興梠慎三 引退特設サイト

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HISTORY

URAWA

われわれが知らなかったこと

あの興梠慎三が本当に浦和レッズに来る?

前年の暮れ、ネットに流出した移籍のうわさ。
2013年1月初頭、それがクラブから公式発表されたときの反応はさまざまだった。

昨日の敵は今日の友。
実力が試され済みの選手が他チームから移籍してきて、
大きな戦力になってくれることは、阿部勇樹や柏木陽介らの例を出すまでもない。
大歓迎だ。

一方、移籍元の鹿島アントラーズはレッズにとって、
ライバルという綺麗な表現では済まない"天敵"のようなイメージがあるし、
なぜか興梠という選手はそのキャラクターを色濃くまとっていた。

即座に「うちには要らない!」と言い切るサポーターもいた。
だが、そのときの我々は知る由もなかった。

彼が、鹿島時代のゴールよりはるかに多い得点をレッズで挙げることを。
実はミハイロ ペトロヴィッチ監督のサッカーに魅せられてレッズに来たことを。
福田正博を抜いてレッズでの歴代最多得点者になることを。
出場4試合目で個人チャントができるほど早くレッズサポーターに認められることを。
ポストプレーをやらせたら、日本で一番の選手になることを。
ACL日本人最多得点選手になることを。
腓骨骨折から完全回復しないうちに、優勝のかかる試合で出場を監督に直訴することを。
J1歴代二位の得点者になることを。
決勝の第1戦で得点し、第2戦では得点に絡み、レッズ三度目のACL優勝をけん引することを。
前人未到の9年連続二桁ゴールを挙げる選手になることを。
のべ11シーズンもレッズでプレーすることを。
一度は札幌に期限付き移籍するが、翌年戻ってくることを。
レッズで引退することを。

そして「いつかレッズで監督をやり、Jリーグ優勝を果たしたい」と宣言するなんて。

オフィシャル・マッチデー・プログラム(MDP)
清尾 淳

2013

新天地でいきなりサポーターの心をつかんだ新エース

「サポーターに認められるまでは応援してもらえない」そう覚悟しながら、鹿島から『禁断の移籍』をした興梠。その覚悟を力に変え、移籍直後からワントップを見事にこなし、レッズの攻撃のバリエーションを広げた。

その活躍はすぐにサポーターの心をつかみ、3月16日 第3節 アウェイの大分戦で早くも個人チャントが歌われた。興梠本人も「あれは本当にうれしかったし。あれでやってやろうという気持ちが強くなった」と語っている。

「Jリーグ20thアニバーサリーマッチ」と銘打たれた第11節鹿島戦での決勝点は、古巣に別れを告げるゴールとして、第6節湘南戦での移籍初ゴールと並んで印象深い。

そのほかにも試合を決定付けるゴールも多く、Jリーグカップ準決勝第2戦、川崎にアウェイゴールで逆転勝ちする80分の決勝点やACLでの日本人最多得点を伸ばす広州恒大戦のゴールなど数多くのゴールを挙げた。

結果、チーム総得点は昨年47点から66点に跳ね上がり、自らもJリーグで13ゴール、公式戦19ゴールを挙げ年間自己最多を更新。『浦和のエース』と呼ばれるにふさわしい活躍を、移籍初年度から果たす。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
42 / 19
J1リーグ
33 / 13
リーグカップ
4 / 5
天皇杯
0 / 0
ACL
5 / 1
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

-

2013シーズン ゴール集

2013シーズン ゴール集

2013シーズンのゴール一覧はこちら

2014

初めての大ケガで終盤、無念の欠場。リーグ優勝逃す

元日本代表FW李 忠成が加入したことにより、興梠はシャドーでもプレーすることが増えた。
「シャドーは運動量が大事で、守備のプレーも多くなる」と、苦労したが最終的にはチーム最多の12ゴールを記録した。

