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土田SD、西野TD オンライン会見コメント
9日、土田尚史スポーツダイレクター(SD)と西野 努テクニカルダイレクター(TD)のオンライン会見が行われ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022優勝を報告するとともに、メディアの質問に答えた。
【土田尚史SD】
「みなさま、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日、みなさまにAFCチャンピオンズリーグ優勝のご報告ができることを本当にうれしく思っています。今回のタイトルは多くのみなさまのご協力とご支援、そして共に闘ってくださったファン・サポーターのみなさまの力が我々の大きなアドバンテージとなり、獲得することができました。この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。そして、また明日からJリーグが再開します。今まで通りチーム一丸、ワンチームとなってJ1リーグ優勝を目指して頑張ってまいります。引き続きよろしくお願いいたします」
[質疑応答]
(土田SDに質問です。ACLで最多の3度目の優勝となったが、3度目の優勝は今後の浦和レッズにとってどのような価値のあるものとなっていきそうか?)
「この3回目の優勝は、過去2回の経験があってのものだと思います。それと、我々がこの体制になって4年目になるわけですが、ブレずにやってきたこと、時間軸は少しずれたかもしれませんが、方向性は間違っていなかったと思うところもあります。今後も今まで通り、継続したチームづくりをしていけたらと思っています」
(土田SDに質問です。3年計画の成果も含まれていると感じるか?)
「3年目にこのタイトルを、ということを目標にチームづくりしてきて、なかなか結果がついてきませんでしたが、ブレずにやってきた影響もあると思っています」
(西野TDに質問です。マチェイ スコルジャ監督が就任し、新体制になって約4ヵ月間で大きなタイトルを獲得したが、西野TDから見たスコルジャ監督の評価はどうか?)
「ホーム&アウェイの2試合での決着とはいえ、アジアの巨人、アルヒラルに対して対策を立てて、2試合で勝ったことの評価はすごく高いと思います。一方で新しいチームに入り、新しいチームづくりをしながら、同時に成果も求められる厳しい環境の中で、J1リーグに関してもある程度の位置につけながら、両立してもらえていることは、我々の要望通りですし、非常にハードルの高いタスクをこなしてくれている本当に優秀な監督だと思っています」
(土田SDに質問です。過去の浦和レッズに足りなかったことに対して、どのように改革したことがACLのタイトルにつながったと感じているか?)
「このタイトルがその答えかというと全てではないと思っています。このタイトル自体は2021年の天皇杯の結果で出場権を得て、2022年のグループステージと決勝トーナメントを勝ち抜き、今回の決勝で結果が出ました。監督も昨年はリカルド ロドリゲス監督に指揮を執ってもらい、今とは大きく違うメンバーで闘ってきたという経緯があっての今回の結果です。いろいろな力が結集しての結果だと思っています。我々の変化が、今回の結果が出た一番の理由だとは思っていません」
(土田SDに質問です。監督は替わりながらも、大きな意味での継続性は見られるクラブになっていると思うが、その点で大切にしてきたことはどんなことか?)
「我々がこの立場になったときに最初に掲げたコンセプト、それをベースにチームづくりをしてきたというところです」
(西野TDに質問です。スカウティングの評価について、評価基準の導入などいろいろな取り組みがあったと思うが、それらの成果がどうチーム作りに役立っていると感じるか?)
「就任記者会見で発表したスライドをついこの間見たのですが、当時、主観だけに頼らずに客観的にしっかりと科学的に分析をし、そういったデータも活用して、ということを話させてもらっていて、その点に関してはすごく進歩してきていると思っています。それを理解して活用できるコーチングスタッフの存在も含めて、そうした『強化の強化』が大きなテーマでしたし、これからもそうだと思っていますので、その点に関してはあまり表に出てはいないと思いますが、まだまだやるべきことはたくさんありますという前提のもとに、着実に成長していると感じます」
(土田SDに質問です。ACL優勝決定後のピッチで興梠慎三選手と土田SDや西野TDが満面の笑顔で抱き合っていたことが印象的だった。興梠選手も「土田SDや西野TDに復帰を要請してもらえなければここにはいられなかった」と感謝していた。一方で、興梠選手はこれほど多く試合に出られるとは思っておらず、「試合に出られなくてもチームを支えようと思っていたと」言っていたが、土田SDは興梠選手にどういうことを期待して戻ってきてもらったのか?また、ここまでの彼のピッチ内外での働きをどう見ているのか?)
「まず今シーズンの興梠慎三のチーム内での存在感は計り知れなく大きなものになっていると思っています。ピッチ上でもそうですし、ロッカールームの中でもそうです。チーム全体にいい影響を与えてくれる選手の一人です。実は今回、彼に戻ってきてほしいというオファーを出したとき、一つ約束したことがあります。それは、サッカー人生を締め括る場所として浦和レッズにという気持ちでは戻ってきてほしくはないと。とにかくやりきってほしいと。現役の最後の最後、自分の力を出しきってやりきる場所として戻ってきてほしい。そういう気持ちがあるのであれば帰ってきてもらいたいということで合意し、戻ってきてもらった経緯があります。実際に、今シーズンは準備のところからそれを本当にピッチ内外で表現してくれていると思いますし、今回のこの結果にも大きな力を発揮してくれたと思っています」
(西野TDへ質問です。レッズは2007年、2017年にもアジアを制覇しているが、アジアを制覇して、続けてタイトルを獲ることができなかったから足踏みがあったのだと思う。3度目のアジア制覇からさらにJ1リーグ優勝など今季のタイトルを積み重ねていくことができれば、西野TDが言う勝利への飢餓感があるチームになっていくと思う。ここからさらにタイトルを積み重ねていく上で、チームやマチェイ監督に望むこと、あるいは強化の立場からアプローチしたいと思っていることはあるか?)
