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ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2004.2.25 Vol.53
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「速く、激しく、けれん味なく」
みなさんの大きな期待に
おこたえしなくてはなりません
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犬飼基昭・浦和レッドダイヤモンズ代表
 みなさん、こんにちは。今シーズンも浦和レッズを応援いただきありがとうございます。
 1月28日、大原でトップチームの練習が開始し、選手たちがグラウンドに出たとき、大勢のサポーターの方々から拍手が起きました。今季はみなさん方から例年以上の期待をいただいていると思います。現場のコーチ、選手たちはそれを肌で感じているようです。私たちは、それにおこたえすべく、フロント、スタッフ、監督・コーチ、選手が一丸となって戦っていきますが、その決意をこの場で述べたいと思います。
2年間で基礎の積み上げできた
 まずトップチームの目指すものは、常に優勝争いをする位置にいることです。これは監督・コーチにも、選手にもはっきりと言っています。そのときの状況で優勝できるか、惜しくも2位になるかはわかりませんが、いつも優勝争いをする位置にいてほしいというのがチームに対する希望です。
 昨年の2ndステージでは、それに近い位置にいられたと思います。終盤のアウェー2試合で、勝ち点が1でも取れていれば、最終節まで優勝争いの一角にいることができた訳で、あれが選手たちにとってもいい経験になったと思います。
 今季は去年よりも選手層を厚くしたのですから、それ以上を目指さなければいけません。我々としてはもちろん優勝そのものを目標にしていますが、みなさんへのお約束としては「常に優勝争いをするチームになる」ということです。
PHOTO どういう試合をお見せするかというと、一口で言えばアグレッシブなサッカーです。ブッフバルト監督とエンゲルスコーチは、「敵のゴールまで一番速い方法で行く」と表現しましたが、非常にわかりやすいと思います。彼らは今のレッズの選手のクオリティを見て、裏づけがあって言っていることなのです。みなさんが見ていて、ドキドキワクワクするサッカーを展開する。もちろん攻められることもありますが、そのときには必死になって守る、身を挺してボールを奪い、また攻撃にいく。そういう試合をしながら、優勝争いをしていく、というのが今季の浦和レッズです。
 ブッフバルト監督には、選手の特長を引き出して伸び伸びと楽しいサッカーをやらせてほしいと思います。
 この2年間、レッズはリスクを極力回避するサッカーでここまでやってきました。その結果、ボールをつなぐということにかけてはだいぶできるようになってきました。しかし今後は、リスクをかけてもアグレッシブなサッカーに転換していかないと、レッズの先はないだろうし、お客さんも満足していただけないだろうと思っています。
 そういうリクエストと、ブッフバルト監督の考えが一致したのです。縦への勝負で相手とファイトする回数をもっともっと増やしたいということです。もちろんリスクが増えるということは失点する可能性も増える訳ですが、リスクが増えることと、リスク管理をどうするかというバランスを取るのが指導者の手腕です。
 縦パスは一番難しいし、勇気がいる。訓練しないと出ない。縦パスを出す、もらうという訓練を徹底的にやる、と言っています。もちろん今のレッズの守備陣の能力の高さが基礎になっているのですが、さらにブッフバルト監督がさらに鍛えてくれるでしょう。
 今季のトップチームに期待するものとして「速く、激しく、けれん味なく」というスローガンを掲げました。けれん味とは「はったり」とか「ごまかし」という意味で、浦和レッズのサッカーは伝統的にそういうものから遠かった訳ですが、今後も無縁であってほしい、と思っています。エンゲルスコーチはこの言葉を知っていて、ブッフバルト監督に説明してくれました。監督も「そうでなければいけない」と言っています。
代表抜きでも戦える力 的確に進んだ選手補強
 今年の過密日程は初めからわかっていたことで、それを戦い抜いて優勝争いするにはどういう補強が必要か、というのを検討してきました。
レッズからは、どの選手がどれくらいの期間抜けるのか、ということです。代表選手が全部はずれたときに、誰が残っていてどのポジションが足りないかを考え、抜ける選手に匹敵する選手を要所要所に配置しなくてはならないので、早くから中村強化担当CMがリストアップしていました。一方で若手の伸びを期待する、ということもありました。