チームは、失点が前年から激減したこともあって、5月3日、第11節でFC東京に勝ってシーズン初めて首位の座に就くと、クラブ史上2度目のリーグ優勝へ突き進んだ。
しかし10月25日、第30節の鹿島戦で興梠は右腓骨骨折の重傷を負う。プロ10年目で初めての大きなケガだった。興梠は「疲れて足が動かず、相手の足が来たときに受け身を取ることができなかった。本来、骨折するような場面ではなかった」と悔しがった。

11月22日、第32節は2位・G大阪との直接対決。勝てばホームで優勝が決まるとあって、回復途中にあった興梠は、痛みを薬で抑えながら誰もいない早朝にランニングをするなどコンディションを整えて、ミシャ監督に出場を直訴し、ベンチ入りした。

スコアレスで進んだ試合は88分、スキを突かれて先制される。最低でもドローで終わりたいレッズは89分に興梠を投入する。しかし、この試合で負傷個所を悪化させてしまい、残る2試合を欠場することになる。

終盤3試合を1分け2敗で、手が届きそうだったシャーレを逃がす。最も無念だったのは、その3試合で数分間しかプレーできなかった興梠だったかもしれない。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
37 / 14
J1リーグ
31 / 12
リーグカップ
5 / 0
天皇杯
1 / 2
ACL
-
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

-

2014シーズン ゴール集

2014シーズン ゴール集

2014シーズンのゴール一覧はこちら

2015

前半は11試合7得点のハイペース。4年ぶり日本代表にも

2ステージ制が復活した2015年。興梠は前年終盤の右腓骨骨折から順調に回復し、開幕前キャンプの後半からチームに合流。リーグ開幕の湘南戦でチームのシーズン初ゴールを決めたが、練習中のケガのため第4節からリーグ戦6試合(公式戦8試合)を欠場した。約1か月間というレッズ加入後、最も長い欠場期間だった。

しかし復帰戦となったACLグループステージ第6戦のブリスベン・ロアー戦でゴールを挙げると、続くリーグ第11節・仙台戦では2ゴールをマーク。結局、シーズン前半に当たる1stステージでは11試合に出場して7ゴールというハイペースで、ステージ優勝の原動力になる。また梅崎 司や、この年加入したズラタン、武藤雄樹らの新加入選手も得点源として優勝に貢献した。特に武藤は前所属の仙台時代の年間自己最多ゴールに4ゴールを凌ぐ8ゴールを1stステージだけで挙げ、ワントップの興梠と息の合うシャドーとして活躍した。

2005年にプロ入りした興梠にとって、2ステージ制は初めての経験。「チャンピオンシップを獲ったところが年間総合優勝となるので、複雑な気持ち」とモチベーション的に難しい部分があったようだ。
1stステージの優勝に満足せず、年間勝ち点1位を目指して2ndステージ第1節の松本戦でシーズン8ゴール目を挙げたが、その後は約2か月間、得点がなかった。しかし第11節の清水戦から3試合連続ゴールをあげ復活。広島との年間勝ち点1位争いを激しくしたが、最終的にチームは年間勝ち点2位で終わった。

チャンピオンシップでは準決勝でG大阪に敗れリーグ戦は3位に。
興梠は鹿島時代を含めて7年ぶりにリーグ戦で30試合に届かない26試合の出場だったが前年と同じ12点を挙げた。なお、この年のチーム最多得点者は武藤(13点)だった。
またこの年、4年ぶりにハリルホジッチ監督率いる日本代表に招集され、8月の東アジアカップ3試合に出場した。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
34 / 16
J1リーグ
26 / 12
リーグカップ
0 / 0
天皇杯
4 / 3
ACL
2 / 1
FCWC
-
その他
0 / 0
獲得タイトル

J1リーグ1stステージ

2015シーズン ゴール集

2015シーズン ゴール集

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2016

初の"燃え尽き症候群"から復活、J1通算100ゴール達成

レッズは前年、果たせなかったJ1年間勝ち点1位、そして年間優勝を目標に2016年をスタートさせた。興梠は1stステージ17試合で8ゴールを挙げ、ACLグループステージでも2ゴールを挙げてラウンド16出場に貢献したが、そのACLラウンド16進出による試合日先送りがステージ終盤の過密日程を生みチームは3連敗。1stステージ3位でシーズン後半を迎えた。