「ACLを3度優勝したということはもちろん誇らしいことですし、記録としては唯一のクラブと言えるものの、国内でのリーグという観点で言うと、1度しか優勝していないという事実に何ら変わりはありません。ですので、そこが一番必要ですし、積み重ねていかなくてはいけないことだとも思っています。今回の結果は結果で素晴らしいし、喜ぶし、でももう終わったことで、決勝翌日からは、また始まるJ1リーグと残されたタイトル全てに向かって満足せずに貪欲に闘うチームになってもらいたいということがクラブからのチームに対するおもいです。そういった環境をつくっていかなければいけないということも我々の仕事として思いますし、そう考えています」
(2人に質問です。マチェイ監督は規律をとても大事にしていると思うが、選手を縛るような規律ではないと思う。なぜかというと、選手からチームがひとつにまとまったという声が聞かれたり、興梠選手が「監督のために勝ちたい」ということを言っていたりした。そういうところにマチェイ監督の良さがあるのではないか?)
土田SD
「まだ今シーズンが始まって4ヵ月、J1リーグが9試合、(YBC)ルヴァンカップが4試合、ACL決勝が2試合、それだけの数の試合しかこなしていない現状ですが、彼にオファーを出したときに浦和レッズをこういうふうに変えていってほしい、こういうふうに変わっていってくれるだろうという期待感はありました。そのベースには彼のサッカー感があり、それをどうピッチ上に伝えていくかという能力にも長けた監督だと思いますが、何よりハートの良さ、人間性の良さが最初に好感を持った一番の理由です。それと、チームを一つにする、闘うチームをつくる、みんなが同じ絵を描いて同じ方向に進むチームをつくれる、チーム一丸となって闘える、そういったところのマネジメント能力の高さに関して、もちろん期待はしていましたが、一緒に仕事をしていく上で本当に驚かされることがあります。そういったところが現段階で彼に対する評価としてお答えできることです」
西野TD
「土田SDと同じ思いですが、チームコンセプトが3つあり、チームと個と姿勢ということを就任会見で言わせてもらったものは継続でありまして、浦和レッズの監督は本当に難しいことが求められると思っています。姿勢は攻撃的な姿勢、チームのところはチームとしてどんなサッカーをするか、個は浦和レッズにいる選手は日本で一番になる、あるいはなっている選手、個性の塊なので、そういったところをどうチームとしてまとめていくかは本当に難しい作業だと3年間そばで見ていて思いました。そういった意味では、規律と自由のバランスをどう取っていくかが非常に大事な中で、選手の個をしっかりと発揮させることとチームとして機能させること、そこにしっかりと規律を持っていることに関して、まだ4ヵ月なので今の段階での評価という観点で言うと、その点でのバランスとマネジメント力が素晴らしいという見方をしています。勝てないこともあるでしょうし、これからいろいろなことが起こると思います。そうしたときにどのような危機的な対応ができるかということもこれから問われると思いますが、現状では規律と、個性の潜在能力を最大限発揮させるということを両立する方向でやってくれていると感じています」
(土田SDに質問です。マチェイ監督だけではマネジメントは難しく、コーチ陣も重要だと思うが、特に池田伸康コーチがユースの監督からトップチームのコーチになったことが大きいと思う。選手から自然に池田コーチの名前が出てくるのはうまくいっている証だと思うが、池田コーチをトップチームに就任させたことの狙いや評価をどう考えているか?)
「池田コーチもそうですし、他に関わってもらっている指導者の方もそうですが、みんなでいい空気をつくってくれています。コーチングスタッフルームはすごくいい雰囲気です。池田コーチは人の心をつかむ、そして動かすことに長けた指導者だと思っています。今回はマチェイ監督のもと、コーチングスタッフの中でもリーダー的な存在として仕事をしてくれていますが、コーチングスタッフ全員に対しても、監督に対しても、選手に対しても、みんなが仕事をしやすい雰囲気、環境をつくってくれて、本当に感謝しています。そういうことを彼には期待していましたが、期待以上の仕事をしてくれていると思っています」
(2人に質問です。ACL優勝で改めて浦和レッズが進むべき道を感じられたと思うが、どう感じているか?世界と対等に闘うためにはどんなことが必要だと考えているか?)