PHOTO そういう点でふり返ると、今季の補強は的確にいったのではないか、と思います。以前から弱いとされていた分野の補強と、代表選手のバックアップという2つの面でです。
 代表選手が抜ける試合があることで、かえって他の選手が非常にモチベーションを高くしています。逆に代表選手たちがポジションを心配するほどです。
 もちろん、少なくない経費も必要とした訳ですが、最大のプライオリテイはトップチームの強化においています。トップチームを魅力あるものにすることに投資をし、大勢の方にスタジアムに来ていただく。その結果、スポンサーにも多くのご協力をいただけることになります。さらにグッズの売り上げや試合の放映権料などが伸びてきます。すべての出発点はトップチームなのです。
 観客数、みなさんにスタジアムへ足を運んでいただく目標を挙げますと、具体的な数字では、リーグ戦15試合のうち埼玉スタジアムで行なう9試合の平均が4万人、駒場スタジアムの6試合の合計が10万人。合計46万人を目論んでいます。ナビスコカップの予選3試合の合計で4万人。合計でホームゲームで年間50万人を考えています。
誇れるクラブハウスが完成 困難を切り開いていく行動を
 トップチームを支える活動のうち、まずハード面は今回のクラブハウスの完成で一段落したと思っています。まだ細かい改良の余地はありますが、選手自身がプライドを持てるクラブハウスができたことにより、精神的な満足感を持つことができるでしょう。設備においても、特に医療、ケア関係がこれまでとは比べ物にならないくらい充実していますから、大きなプラスになります。またクラブが選手に対して約束した環境改善をきちんと実行する、という信頼関係も強まります。サポーターズカフェや観戦スタンドで、サポーターの方々にも、やっと快適な環境で練習を見ていただくことができます。
PHOTO 今年さらに大きく力を入れたいのは、現在サッカー場2面分をお借りしている東京農業大学のグラウンド(荒川河川敷・秋ヶ瀬)約14万8千m2を全面借りられないか、ということです。そこを整備して野球場やテニスコートはそのままにして総合運動場にし、レッズランドのようにできないかと思っています。またLリーグのさいたまレイナスと一緒になることも考えています。河川敷ですからクラブハウスの問題、アクセスの問題はありますが、そこを解決して今年中に何とか実現したいと思っています。大原のクラブハウスにしても、難しいと言われていたものを切り開いてきたのですから、不可能ではないと考えています。
 クラブの中を活性化するために、昨年スタッフを大幅に入れ替えました。新しいスタッフが新しい発想で仕事を進めてきましたが、ここへ来てその成果が上がってきています。試合日の売店や外回りの運営、クラブのホームページ、グッズの品目など、みなさんの目にも留まっていることと思います。一度は不可能と思われたことも、視点を変えてチャレンジすれば実行できることがあるのです。
育成活動をトップに直結 地域への貢献も積極的に
 今季から普及と育成の仕事を分離し、育成は強化と連動することにしました。ハートフルクラブの活動など幅広く外に出ていく普及と、ジュニアユース、ユースの選手を育てていく育成は別のものです。これを両方ともスタッフを増やし、より強化していきます。育成のスタッフは大原のクラブハウスを常駐場所とし、トップチームの指導者との連携を強めていきます。これはブッフバルト監督やエンゲルスコーチの希望でもあります。
PHOTO 普及では現役を引退した土橋、杉山をハートフルクラブのコーチとして契約し、これまでの倍の体制にしました。レッズに貢献してくれた選手たちが、引退してもまたレッズの一員として協力してくれるのは、私たちもうれしいものです。こういう関係は今後も継続して求めていきたいと思います。ハートフル活動を始めた去年、「レッズが地域に何かしてくれた」というお話を初めていただきました。これまで遅れていた分野ですが、今季は東松山、熊谷でのスクールなどエリアも広げ、触れ合う人も去年の倍の2万人にしようと考えています。
 浦和レッズが、ホームタウンの方々から「俺たちのクラブなんだ」と言っていただく関係をもっと強くしていきたい。そのためにはさいたまの人たちが誇りを持てるような、強くて良いトップチームを作らねばなりません。そしてホームタウン出身の下部組織の選手がトップを狙う。またハートフル活動で多くの人たちを相手にする。さいたまには浦和レッズがあって、俺たちとこういうつながりを持っているんだ、という関係にしていきたいと思います。
 今季、シーズンシートを10年間持ち続けてくれた方に、駒場スタジアムへのシャトルバスの乗車券をプレゼントすることにしました。ささやかではありますが、クラブの感謝の気持ちの表われです。ほかの方々へはトップチームの試合でお返しすることにしたいと思います。今後の浦和レッズにぜひご注目ください。
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