年間首位・広島との勝ち点6差を逆転すべく、2ndステージは開幕から8戦無敗(7勝1分け)と勢いを増し、興梠も開幕4試合で2ゴールを挙げた。この時点で史上6人目の5年連続2ケタ得点者になった。

第4節を終えると興梠は、リオデジャネイロ五輪に出場するU-23日本代表に、オーバーエイジ枠で参加した。リーグ戦の途中でチームを離れることには逡巡もあったが、チームメートの後押しもあり、自身初めての世界大会に挑戦した。五輪ではPKによる1得点を挙げたがチームは予選リーグ敗退で、興梠は第9節から試合に復帰した。

しかし、そこから絶不調に襲われる。単に点が取れないだけでなく、興梠らしいプレーが全くと言っていいほど見られなかった。後に本人は「あのときは"燃え尽き症候群""に近かったと思う」と語った。初めての経験だった。誰もが「まさか」と思ったが、それだけ初の世界大会に懸ける気持ちが強かった。

興梠は、第12節のFC東京戦で2か月ぶりのゴールを決めると完全に立ち直り、チームが広島や川崎に競り勝ち、年間勝ち点1位の座を獲得するのに貢献した。またFC東京とのYBCルヴァンカップ準決勝第2戦では「生涯初」というハットトリックを決め、決勝進出とその後の優勝に貢献した。

このシーズンはリーグ戦自己最多を更新する14ゴールを挙げ、通算得点は100ゴールに達した。鹿島時代が49ゴール、レッズでは51ゴールだった。チャンピオンシップ決勝では鹿島に敗れたが、実質的なリーグ王者である年間勝ち点1位になったこと、恩師であるミシャ監督にルヴァンカップという初タイトルをもたらしたことは満足だった。

またこの年、12点を挙げた武藤雄樹、10点を挙げた李 忠成とのコンビネーションは抜群で、いつからかこの3人をそれぞれの頭文字を取って「KLM」と呼ぶのが流行した。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
46 / 21
J1リーグ
30 / 14
リーグカップ
5 / 3
天皇杯
1 / 1
ACL
8 / 2
FCWC
-
その他
2 / 1
獲得タイトル

J1リーグ2ndステージ
Jリーグカップ

2016シーズン ゴール集

2016シーズン ゴール集

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2017

ACL初制覇と恩師の解任

どのシーズンも、山があれば谷もある。中でも2017年はレッズ加入後の興梠にとって、最大の山を越えたシーズンであり、気持ちが深い谷に落ちたシーズンでもあった。

山の一つはACL優勝だ。レッズとしては10年ぶり2度目だが、興梠個人で言えば、ビッグタイトルの中で唯一獲得していないものだった。この年加入したばかりのラファエル シルバをうまく生かしながら、ホーム7試合を全勝という快挙の中で達成した。
またリーグ戦ではキャリアハイの20ゴールを挙げた。これで連続二桁ゴールを6年に伸ばした。この年のJ1得点ランク3位で、シーズン前半は16試合出場で12得点という驚異的なペースだったから、もし後半も同じペースで取れていれば得点王に届いていたはずだ。

一方、7月29日、J1第19節で札幌に0-2で敗れた翌日、ミシャ監督が契約解除になった。開幕から第8節までは6勝1分け1敗で首位を走っていたが、第9節で大宮に敗れてから黒星が増えていった。それでもまだ8位と中位より上だったが、過去何度か残留争いを経験しているクラブは早めの手を打った。
2012年、ミシャ監督率いるレッズと対戦し、そのサッカーに惹かれた興梠。翌年レッズに移籍すると、それまで経験していなかった1トップを任され、自身の得点も伸び、チームの攻撃の核になることができた。
自分の世界を広げてくれたその恩師が、成績を理由に解任されたことに大きな責任を感じた。