土田SD
「私は最初の質問に答えさせていただきます。今回のACLの優勝を今のチームが経験したことは今後の戦いにも生きてくると思います。我々がこのチームをつくる上で一番のキーコンセプトにしている、浦和を背負う責任、それを大事にチームづくりを進めてきましたが、今いる選手たちにどれだけ伝わっているのかということは日々、葛藤がありました。今シーズンのJ1リーグが始まってから、埼玉スタジアムにたくさんのファン・サポーターの方々が足を運んでくれています。昨年までとは違う雰囲気で闘うことができています。そういうところで選手にはいろいろなことが伝わっているということは試合を重ねるごとに感じていました。そして今回の決勝、アウェイの地にあれだけたくさんのファン・サポーターの方々が足を運んで、あれだけの素晴らしい応援をしてくださいました。ホームに帰ってきたら、埼スタが満員となり、あれだけの素晴らしい環境をつくってくれました。その中で試合をしたこのチーム、この選手たち、この監督、コーチたちはいろいろなことを感じたと思います。浦和を背負う責任というのはこういうものか、こういうことで表現しなければいけないのではないか、ということを感じ取ってくれたと思っています。ですので、我々がこれから闘っていく上でもベースとなるところに浦和を背負う責任をどう表現していくかということが、明日から始まるJ1リーグやいろいろなところで見られればうれしいです」
西野TD
「世界と対等に闘うためにはどんなことが必要かということですが、今回のACL決勝でアルヒラルと闘った経験から考えていることは、チーム人件費は数倍違うと思っています。2倍や3倍ではなく、数倍の違いがあると思っています。そのチームにホーム&アウェイで勝つことができたということは、先ほど土田SDに言ってもらったように、すごく大きな経験になっていると思います。ただ、環境が変わっていく、サウジアラビアや中東の国はどんどんサッカーに投資していく。ということは個の力はどんどん上がっていくだろうということが見えています。(FIFA)クラブワールドカップでヨーロッパのクラブと対戦できれば、おそらくチーム人件費が20倍、30倍の差があります。そのようなチームと闘い、それに勝ちたいと思ったときに何をしなければいけないのかというと、我々だけではなく、クラブの財政も上げなければいけないとすれば、たくさんの人にスタジアムに来てもらい、たくさんの人に応援してもらいたいですし、レッズの広告料収入は日本一のはずですが、もっとお金を稼いでクラブ自体が成長しなければいけないかもしれません。そういうお金を効率良く無駄なく使って、知恵を使って、ピッチ上でそういった巨人たちを相手に勝たなければいけないというチャレンジだと思っています。できる、できないの話ではなくて、そうしたギャップをどう詰めていくかということを、我々はチームの立場で考えますが、メディアのみなさんやパートナーのみなさん、応援してくれるファン・サポーターのみなさまをどう増やしていくか。Jリーグは一生懸命考えてくれていますし、クラブだけではなくみんなで向かっていくことが必要だと思っています。自分の責任から逃げるという意味ではなく、本当にそれくらい、日本が一つになって闘っていかなければいけないと思っています」
(浦和だったら必ず実現できると信じているが?)
西野TD
「浦和がやらなければいけないと思っています」
(2人に質問です。ACLで優勝し、J1リーグでも上位につけていて、いい結果が出ていると思うが、実際のピッチ上のサッカーの内容、コンセプトの実現や求めること、選手のサッカーの理解や上達度のようなところの現状の評価はどうか?ここまではACLに徹してきたと思うが、今後の期待する変化はあるか?)
土田SD
「最初にお話しさせてもらった通り、チームが始動してマチェイ監督が指揮を執り始めてからまだ4ヵ月という段階でACL決勝がありました。マチェイ監督が表現したいサッカーと我々が求めているサッカーにブレはないと思っています。それを表現するにはまだ足りていませんが、チームスタイルを優先することによってACL決勝でどのような結果が出てきたか。5月のこの段階での決勝で結果を出しながら1年かけてチームづくりをしていくと考えたときに、マチェイ監督自身も決勝後のインタビューで答えていましたが、まだまだやることがあり、もっと攻撃的なサッカーを展開していかなければいけない。ハイラインでできるだけ高いところで長い時間、相手陣内で攻撃権を持ったゲームをもっと展開していきたい。ボールを失ったらハイプレスでボールを奪い、またゴールに迫っていくサッカーをもっと展開していきたいと思っています。これからJ1リーグの中でそのような内容の試合を数多くお見せできるようにしていきたいと思っています。これからまだまだ浦和レッズのサッカーは進化、発展していくと期待しています」
西野TD
「理想の姿と現状のギャップはまだあるということは事実です。それは監督やコーチたちと話し、自分たちの課題を共有できていることは当たり前のようで結構難しいですが、それができていることは次への進歩を期待してもらえる状況だと思います。敢えて言うならば、先ほど興梠の活躍の話がありましたが、いい意味でも少し予想を裏切ってくれていますし、逆の見方をしますと、期待していた選手が期待通り活躍できていないということもあります。それは編成上の問題もあるかもしれませんし、選手個人の問題もあるかもしれません。理由はさまざまだと思いますが、そういったところで個々の選手たちにもっともっと頑張ってもらいたいという気持ちもあります」
(2人に質問です。レッズに縁があったりJリーグで実績があったりする監督ではない、日本で実績のない監督を一から選んで連れてきた形だと思うが、それでACLを獲り、J1リーグで上位をうかがえる位置にいる。その点でフットボール本部として深めている自信や現状での手応えはどうか?)
西野TD
「ACLの結果は一つの結果で、もちろんそれは祝福すべきものだし喜ぶべきものですが、何も成し遂げていないとは言わないものの、目標にしているものはまだまだ先にあります。現時点では評価はまだできません。何かを成し遂げたときにしっかりと評価を行いたいと思います」
(土田SDに質問です。GKはACL決勝でも西川周作選手の活躍が目立ったと思うが、一方で鈴木彩艶という素晴らしい選手もいる。GKコーチを務めていた土田SDから見て、2人の関係はどうか?)
