ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2003.8.18 Vol.52

「浦和レッズ シーズン2003を語る会 第2回」ご報告

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第2部

伊東氏:みなさんこんばんは。『週刊サッカーマガジン』という雑誌をつくっています、伊東武彦といいます。
 本来ならば、大野勢太郎さんの麗しき美声で会が進行するところなのに、こんなダミ声で申し訳ないのですが、なんとかこの大役を無事にこなせるようにがんばりたいと思います。代表、ひとつよろしくお願いいたします。
犬飼代表:よろしくお願いいたします。
伊東氏:ちょっと私事ですが、父が三菱系の企業に勤めていた関係で、子供のころから日本リーグの三菱の試合を見る機会が多くて、今では浦和レッズと名前が変わりましたけれども、ここだけの話...ここだけの話にならないとは思いますが...私にとって非常に動向が気になるクラブの1つであるわけです。だからといって紙面で甘くなることはなくて、むしろ厳しく見守ってしまうクラブなわけですね、浦和レッズというのは。もちろん一般論で申しましても、多くの愛すべきサポーターのみなさんに支えられて、Jクラブの理想像にもっとも近いクラブであるとふだんから見ておりますし、そういった意味では、我々にとって非常に貴重な存在でありますし、気になる存在であるといえると思います。きょうは、第2部として、犬飼代表に、ファーストステージを振り返ってもらうという内容で進めていきたいと思います。
 先ほどビデオが流れたときに、ファーストショットがエジムンドで客席から笑い声が漏れたぐらいですから、笑ってすませる話に、半ばなっているという今の状況、それが、まずまずの成績で終えられたということを象徴しているのかなと思います。もちろん、代表にとっては笑い話ではすまないわけですが、そのエジムンド退団のいきさつから整理していただいて、話を進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか?
犬飼代表:ファーストステージでいちばん大きい出来事ですし、強化の目玉の選手がいなくなったということで、ほんとうに大きなミスだったと反省しております。彼と2人で直接話しましたが、ほんとうの理由は彼のホームシック。家族も日本で生活するのがいやだ、もう来ないということで、彼も相当悩んだようですが、どうしてもこれからの人生はブラジルで暮らしたいということで、契約金も全部戻してきました。今はレッズの半分以下の給料でブラジルでプレーするという...彼が言っていることが事実だなと思ったんですが、ホームシックで彼がどうしても帰りたいということで、我々としては納得せざるをえなかった。これが現場に非常に苦労をかける最大の要因だったと思っております。
伊東氏:それは、厳しい言い方になるかもしれませんが、ヴェルディ時代も含めた、事前調査の不足というふうに受け取ってかまわないのでしょうか?
犬飼代表:結果としてそういうことだと思います。
伊東氏:十分に話し合われたうえで退団ということになったと。
犬飼代表:そういうことです。
伊東氏:今年は、エジムンド選手を太い柱に据えてチーム強化を図るというビジョンだったと思うのですが、その柱がいきなり倒れてしまったというなかで、そのエジムンド退団が最大の誤算だったとすれば、うれしい誤算というのはどのあたりだったのでしょうか?
犬飼代表:うれしい誤算は、若い選手が非常に伸びてきてくれたこと。長谷部とか。それに、代表に3人入って、自信をつけてきてくれたのもうれしい誤算。それから、日本人選手の移籍。森GM以下、中村修三くんたちが努力してくれて、都築、山瀬をとってくれた。セカンドステージが見えてきたというのがうれしい出来事ですね。
伊東氏:長谷部選手、山瀬選手あたりは、ポジション的にもエジムンド選手が抜けたことによって逆に出番が増えた、あるいは早まったということがいえると思うんですが、そのあたりは補って余りあるということではないにしろ、いい材料だったと代表は考えていらっしゃるということですか。
犬飼代表:そう考えたいなと思っているのです。
伊東氏:いい面、悪かった面あわせて、学校の成績では中間試験のようなものだと思いますが、正直言って何点ぐらい?
犬飼代表:点数をつけるのは非常に難しいですが、フロントが大きなミスを犯してしまったということで、現場に相当の苦労を強いた。結果として、オフト監督は去年と同じような戦い方から始めなくてはならなかったということがあります。そういうなかで少しずつステップアップして五分以上の成績を残したという意味では、現場はよくやってくれたと思いますけれど、客観的にみると...ここにいるサポーターのみなさんから見ると...なんてつまらないサッカーを今年もやっているんだというところもあったし、レッズは何も変わってないじゃないかというところからスタートしてしまったというところが正直言ってあります。エジムンド中心にチームつくろうと、春の合宿からずっとやってきた。その柱が抜けちゃった、さあこれからどうしようかという環境でスタートした。大きなミスをカバーして、どうやろうかという戦い方、それをオフト監督がやったわけですが、結果が7勝5敗ですか。これはまあまあかなと。現場としてはよくやってくれたと私は思っています。