もう一つの谷は、ACL優勝という栄誉とは裏腹に、リーグ戦が7位で終わったことだ。2014年から3年連続リーグ優勝を最後まで争いながら果たせず、今季こそと気を引き締めて好スタートを切ったのに、自分のレッズ加入後、最低の成績というのは到底満足できなかった。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
47 / 26
J1リーグ
30 / 20
リーグカップ
1 / 1
天皇杯
1 / 0
ACL
12 / 4
FCWC
2 / 0
その他
1 / 1
獲得タイトル

AFCチャンピオンズリーグ
スルガ銀行チャンピオンシップ

個人タイトル

Jリーグベストイレブン

2017シーズン ゴール集

2017シーズン ゴール集

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2018

二桁ゴールは7年連続、J1タイ記録

前年、初めて監督の途中解任を味わった興梠だが、その低迷はまだ続いた。前年の後半、コーチから昇格した堀 孝史監督がそのまま指揮官として臨んだが、リーグ開幕から5試合を2分け3敗の不振で解任になった。
かつて鹿島でJリーグ3連覇を果たしたオズワルド オリヴェイラ氏が後任監督になったが、着任するまでの3週間、大槻 毅・前レッズユース監督が暫定的に指揮を執った。結果として、3人の監督が入れ替わり立ち替わり指導することとなり、選手としては難しいシーズンになった。

チームの目標はACL出場権獲得。リーグ3位以上と天皇杯優勝を目指し、FIFAワールドカップロシア大会による中断期間にトレーニングキャンプを行った。オリヴェイラ監督を熟知している興梠は「また一緒にやれる喜びもあるけど、ミーティングと練習がすごくハードで、またあれをやるのか、と思うと複雑」と語る一方、「9年前より丸くなったかもしれない」と評した。

自身は8月1日、第19節の川崎戦でシーズン10点目を挙げ、J1タイ記録となる7年連続二桁ゴールを達成した。さらに第27節以降5点を挙げてリーグ戦の順位引き上げに貢献。最後は5位まで浮上したが、3位には勝ち点が5足りなかった。オリヴェイラ監督は終盤、連戦となる天皇杯に主力をシフトする割り切った采配で、チームを優勝に導いた。レッズの天皇杯制覇は3回目だが、埼スタでその栄冠を手にしたのは初めてだった。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
42 / 20
J1リーグ
33 / 15
リーグカップ
3 / 4
天皇杯
6 / 1
ACL
-
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

天皇杯

2018シーズン ゴール集

2018シーズン ゴール集

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2019

レッズ歴代最多、8年連続二桁ゴール。ACLは悔しい準優勝

チームは2007年に逃したJリーグとACLの二冠という大きな目標を掲げてスタートしたが、リーグ戦では思うように勝ち点が伸びず、中位が続いた。そして5月26日、J1第13節で広島に敗れるとクラブはオリヴェイラ監督を解任。この年の開幕後、ヘッドコーチから外れた大槻 毅氏を呼び戻す形で後任監督に据えた。3年連続でシーズン途中に指揮官が交代したことになる。

その中で興梠はJリーグ、ACLともに得点を積み上げ、7月6日、Jリーグ第18節のホーム仙台戦、シーズン6ゴール目を挙げた。これはレッズでの通算92点目で、それまで福田正博氏が持っていたチーム歴代J1最多得点記録を更新するものだった。さらに7月31日、第16節の鹿島戦では通算94点目を挙げて、同氏のチーム歴代Jリーグ最多得点記録も更新した。

そして9月1日、第25節の湘南戦でシーズン10点目を挙げ、前人未到の8年連続二桁ゴールを達成した。その後2点を加え、2019シーズンは12得点。レッズでの通算は98点と伸ばし、個人通算は147点となった。

またACLではこのシーズン8点を挙げ、日本人歴代最多得点記録を21点に伸ばした。ラウンド16ではホームの第1戦で韓国の蔚山現代に1-2で敗れ、窮地に追い込まれたが、第2戦のアウェイでは3-0で逆転勝ち。興梠は2ゴールで勝利をけん引し、チームとして12年ぶりに韓国勢に敵地で勝利をあげた。
しかし決勝では、アルヒラル(サウジアラビア)に敗れ、三度目の優勝を逃す。
準決勝まで順調にゴールを決めて勝ってきただけに、第1戦、第2戦とも無得点で敗れたのは興梠にとって屈辱だった。この悔しさが後の原動力にもなった。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
48 / 21
J1リーグ
31 / 12
リーグカップ
2 / 1
天皇杯
0 / 0
ACL
14 / 8
FCWC
-
その他
1 / 0
獲得タイトル