「まず西川周作の話をさせていただきますと、ACL決勝での彼は結果をチームにもたらす大きな仕事をしてくれた一人だと思います。周作に関してはACL決勝もそうですが、今シーズンも開幕からゴールマウスを守り、安定した仕事を続けてくれています。彼の存在はチームの中で大きいと認めております。鈴木彩艶が将来性豊かなGKであることはみなさんもご存知の通りです。ポテンシャルの塊ですし、早く試合に出てもっと成長してもらいたいと思っています。そういったところでは贅沢な悩みですが、この2人がいることで安心したチームマネジメントができていることは現実としてあります。今回のタイトルを勝ち得たのは、この2人の存在も大きかったと思いますし、名前は出ませんでしたが、牲川歩見、吉田 舜というGKもいます。この2人もジョアン(ミレッ)GKコーチのもと、日々成長してくれています。そういった意味では、西川と彩艶の2人だけではなく、GKチームで切磋琢磨しながら高いレベルの4人がそろっていますので、安定したチームづくりができる一つの理由になっていると思います」
(西野TDに質問です。ACL優勝で賞金も入ってくると思うが、この後の補強面やクラブハウスなどの環境面への投資など、今後の見通しはあるのか?)
「クラブハウスといったことは自分の立場として希望はあるものの、経営判断がありますので、そこには言及できません。賞金は確かに入ってきますが、シーズン中にも夏のウインドーがありますので、ここに関してはいつもと変わらず、いろいろな可能性があると思っています。今年結果を残すために何ができるかということを考えて、ウインドーをどう活用していくかも考えています。国際舞台で活躍した以上、選手たちの価値も上がっていて、今後は選手を持っていかれるリスクも増えてくると思いますので、そういうところの準備、心づもりもしておかなければいけません。賞金が入るからといって何かを大きく期待されることについては、今の僕の立場では何とも言えません」
(西野TDに質問です。J1リーグ、ACLを通じてセンターバックのアレクサンダー ショルツ選手とマリウス ホイブラーテン選手の活躍が目立っていると思うが、北欧出身選手といった独自路線の補強が成功していると思う。外国人選手の獲得戦略の現時点での評価や他のクラブと違った視点を持てている要因は?)
「北欧路線とよく言われますが、そうした方針がある訳ではありません。広くあまねく情報を拾って、しっかりとクラブの中で精査して、可能性のあるところにオファーしに行って獲りに行くというだけの話です。うまくいっていないところもまだまだたくさんあって、少しずつ進歩している実感はありますが、まだまだやるべきこともたくさんあると思っています。ディフェンスラインに関しては、みなさんが見られている通りだと思いますので、そこはもちろん期待通り、そして期待以上の活躍をしてくれていると評価できますが、外国籍選手の獲得という観点で言うと、まだまだやれることややらなければいけないことは山積みだということが実感としてあります。提携クラブのフェイエノールトやアイントラハト フランクフルト、タイのムアントン ユナイテッドといったところとの積極的な交流、どちらかがお金を払って権利をもらうような一昔前の提携ではなく、しっかりとお互いがお互いを助け合う関係性の構築がうまくまわり始めていますし、これからもいろいろな可能性があると思っています。特に選手のスカウティングに関しては、いろいろな協力のポテンシャルがある分野だと思っていますし、それが今後はチーム力を分けていくポイントになると思いますので、何ができるかということはたくさんありますが、選手獲得に対しても大きな力になっていくと言えると思います」
(土田SDに質問です。年末のFIFAクラブワールドカップには出場予定だったと思うが、その先の新しいフォーマットでの大きなFIFAクラブワールドカップに出場することによって、現在所属している選手もそうだが、これからレッズでプレーしたいと思う選手も増えると思う。その辺りの期待はあるか?)
「これから中長期的な視野でチームをつくっていくときに、このような大会があることを踏まえたチームづくりにおいては、さまざまな努力をしていかなければいけないと思っています。そこばかりに目を向けるのではなく、まず今シーズンの目の前の一試合一試合を大切に、我々が表現したいサッカーを一つずつ見せていくことも大切ですし、先を見据えてうまくバランスを見ながらやっていかなければいけないと思っています」
(西野TDに質問です。ACLでも外国籍枠が広がることに関しての展望はどう描いているか?)
「外国籍枠の選手は国際的な競争力という観点もあると思っています。ACLで勝ってクラブワールドカップで結果を残したいと考えたときには、フル活用しなければ勝てないと思っています。一方で日本人選手にもしっかりと経験してもらい、地元から愛されるチームづくりをするという観点と、ある意味バランスを取らないといけないところだと思っています。Jリーグのレギュレーションが今後どう変わっていくかも非常に重要なポイントになってきますので、自分たちでコントロールできることとできないことがあると思いますが、そういった環境、条件にうまく適応し、活用して国内でも強い、アジアでも世界でも闘えるチームにしていかなければいけないと思っています」
(ACL決勝翌日にジェフユナイテッド千葉とジュビロ磐田の試合を取材した際、レッズでもプレーしていた鈴木大輔選手が「これまでの土台としての一員になれたことがうれしいと同時に、ジェフをそういうステージに上げる支えになっていきたい」と話していて、磐田の山田大記選手も磐田がかつてアジアクラブ選手権で優勝したこともあり、「再びそういう舞台に行きたい」という話をしていた。今回のACL優勝は、そういうおもいをJリーグのいろいろな選手が抱くきっかけになったと思うが、レッズが勝っていくことが大事ではありつつ、日本全体の競争力を上げていくきっかけになったという自負はあるか?)
