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ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2004.2.25 Vol.53
VOICE INDEX
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攻撃のバリエーションを増やし、
一つ上のクオリティへ
〜森 孝慈ゼネラルマネジャーに聞く
2年間で基礎の積み上げできた
★現在のレッズの到達点をどうお考えですか。
 2年間、オフト体制でやってきて、ある程度の成果が上がったという認識は持っています。「オン・ザ・ピッチ」「オフ・ザ・ピッチ」両面でチームを基礎から積み上げていかなければならない、ということでオフトに来てもらったのですが、そういう要請をし、彼も承諾をしてくれてスタートをしました。
PHOTO 実際に基本的なことから鍛えてくれたと思います。当初は選手も「あ、こんなことまで注意されるのか」と思ったでしょう。私としてはもう少し勝ち点が欲しかったな、というところはありますが(注・48点)、1年目より2年目は右肩上がりになっていますし、昨年はナビスコのタイトルを取りました。
 また選手たちが、そういうチーム作りを理解していって、「よし、これで俺たちはどんな相手とぶつかっても戦えるぞ、勝てるぞ」というチーム力と個人の自信がついてきた。そういう成果があったと思います。
 技術的ことでは、ボールをきちんと止めて味方につなぐということから、どこへつなぐという判断が加わり、進歩が見えます。しかし課題としては、「今あそこへ!」という絶好のパスチャンスを見落としていたり、パスを出しても精度が悪かったり、ということがあります。ボールの支配率が相手より高くても、フィニッシュへの扉をこじ開けるというか、シュートチャンスをなかなか作れない。攻めのバリエーションも含めて、もう一つクオリティの高い段階へ進む必要があると思います。
昨季以上、勝ち点60を目指す
★犬飼代表もワクワクするサッカー、ということを言われていますが、その実現に向けた今季の指導体制への期待はどういうものですか。
 2年間で選手も成長してサッカーのベースというものができました。ここからさらに攻守両面でクオリティを上げていく段階に入っています。選手の力はそろっていると思いますから、うまくまとまってチームとして機能することが一番大事なことだと思います。
 オフトが、自分のポジションをしっかりキープしなさい、ということを強く言っていたのに対して、ギドは攻撃的なサッカーを強調しています。では、守備の選手がどういう攻撃参加をするのか、そのときにどういうカバーをするのか。守備は約束事が決めやすいですが、攻撃はバリエーションが豊富ですし、意外性のあるプレーが相手にとっては一番嫌な訳ですから、そういうことを実戦の中で理解していくのが重要で、それが今季の課題になると思います。
PHOTO★そういうチームが進むべき段階と、ブッフバルト新監督のサッカーに対する考え方が一致した、ということですか。
 そうです。監督としてのギドの力は未知数ですが、人間としてのキャラクターは誰もが知っている通り、全力を尽くす男です。選手としての経験をチームに生かして、まとめてくれると思っています。指揮官として経験不足なところはエンゲルスという経験豊富なコーチが補えます。それとギド自身が浦和レッズを本当に好きだということも大きな要因です。アドバイザーのときに、それがよくわかりました。
★この体制は、どれくらいのスパンで見ているのですか。来季も継続してもらうためのノルマのようなものはありますか。
 当然、去年よりいい成績を挙げることを期待していますし、タイトルは何か欲しい。特にリーグのステージはどちらか取ってほしい気持ちがあります。
 ただ、それをノルマにするということまでは今年は言えないと思います。選手がフルシーズンでそろっていればそういうことも言ったかもしれませんが、今年は条件が悪い。しかし来季はそれができるはずで、そういう意味では少なくともあと1年はやってほしいと思っています。
 チームの力を計る物差しはリーグの勝ち点ですから、それが昨年を上回ってほしいですし、できれば年間60点は取ってほしい。それを目指せば優勝も見えてくるはずです。
代表が抜けるリスクをプラスに
★補強はどういう考え方で臨んだのですか。
 左サイドを強くしたいというのが以前からあって、さらにFWもMFもDFも、もう1枚ずつ層を厚くしたい、と思っていました。
★移籍選手について、それぞれ獲得理由、特長などを教えてください。
 梅田は高さもあってポストプレーもできる選手です。押してはいるけれど、なかなか崩しきれないというときに、ああいうヘディングの強い選手が欲しい。攻めのバリエーションを増やしたいということがありました。
