたら、まずは強い気持ちで戦う、相手よりも走るといったベースの部分をしっかりと出して、そのうえで得点に絡むプレーを目指します」
今季新加入。ケガのためキャンプ終盤までほぼ別メニューだったが、リーグ開幕の京都戦にベンチ入りして途中出場。以降は川崎戦を除いて先発している。
「始動した頃はキャンプ終盤には合流したいと思っていたのですが、それでは早すぎるということで、開幕の京都戦を目指していました。出場したときは、自分でも少し早いかなという感覚でしたが、その後先発で起用してもらって、出場時間も長くなり、体力が戻ってきたことを実感しています。次の磐田戦で出られれば、もっと走れると思います」
湘南戦の16分には、左からの折り返しで江坂の先制点をアシストした(※動画あり)。江坂からのパスを外ではなく相手の裏に抜けてもらう選択、折り返しを中央の明本ではなく後方から走り込む江坂に出した選択、さらにダイレクトシュートという選択。相手の裏をかくプレーの連続が生んだ先制点だった。
「DFの裏のスペースが見えていましたし、任くんのボールの持ち方も見えていたので、ワンタッチで裏に出るだろうなと思って走りました。クロスは最初アキくん(明本)に出そうとしたんですが、DFがいて低いボールは通らないかなと。そのときに走ってきた任くんから呼ばれたので、後方を見たらスペースがあったのでそこへ置く感じで出しました。ダイレクトで打ってくれて、入って良かったです。
リーグ戦では開幕から勝てていなかったので、アシストができて気持ち良かったですし、これからもああいうプレーを増やして、もっとチームに貢献したいです」
神戸戦で初めてホームとしての埼玉スタジアムを経験。鳥栖時代にレッズのホームゲームを2回経験しているが、昨季の第24節は駒場スタジアムでの開催だったため、埼スタでのプレー経験は2020年9月9日だけだった。
「プロ1年目で埼スタに来たときは、やりにくい印象、嫌な印象がありましたが、レッズの一員としてピッチに立ったときは、後押しの力強さを感じました。湘南戦が終わって場内を一周しているときは、やっと勝てたという気持ちでした」
古巣に乗り込んでの鳥栖戦は「特別な気持ちがあった」というが、相手も特別な気持ちを抱いていたようで、複数で強いプレスをかけてきた。
「たぶん、相手にもそういう気持ちはあったと思います。でもそれ以前に、自分たちの立ち位置が良くありませんでした。後半に選手の配置を変えてからは前でボールが収まるようになり、点になりそうな場面も多くなりましたが、決めきれませんでした。まだ悔しい気持ちが残っているので、次の対戦では借り を返したいです」
望むような結果は得られていないが、まずは目の前の磐田戦に集中する必要がある。ホームでまた勝利をつかみたい。
「内容的には自分たちのサッカーができている試合が多いと思います。ただ、最後の決める部分だったり、守備でも最後に寄せきれず失点してしまう部分だったり、まだ甘いところがあります。そういう部分を突き詰めていけば勝利につながると思うので、原点に戻って次の磐田戦で勝利したいです。埼スタで勝利した経験は大きいですし、ホームでのやりやすさを感じています」
ALWAYS FOR REDS
文●清尾 淳
他人から見たら趣味の世界と思われるかもしれないが、自分では立派な仕事と思って二つのことをやっている。収入が伴わなければ仕事と呼べないなら、ライフワークと言えば通用するだろう。
一つはYouTubeで浦和レッズの歴史を語り始めたこと。こちらは1992年のレッズ誕生から時代順に下ってきており、今は1999年のことを話している。1回10分程度の話を週2回発信し、今年の夏で丸2年になる。
もう一つはこの3月から始めたばかりだが、レッズ30年の歴史の中で、この日はこういうことがあった、というのを毎日書いていくというもの。こちらは文章や画像などを投稿できるwebサービス「note」を利用させてもらっている。僕だけではなく、その日に思い入れのある人なら誰でも投稿してもらって、日付ごとにまとめて読めるようになっている。
個人的な話から入ってしまったが、そういうわけで今季のレッズを取材しながら、レッズの歴史を見直している。そのせいか子どものころに言葉だけ知っていた「温故知新」をよく経験している。
例えば1995年。レッズ初の外国人監督、ドイツ人のホルガー オジェック氏が就任した年で期待されたが、開幕から第6節まで1勝5敗と低調だった。その後、勝ったり負けたりして少しずつ順位を上げると終盤に差し掛かる前から連勝し、1stステージ最終節の前までステージ優勝の可能性を残した。好調に転じた理由はいろいろあるが、一つはサポーターが信じて支え続けた、ということがあったと思う。
もう一つは規律に厳しい監督の指導と、チームの中にいたプロ精神の伝道師のような存在、ギド ブッフバルト(ドイツ代表DF、のちのレッズ監督)によって選手たちの内面が変わり、勝つために本気度を数段上げて取り組んだことだろう。ギドは何度も「君たちはプロなんだ!」と熱い言葉を選手たちに投げかけたという。
今回、岩尾憲を取材した中で「PLAYERS' VOICE」に載せず、ここへ持ってきた部分がある。以下はそのコメント。
「改善するためには、コミュニケーションが必要ですが、中でも譲れないコミュニケーションがあります。誰かのミスのせいだとか、あいつと俺が合わないと言うのではなくて、合わせるためにやらなければならないんです。部活ではなくてプロなんですから、仕事としてやらなくてはならないことです」
J1リーグ開幕以来、多くのチャンスは作っているが点が取れない今のレッズ。最後の連係がわずかに合わなかったり、ミスが出たりしてゴールになっていない。湘南戦の先制点のように、選手同士の意思が見事に合うようになれば、ゴールも格段に増えるはずだが。
そのわずかなところの精度を高めるためには、実戦を重ねることも大事だが、選手同士の本気の話し合いも欠かせないだろう。岩尾の「部活ではなくてプロなんですから」という言葉が胸に響いた。
優勝という目標に本気で向かうために、多くの選手のプレーは昨季よりもレベルアップしている。
内面も、さらにレベルアップしてほしい。連係のズレや精度を上げるために、互いに耳の痛いことも言い合うのが、プロのコミュニケーションというものだろう。たとえ話し合いで笑顔がなくても、試合の後で笑顔になるために欠かせないことがあるはずだ。
今日の磐田戦、走り、闘い、そしてゴールを決めてほしい。
信じて支え続けるサポーターと一つになって。