西野TD
「自負というより、今回は僕自身もACLのアウェイは実質初めてで、決勝もそうでしたが、あのような舞台を経験することがいかにチームと選手を成長させてくれるかということを目の当たりにしたと思っています。大舞台に出続ける、国際舞台に立ち続けることの重要性は今回の決勝の2試合でかなり実感しました。それが先ほど土田SDが言った浦和を背負う責任でもあるし、そのような舞台に立ち続けて日本サッカー界をどんどん引っ張り上げていかなければいけないという責任感を重々感じていますが、自負ということはあまりありません。責任を感じています」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】
【土田尚史SD】
「みなさま、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日、みなさまにAFCチャンピオンズリーグ優勝のご報告ができることを本当にうれしく思っています。今回のタイトルは多くのみなさまのご協力とご支援、そして共に闘ってくださったファン・サポーターのみなさまの力が我々の大きなアドバンテージとなり、獲得することができました。この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。そして、また明日からJリーグが再開します。今まで通りチーム一丸、ワンチームとなってJ1リーグ優勝を目指して頑張ってまいります。引き続きよろしくお願いいたします」
[質疑応答]
(土田SDに質問です。ACLで最多の3度目の優勝となったが、3度目の優勝は今後の浦和レッズにとってどのような価値のあるものとなっていきそうか?)
「この3回目の優勝は、過去2回の経験があってのものだと思います。それと、我々がこの体制になって4年目になるわけですが、ブレずにやってきたこと、時間軸は少しずれたかもしれませんが、方向性は間違っていなかったと思うところもあります。今後も今まで通り、継続したチームづくりをしていけたらと思っています」
(土田SDに質問です。3年計画の成果も含まれていると感じるか?)
「3年目にこのタイトルを、ということを目標にチームづくりしてきて、なかなか結果がついてきませんでしたが、ブレずにやってきた影響もあると思っています」
(西野TDに質問です。マチェイ スコルジャ監督が就任し、新体制になって約4ヵ月間で大きなタイトルを獲得したが、西野TDから見たスコルジャ監督の評価はどうか?)
「ホーム&アウェイの2試合での決着とはいえ、アジアの巨人、アルヒラルに対して対策を立てて、2試合で勝ったことの評価はすごく高いと思います。一方で新しいチームに入り、新しいチームづくりをしながら、同時に成果も求められる厳しい環境の中で、J1リーグに関してもある程度の位置につけながら、両立してもらえていることは、我々の要望通りですし、非常にハードルの高いタスクをこなしてくれている本当に優秀な監督だと思っています」
(土田SDに質問です。過去の浦和レッズに足りなかったことに対して、どのように改革したことがACLのタイトルにつながったと感じているか?)
「このタイトルがその答えかというと全てではないと思っています。このタイトル自体は2021年の天皇杯の結果で出場権を得て、2022年のグループステージと決勝トーナメントを勝ち抜き、今回の決勝で結果が出ました。監督も昨年はリカルド ロドリゲス監督に指揮を執ってもらい、今とは大きく違うメンバーで闘ってきたという経緯があっての今回の結果です。いろいろな力が結集しての結果だと思っています。我々の変化が、今回の結果が出た一番の理由だとは思っていません」
(土田SDに質問です。監督は替わりながらも、大きな意味での継続性は見られるクラブになっていると思うが、その点で大切にしてきたことはどんなことか?)
「我々がこの立場になったときに最初に掲げたコンセプト、それをベースにチームづくりをしてきたというところです」
(西野TDに質問です。スカウティングの評価について、評価基準の導入などいろいろな取り組みがあったと思うが、それらの成果がどうチーム作りに役立っていると感じるか?)
「就任記者会見で発表したスライドをついこの間見たのですが、当時、主観だけに頼らずに客観的にしっかりと科学的に分析をし、そういったデータも活用して、ということを話させてもらっていて、その点に関してはすごく進歩してきていると思っています。それを理解して活用できるコーチングスタッフの存在も含めて、そうした『強化の強化』が大きなテーマでしたし、これからもそうだと思っていますので、その点に関してはあまり表に出てはいないと思いますが、まだまだやるべきことはたくさんありますという前提のもとに、着実に成長していると感じます」
(土田SDに質問です。ACL優勝決定後のピッチで興梠慎三選手と土田SDや西野TDが満面の笑顔で抱き合っていたことが印象的だった。興梠選手も「土田SDや西野TDに復帰を要請してもらえなければここにはいられなかった」と感謝していた。一方で、興梠選手はこれほど多く試合に出られるとは思っておらず、「試合に出られなくてもチームを支えようと思っていたと」言っていたが、土田SDは興梠選手にどういうことを期待して戻ってきてもらったのか?また、ここまでの彼のピッチ内外での働きをどう見ているのか?)
「まず今シーズンの興梠慎三のチーム内での存在感は計り知れなく大きなものになっていると思っています。ピッチ上でもそうですし、ロッカールームの中でもそうです。チーム全体にいい影響を与えてくれる選手の一人です。実は今回、彼に戻ってきてほしいというオファーを出したとき、一つ約束したことがあります。それは、サッカー人生を締め括る場所として浦和レッズにという気持ちでは戻ってきてほしくはないと。とにかくやりきってほしいと。現役の最後の最後、自分の力を出しきってやりきる場所として戻ってきてほしい。そういう気持ちがあるのであれば帰ってきてもらいたいということで合意し、戻ってきてもらった経緯があります。実際に、今シーズンは準備のところからそれを本当にピッチ内外で表現してくれていると思いますし、今回のこの結果にも大きな力を発揮してくれたと思っています」
(西野TDへ質問です。レッズは2007年、2017年にもアジアを制覇しているが、アジアを制覇して、続けてタイトルを獲ることができなかったから足踏みがあったのだと思う。3度目のアジア制覇からさらにJ1リーグ優勝など今季のタイトルを積み重ねていくことができれば、西野TDが言う勝利への飢餓感があるチームになっていくと思う。ここからさらにタイトルを積み重ねていく上で、チームやマチェイ監督に望むこと、あるいは強化の立場からアプローチしたいと思っていることはあるか?)