天皇杯

2019シーズン ゴール集

2019シーズン ゴール集

2019シーズンのゴール一覧はこちら

2020

リーグ戦終了近くに10点目!9年連続二桁ゴール達成

2017年から3年連続で監督が途中交代したことについて、クラブは軽視してはいなかった。
2019シーズン終了後、クラブは新しい強化方針を打ち出した。サッカーのスタイルをクラブが定め、それに基づき指導陣や選手補強を行っていくというものだった。
そして「3年計画」を策定した。2020年の目標は、「サッカーコンセプトの浸透」「ACL出場権獲得」「リーグ戦得失点差プラス10点以上」だった。
前年に引き続き指揮を執る大槻監督は開幕前に4週間という異例の長期キャンプを敢行した。この年は7月から東京五輪による中断が予定されており、その前にリーグ戦の3分の2を含む公式戦31試合が組まれていた。連戦も多い中断までの約4か月間をしっかり戦うための準備だった。
興梠はJリーグ開幕の湘南戦でシーズン初ゴールを決めた。J3、J2連続得点王の実績を引っ提げて加入してきたレオナルドとのコンビは、ゴール量産の予感をさせた。

しかし、大槻監督の計画と、2トップへの予感が狂った。YBCルヴァンカップ初戦とJリーグ開幕戦を終えた時点で、新型コロナウィルスのまん延により公式戦が中断。先の見えない状況で、チームも自主練習に切り替えられ、社会が「ステイホーム」生活になっていった。
約4か月半の中断後、組み替えられたリーグ戦とカップ戦が再開したが、当初は観客ゼロの試合、その後も5千人以下という制限。レッズは「最大の武器」を生かせない状況だった。

興梠は再開2試合目の7月8日、アウェイ仙台戦で、レッズでの通算100ゴール目となるシーズン2ゴール目を挙げた。中断を挟んでいたが序盤に得点を重ね、幸先の良い滑り出しに思えた。
しかし第7節 横浜FC戦で負傷すると、そこから4試合を欠場。試合復帰後もなかなかゴールは生まれなかったが、9月9日、第15節 鳥栖戦で約2か月ぶりに得点すると、その後ペースを取り戻す。その後3試合連続ゴールなどもあり、第26節で9ゴール目を挙げ、9年連続二桁ゴールに王手をかけた。

そして最終節の1つ前、Jリーグ2連覇を果たした川崎との第33節、11分に得たPKを慎重に決める。社会がコロナ禍の閉塞状況にあり、チームの成績も芳しくない中、興梠の連続二桁ゴール記録更新はレッズサポーターを少し幸せにした。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
30 / 10
J1リーグ
30 / 10
リーグカップ
0 / 0
天皇杯
-
ACL
-
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

-

2020シーズン ゴール集

2020シーズン ゴール集

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2021

連続二桁ゴールはストップするも、J1ゴールは15年連続に

2021年の興梠は出場時間が激減した。

リカルド ロドリゲス監督が就任し、選手が多く入れ替わった。目立ったのは新加入の中にJ2に籍を置いていた選手が少なくないこと。カテゴリーを問わず、クラブが標榜するサッカー、ロドリゲス監督が掲げるサッカーを理解し、推進しようとする選手たちで、同監督が前年までJ2の徳島を率いていたことから、対戦相手としてそのサッカーを体感していたこと、逆に監督も選手個々の特長を知っていることなどが獲得の背景となった。