伊東氏:柱がなくなった家の建て直しという意味では、よくやってくれたということでしょうか?
犬飼代表:ええ。そのうえでこれからどうかということでしょう。
伊東氏:今、「つまらないサッカーをやっている」とか「変わってないじゃないか」という発言がありましたが、そういったサポーターのみなさんの声というのは、代表に直接聞こえてくるものなのですか?
犬飼代表:はい。聞こえてきますし、私自身がそう思いますしね。
伊東氏:つまらないサッカー?
犬飼代表:リスクを犯さずになんとか戦おうというサッカーが身について、これから肉付けしてエジムンドを中心に楽しいサッカーをやっていこうと、オフト監督も考えていたのに、その軸がなくなったわけですから、また同じところからスタートせざるをえない。私はわかるけれども、サポーターの方たちから見るとまた同じことをやっているじゃないかということだったと思うんです。
伊東氏:全体的な印象としてですね。
犬飼代表:はい。オフト監督は言い訳はしませんが、そういうことで戦ってきた。去年よりは今年のファーストステージでは若手が伸びてきたし、ステップアップのペースが速かったかなという感じがしています。
伊東氏:全体的にどうも面白くないという、代表ご自身の意見も含めた、周囲の声があるということですが、当然、いいゲームもあったと思います。代表にとってのベストゲームは、ファーストステージではどの試合だったでしょうか?
犬飼代表:ファーストステージでいちばんよかったゲームはマリノス戦だと思います。優勝したチームに完璧に勝ったのは、それだけの力をもっているからだろうと思います。
伊東氏:ワーストゲームは?
犬飼代表:セレッソですね。もう、何をやってるんだと思いましたね。
伊東氏:ぼくも編集部でテレビを見ていて,前半20分ぐらいで席を離れて、コンビニに弁当を買いにいって、帰ってきたらいったい何が起こったんだろうと。Jリーグ全体でみても、神戸が大分に0−8で負けたのと同じくらいの衝撃というか、驚きだったのですが、その原因、いいゲームがある一方で惨劇に近いようなゲームがあるというのは、どのあたりに問題があるとお考えでしょうか?
犬飼代表:やっぱり...すべて中心選手によるんですが...今のレッズには強烈なリーダーシップやキャプテンシーをもってチームを引っ張るんだという選手...戦いですから、必ず苦しいときがある、そのときに、チームを統率しようという選手が見当たらない。それで、どうしてもできのいい試合と悪い試合が出てきてしまう。そこをもっとステディに戦えるように、そういった若者が出てきてほしい。
伊東氏:それは若者でもいいわけですよね。戦局が読めるリーダーというわけですね。
犬飼代表:はい、そういうリーダーシップをもったプレーヤーですね。
伊東氏:今、代表は見当たらないとおっしゃいましたが、これは自然発生的に生まれてくるものなのか、育てるものなのか、外から連れてこないと今はもう見当たらないよということなのか、どうなんですか?
犬飼代表:3つともあると思います。自然発生的に出てくることもあると思います。それがいちばん望ましいし,出そうな気配もありますが...。
伊東氏:出そうな気配がありますか。あえて外からそういう選手を連れてこなくても、育ってきそうだという感触はおありになる?
犬飼代表:そういうこともありますが、フロントとしてはいっぱい手を打たなければならない。そういう意味で、こんど入ったニキフォロフは、相当のキャプテンシーをもったプレーヤーで、オランダのPSVで2年連続優勝したときのキャプテンを務めた実績もある。チームをきちんと統括するという力をもっているということで、彼のそういう力にも期待しています。それに、今のプレーヤーからもそういう選手が出てきつつある、そんな匂いがしています。
伊東氏:誰あたり?
犬飼代表:う〜ん、言わないほうがいいんじゃないですか。(笑)
伊東氏:本人が嫌がりますか?
犬飼代表:本人の自覚にまかせますけど...。
伊東氏:今、代表のおっしゃったことはよくわかりますが、がみがみ嫌がられるぐらい、ふだんからチームに対して要求する、あるいは間違ったことは間違ったことだと言うリーダーがいれば、ぼく自身が浦和レッズに対して抱いている、ちょっとおとなしい集団というイメージがだいぶ変わってくるということですね。逆に言うと、これ以上の順位にいくためにはそういう存在が必要だということですね。
犬飼代表:ええ、絶対に必要ですね。
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