「ACLを3度優勝したということはもちろん誇らしいことですし、記録としては唯一のクラブと言えるものの、国内でのリーグという観点で言うと、1度しか優勝していないという事実に何ら変わりはありません。ですので、そこが一番必要ですし、積み重ねていかなくてはいけないことだとも思っています。今回の結果は結果で素晴らしいし、喜ぶし、でももう終わったことで、決勝翌日からは、また始まるJ1リーグと残されたタイトル全てに向かって満足せずに貪欲に闘うチームになってもらいたいということがクラブからのチームに対するおもいです。そういった環境をつくっていかなければいけないということも我々の仕事として思いますし、そう考えています」
(2人に質問です。マチェイ監督は規律をとても大事にしていると思うが、選手を縛るような規律ではないと思う。なぜかというと、選手からチームがひとつにまとまったという声が聞かれたり、興梠選手が「監督のために勝ちたい」ということを言っていたりした。そういうところにマチェイ監督の良さがあるのではないか?)
土田SD
「まだ今シーズンが始まって4ヵ月、J1リーグが9試合、(YBC)ルヴァンカップが4試合、ACL決勝が2試合、それだけの数の試合しかこなしていない現状ですが、彼にオファーを出したときに浦和レッズをこういうふうに変えていってほしい、こういうふうに変わっていってくれるだろうという期待感はありました。そのベースには彼のサッカー感があり、それをどうピッチ上に伝えていくかという能力にも長けた監督だと思いますが、何よりハートの良さ、人間性の良さが最初に好感を持った一番の理由です。それと、チームを一つにする、闘うチームをつくる、みんなが同じ絵を描いて同じ方向に進むチームをつくれる、チーム一丸となって闘える、そういったところのマネジメント能力の高さに関して、もちろん期待はしていましたが、一緒に仕事をしていく上で本当に驚かされることがあります。そういったところが現段階で彼に対する評価としてお答えできることです」
西野TD
「土田SDと同じ思いですが、チームコンセプトが3つあり、チームと個と姿勢ということを就任会見で言わせてもらったものは継続でありまして、浦和レッズの監督は本当に難しいことが求められると思っています。姿勢は攻撃的な姿勢、チームのところはチームとしてどんなサッカーをするか、個は浦和レッズにいる選手は日本で一番になる、あるいはなっている選手、個性の塊なので、そういったところをどうチームとしてまとめていくかは本当に難しい作業だと3年間そばで見ていて思いました。そういった意味では、規律と自由のバランスをどう取っていくかが非常に大事な中で、選手の個をしっかりと発揮させることとチームとして機能させること、そこにしっかりと規律を持っていることに関して、まだ4ヵ月なので今の段階での評価という観点で言うと、その点でのバランスとマネジメント力が素晴らしいという見方をしています。勝てないこともあるでしょうし、これからいろいろなことが起こると思います。そうしたときにどのような危機的な対応ができるかということもこれから問われると思いますが、現状では規律と、個性の潜在能力を最大限発揮させるということを両立する方向でやってくれていると感じています」
(土田SDに質問です。マチェイ監督だけではマネジメントは難しく、コーチ陣も重要だと思うが、特に池田伸康コーチがユースの監督からトップチームのコーチになったことが大きいと思う。選手から自然に池田コーチの名前が出てくるのはうまくいっている証だと思うが、池田コーチをトップチームに就任させたことの狙いや評価をどう考えているか?)
「池田コーチもそうですし、他に関わってもらっている指導者の方もそうですが、みんなでいい空気をつくってくれています。コーチングスタッフルームはすごくいい雰囲気です。池田コーチは人の心をつかむ、そして動かすことに長けた指導者だと思っています。今回はマチェイ監督のもと、コーチングスタッフの中でもリーダー的な存在として仕事をしてくれていますが、コーチングスタッフ全員に対しても、監督に対しても、選手に対しても、みんなが仕事をしやすい雰囲気、環境をつくってくれて、本当に感謝しています。そういうことを彼には期待していましたが、期待以上の仕事をしてくれていると思っています」
(2人に質問です。ACL優勝で改めて浦和レッズが進むべき道を感じられたと思うが、どう感じているか?世界と対等に闘うためにはどんなことが必要だと考えているか?)