 酒井は頑張り屋で、中盤でよく動いてボールに絡み守備もしっかりやるし、チャンスには前に飛び出していく、という運動量の豊富な選手です。実は以前から欲しいと思っていました。
 闘莉王ですが、ゼリッチとの契約が切れますので、DFはどうしても補強する必要がありました。外国人枠は左のMFにあてようと思っていたのです。しかし日本には優秀なセンターバックが多くなく、J1のチームからはなかなか移籍で獲得できないのですが、J2の水戸から広島に戻るかというタイミングであり、日本国籍も取得したということで、昨年の後半はちょくちょく試合を見に水戸に行っていました。強さも高さもあり、長いパスも出せます。
PHOTO アレックスは、清水に7年いて、もう一つ飛躍するために環境を変えたいという気持ちでいたことが大きいです。代表で山田や坪井からレッズのことを聞き、またJリーグで対戦して知っていますから、移籍するならレッズだ、という気持ちになったのだと思います。左サイドのスペシャリストで、FKも蹴る。チャンスも作るし、自分でも点を取る。まさにうちのニーズにぴったりで、彼が取れたので、左の外国人を獲得する必要がなくなりました。
 岡野は、特に3トップにしたときなど右のウインガーとして活躍してくれると思います。キャラクター的にもチームをいい方向に支えてくれ、若い選手たちを励ましてくれるでしょう。神戸としてもまだ契約が1年ありましたし、決して要らない選手ではなかったのですが、本人も選手生活の最後を古巣で送りたいということで、神戸側が決断をしてくれました。
★あえて、さらにどこのポジションが欲しいか挙げていただくと、どこでしょうか。
 DFですね。いまのところトップとして計算できる選手は4人ですが、このうち闘莉王が五輪で抜ける試合がありますから、1人ケガでもすると困ってしまいます。当初、五輪代表が抜けるのは1stステージの開幕2試合だけだったのが、12月の中旬になって、アテネ五輪に出場した場合、2ndステージも開幕3試合重なることになってしまいました。内舘を後ろで使うという道もありますが、できればそうはしたくない。もちろん若い選手が伸びてくれることを期待していますが。
 闘莉王だけでなく、代表8人がスタートからおらず、日本代表は2月19日に帰ってきますが、五輪代表は3月になって2試合終わったところで帰ってくる。それが新しい監督によるチーム作りにどう影響があるかですね。しかし、ギドも「30人全員にチャンスがある。全員が必要なんだ」と言っていますし、実際に出られるチャンスは多い。それがうまくチームの底上げにつながってくれればいいと思います。リスクを逆にプラスにできれば、と期待しています。
下部組織の環境を大きく変える
★今季から下部組織の育成部門を普及部門と切り離して強化部門とつなげましたが。
 ユース、ジュニアユースの課題は、いい選手を育てるためにいい素材をどう集めるか。そしていい素材を集めていい練習環境の中で指導することが必要です。これまでは練習に通える範囲が限界だったのですが、遅ればせながら県外からでも連れてこられるように、下部組織の寮を来年の春には備えたいと思っています。
PHOTO 今のユースは、選手が学校を終えて集まって来て練習を始めるのが5時半とか6時です。それから練習して8時か8時半に終わり、1時間ぐらいかけて家に帰り、夕食を食べて寝る。そういうサイクルで生活していると、本当に力が伸びていくときに十分に鍛えられない恐れがあります。だから高校2年、3年の時期にきちっと鍛えて、練習が終わったら近くに寮があって食事して、早く寝て、というふうにしたい。
 そういう環境にして、次は指導者の手腕にかかってくる訳です。下部組織の指導者は大原のクラブハウスに常駐します。ユースの選手がサテライトの試合に出ることも多くなると思いますが、サテライトリーグが今季は10試合しかないので、試合を定期的に行なうリーグ戦を別に作ろうと動いています。
★レギュラーに生え抜きの選手がだんだん少なくなってくる、という寂しさもありますが。
 まずチームを強くしなくてはいけない。早く「大関・横綱」になる。来年以降は、「大物」獲得のために多くの資金を使うことも難しいでしょうし(笑)、今のレッズは年代的に若い選手が支えているので、あと数年は力を維持できると思います。トップは強く面白い試合をしてお客さんに来ていただき、その間に下から選手を育てます。
★最後に森さん自身の今季の楽しみを聞かせてください。
 昨年より攻撃のバリエーションが増えることは間違いないでしょう。パスをつなぐことからチャンスを増やすことへチームが進んでいくことになるでしょう。サポーターのみなさんもぜひ期待してください。
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