土田SD
「私は最初の質問に答えさせていただきます。今回のACLの優勝を今のチームが経験したことは今後の戦いにも生きてくると思います。我々がこのチームをつくる上で一番のキーコンセプトにしている、浦和を背負う責任、それを大事にチームづくりを進めてきましたが、今いる選手たちにどれだけ伝わっているのかということは日々、葛藤がありました。今シーズンのJ1リーグが始まってから、埼玉スタジアムにたくさんのファン・サポーターの方々が足を運んでくれています。昨年までとは違う雰囲気で闘うことができています。そういうところで選手にはいろいろなことが伝わっているということは試合を重ねるごとに感じていました。そして今回の決勝、アウェイの地にあれだけたくさんのファン・サポーターの方々が足を運んで、あれだけの素晴らしい応援をしてくださいました。ホームに帰ってきたら、埼スタが満員となり、あれだけの素晴らしい環境をつくってくれました。その中で試合をしたこのチーム、この選手たち、この監督、コーチたちはいろいろなことを感じたと思います。浦和を背負う責任というのはこういうものか、こういうことで表現しなければいけないのではないか、ということを感じ取ってくれたと思っています。ですので、我々がこれから闘っていく上でもベースとなるところに浦和を背負う責任をどう表現していくかということが、明日から始まるJ1リーグやいろいろなところで見られればうれしいです」
西野TD
「世界と対等に闘うためにはどんなことが必要かということですが、今回のACL決勝でアルヒラルと闘った経験から考えていることは、チーム人件費は数倍違うと思っています。2倍や3倍ではなく、数倍の違いがあると思っています。そのチームにホーム&アウェイで勝つことができたということは、先ほど土田SDに言ってもらったように、すごく大きな経験になっていると思います。ただ、環境が変わっていく、サウジアラビアや中東の国はどんどんサッカーに投資していく。ということは個の力はどんどん上がっていくだろうということが見えています。(FIFA)クラブワールドカップでヨーロッパのクラブと対戦できれば、おそらくチーム人件費が20倍、30倍の差があります。そのようなチームと闘い、それに勝ちたいと思ったときに何をしなければいけないのかというと、我々だけではなく、クラブの財政も上げなければいけないとすれば、たくさんの人にスタジアムに来てもらい、たくさんの人に応援してもらいたいですし、レッズの広告料収入は日本一のはずですが、もっとお金を稼いでクラブ自体が成長しなければいけないかもしれません。そういうお金を効率良く無駄なく使って、知恵を使って、ピッチ上でそういった巨人たちを相手に勝たなければいけないというチャレンジだと思っています。できる、できないの話ではなくて、そうしたギャップをどう詰めていくかということを、我々はチームの立場で考えますが、メディアのみなさんやパートナーのみなさん、応援してくれるファン・サポーターのみなさまをどう増やしていくか。Jリーグは一生懸命考えてくれていますし、クラブだけではなくみんなで向かっていくことが必要だと思っています。自分の責任から逃げるという意味ではなく、本当にそれくらい、日本が一つになって闘っていかなければいけないと思っています」
(浦和だったら必ず実現できると信じているが?)
西野TD
「浦和がやらなければいけないと思っています」
(2人に質問です。ACLで優勝し、J1リーグでも上位につけていて、いい結果が出ていると思うが、実際のピッチ上のサッカーの内容、コンセプトの実現や求めること、選手のサッカーの理解や上達度のようなところの現状の評価はどうか?ここまではACLに徹してきたと思うが、今後の期待する変化はあるか?)
土田SD
「最初にお話しさせてもらった通り、チームが始動してマチェイ監督が指揮を執り始めてからまだ4ヵ月という段階でACL決勝がありました。マチェイ監督が表現したいサッカーと我々が求めているサッカーにブレはないと思っています。それを表現するにはまだ足りていませんが、チームスタイルを優先することによってACL決勝でどのような結果が出てきたか。5月のこの段階での決勝で結果を出しながら1年かけてチームづくりをしていくと考えたときに、マチェイ監督自身も決勝後のインタビューで答えていましたが、まだまだやることがあり、もっと攻撃的なサッカーを展開していかなければいけない。ハイラインでできるだけ高いところで長い時間、相手陣内で攻撃権を持ったゲームをもっと展開していきたい。ボールを失ったらハイプレスでボールを奪い、またゴールに迫っていくサッカーをもっと展開していきたいと思っています。これからJ1リーグの中でそのような内容の試合を数多くお見せできるようにしていきたいと思っています。これからまだまだ浦和レッズのサッカーは進化、発展していくと期待しています」
西野TD
「理想の姿と現状のギャップはまだあるということは事実です。それは監督やコーチたちと話し、自分たちの課題を共有できていることは当たり前のようで結構難しいですが、それができていることは次への進歩を期待してもらえる状況だと思います。敢えて言うならば、先ほど興梠の活躍の話がありましたが、いい意味でも少し予想を裏切ってくれていますし、逆の見方をしますと、期待していた選手が期待通り活躍できていないということもあります。それは編成上の問題もあるかもしれませんし、選手個人の問題もあるかもしれません。理由はさまざまだと思いますが、そういったところで個々の選手たちにもっともっと頑張ってもらいたいという気持ちもあります」
(2人に質問です。レッズに縁があったりJリーグで実績があったりする監督ではない、日本で実績のない監督を一から選んで連れてきた形だと思うが、それでACLを獲り、J1リーグで上位をうかがえる位置にいる。その点でフットボール本部として深めている自信や現状での手応えはどうか?)
西野TD
「ACLの結果は一つの結果で、もちろんそれは祝福すべきものだし喜ぶべきものですが、何も成し遂げていないとは言わないものの、目標にしているものはまだまだ先にあります。現時点では評価はまだできません。何かを成し遂げたときにしっかりと評価を行いたいと思います」
(土田SDに質問です。GKはACL決勝でも西川周作選手の活躍が目立ったと思うが、一方で鈴木彩艶という素晴らしい選手もいる。GKコーチを務めていた土田SDから見て、2人の関係はどうか?)
「まず西川周作の話をさせていただきますと、ACL決勝での彼は結果をチームにもたらす大きな仕事をしてくれた一人だと思います。周作に関してはACL決勝もそうですが、今シーズンも開幕からゴールマウスを守り、安定した仕事を続けてくれています。彼の存在はチームの中で大きいと認めております。鈴木彩艶が将来性豊かなGKであることはみなさんもご存知の通りです。ポテンシャルの塊ですし、早く試合に出てもっと成長してもらいたいと思っています。そういったところでは贅沢な悩みですが、この2人がいることで安心したチームマネジメントができていることは現実としてあります。今回のタイトルを勝ち得たのは、この2人の存在も大きかったと思いますし、名前は出ませんでしたが、牲川歩見、吉田 舜というGKもいます。この2人もジョアン(ミレッ)GKコーチのもと、日々成長してくれています。そういった意味では、西川と彩艶の2人だけではなく、GKチームで切磋琢磨しながら高いレベルの4人がそろっていますので、安定したチームづくりができる一つの理由になっていると思います」
(西野TDに質問です。ACL優勝で賞金も入ってくると思うが、この後の補強面やクラブハウスなどの環境面への投資など、今後の見通しはあるのか?)
「クラブハウスといったことは自分の立場として希望はあるものの、経営判断がありますので、そこには言及できません。賞金は確かに入ってきますが、シーズン中にも夏のウインドーがありますので、ここに関してはいつもと変わらず、いろいろな可能性があると思っています。今年結果を残すために何ができるかということを考えて、ウインドーをどう活用していくかも考えています。国際舞台で活躍した以上、選手たちの価値も上がっていて、今後は選手を持っていかれるリスクも増えてくると思いますので、そういうところの準備、心づもりもしておかなければいけません。賞金が入るからといって何かを大きく期待されることについては、今の僕の立場では何とも言えません」
(西野TDに質問です。J1リーグ、ACLを通じてセンターバックのアレクサンダー ショルツ選手とマリウス ホイブラーテン選手の活躍が目立っていると思うが、北欧出身選手といった独自路線の補強が成功していると思う。外国人選手の獲得戦略の現時点での評価や他のクラブと違った視点を持てている要因は?)
「北欧路線とよく言われますが、そうした方針がある訳ではありません。広くあまねく情報を拾って、しっかりとクラブの中で精査して、可能性のあるところにオファーしに行って獲りに行くというだけの話です。うまくいっていないところもまだまだたくさんあって、少しずつ進歩している実感はありますが、まだまだやるべきこともたくさんあると思っています。ディフェンスラインに関しては、みなさんが見られている通りだと思いますので、そこはもちろん期待通り、そして期待以上の活躍をしてくれていると評価できますが、外国籍選手の獲得という観点で言うと、まだまだやれることややらなければいけないことは山積みだということが実感としてあります。提携クラブのフェイエノールトやアイントラハト フランクフルト、タイのムアントン ユナイテッドといったところとの積極的な交流、どちらかがお金を払って権利をもらうような一昔前の提携ではなく、しっかりとお互いがお互いを助け合う関係性の構築がうまくまわり始めていますし、これからもいろいろな可能性があると思っています。特に選手のスカウティングに関しては、いろいろな協力のポテンシャルがある分野だと思っていますし、それが今後はチーム力を分けていくポイントになると思いますので、何ができるかということはたくさんありますが、選手獲得に対しても大きな力になっていくと言えると思います」
(土田SDに質問です。年末のFIFAクラブワールドカップには出場予定だったと思うが、その先の新しいフォーマットでの大きなFIFAクラブワールドカップに出場することによって、現在所属している選手もそうだが、これからレッズでプレーしたいと思う選手も増えると思う。その辺りの期待はあるか?)
「これから中長期的な視野でチームをつくっていくときに、このような大会があることを踏まえたチームづくりにおいては、さまざまな努力をしていかなければいけないと思っています。そこばかりに目を向けるのではなく、まず今シーズンの目の前の一試合一試合を大切に、我々が表現したいサッカーを一つずつ見せていくことも大切ですし、先を見据えてうまくバランスを見ながらやっていかなければいけないと思っています」
(西野TDに質問です。ACLでも外国籍枠が広がることに関しての展望はどう描いているか?)
「外国籍枠の選手は国際的な競争力という観点もあると思っています。ACLで勝ってクラブワールドカップで結果を残したいと考えたときには、フル活用しなければ勝てないと思っています。一方で日本人選手にもしっかりと経験してもらい、地元から愛されるチームづくりをするという観点と、ある意味バランスを取らないといけないところだと思っています。Jリーグのレギュレーションが今後どう変わっていくかも非常に重要なポイントになってきますので、自分たちでコントロールできることとできないことがあると思いますが、そういった環境、条件にうまく適応し、活用して国内でも強い、アジアでも世界でも闘えるチームにしていかなければいけないと思っています」
(ACL決勝翌日にジェフユナイテッド千葉とジュビロ磐田の試合を取材した際、レッズでもプレーしていた鈴木大輔選手が「これまでの土台としての一員になれたことがうれしいと同時に、ジェフをそういうステージに上げる支えになっていきたい」と話していて、磐田の山田大記選手も磐田がかつてアジアクラブ選手権で優勝したこともあり、「再びそういう舞台に行きたい」という話をしていた。今回のACL優勝は、そういうおもいをJリーグのいろいろな選手が抱くきっかけになったと思うが、レッズが勝っていくことが大事ではありつつ、日本全体の競争力を上げていくきっかけになったという自負はあるか?)
西野TD
「自負というより、今回は僕自身もACLのアウェイは実質初めてで、決勝もそうでしたが、あのような舞台を経験することがいかにチームと選手を成長させてくれるかということを目の当たりにしたと思っています。大舞台に出続ける、国際舞台に立ち続けることの重要性は今回の決勝の2試合でかなり実感しました。それが先ほど土田SDが言った浦和を背負う責任でもあるし、そのような舞台に立ち続けて日本サッカー界をどんどん引っ張り上げていかなければいけないという責任感を重々感じていますが、自負ということはあまりありません。責任を感じています」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】