そんな中で、自分の得点力をどう生かすか、興梠としても難しいシーズンだった。
リーグ戦では約半数の20試合出場で、そのうち先発は3試合のみ。途中出場の第16節・広島戦、自分が誘発した相手のハンドによるPKを沈めたのがシーズン初、そして唯一のゴールだった。
連続二桁ゴール記録は「9年」で途絶えたが、J1連続得点は「15年」に伸ばした。
またJ1通算ゴールは158点になり、歴代得点ランクで中山雅史氏を抜いて単独3位に浮上。

この年のレッズは夏以降、少しずつ順位を上げ、最終的には6位で終了。ルヴァンカップはベスト4まで進み、前年より成績は向上したが、タイトルには届かなった。
しかし天皇杯では、初戦から3試合連続カテゴリーが下の相手に1-0と苦戦しながら勝ち進み、3年ぶり4度目の優勝。翌年のACL出場権を得た。

また、通算14シーズン在籍し、2012年からはキャプテンとしてチームを支えてきた阿部勇樹がシーズン限りでの引退を表明。宇賀神友弥、槙野智章が契約満了になるなど、レッズの歴史を築いてきた選手たちがチームを離れ、世代交代を意識させられた。
そんな中、ミシャ監督率いる札幌からオファーを受け、1年間の期限付き移籍を決意した。
天皇杯優勝から10日後の12月29日。移籍の発表と共に本人のコメントが掲載されたが、その末尾の「また必ず」というひと言が、移籍を残念がるファン・サポーターの心の支えだった。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
30 / 2
J1リーグ
20 / 1
リーグカップ
7 / 1
天皇杯
3 / 0
ACL
-
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

天皇杯

2021シーズン ゴール集

2021シーズン ゴール集

2021シーズンのゴール一覧はこちら

2023

若い選手に影響を与える振る舞いとACL優勝

2022シーズンの札幌への期限付き移籍は大きな意味があった。
ミシャ監督ともう一度仕事ができただけではない。札幌でもチームの勝利へ全力を尽くす姿勢は変わらず、そのためにヒザの手術にも踏み切った。札幌で挙げた5ゴールのうち4点は手術後に取ったものだ。
その上で、期限付き移籍を決めたときと同じくらい重い決断をして、レッズに復帰した。

戻ってきた興梠は「試合以外の部分で、チームの助けになることをやっていきたい」と語った。それはレッズに帰って来ると決めたときから自分の役割だと覚悟していたと言う。それまで興梠がそういう振る舞いをしたことはあまりなかった。しかし、共に戦ってきた経験のある選手たちがいなくなったからには、残った自分がやる、ということだ。

もちろん試合に出ればゴールを目指す。マチェイ スコルジャ監督の下、アウェイの第6節 柏戦でJ1連続得点を17年に伸ばした。さらにホームの第8節 札幌戦で2点目を決めた。
前年、途中から声出し応援は可能になっていたが、入場制限のないスタジアムで4年ぶりに「浦和のエース」というチャントが響いた。
この年のリーグ戦では4ゴールを挙げ、歴代2位のJ1通算得点を167にしている。

そしてACL決勝。奇しくも2019年決勝では2試合無得点で完敗したアルヒラルが相手。千載一遇のチャンスで雪辱を誓っていた。なにより、興梠の存在は、ACL決勝を戦ったことがない多くの若い選手たちの精神的な拠りどころにもなっていた。

決勝第1戦では先制された後の同点ゴール。第2戦では、相手のオウンゴールを誘い、2試合とも興梠がゴールに絡んだ形で、レッズが三度目のACL制覇を果たした。
ホームの第2戦でファン・サポーターが作った素晴らしい雰囲気について試合後「若い選手は初めてだったと思う。満員近いスタジアムでプレーするのは緊張すると思うが、これが浦和レッズ」と語った。

しかしリーグ戦では、7年ぶりに上位をうかがっていたが、終盤の連敗が響き、4位という悔しい結果に終わった。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
44 / 6
J1リーグ
29 / 4
リーグカップ
5 / 0
天皇杯
2 / 0
ACL
6 / 1
FCWC
1 / 0
その他
1 / 1
獲得タイトル

AFCチャンピオンズリーグ

2023シーズン ゴール集

2023シーズン ゴール集

2023シーズンのゴール一覧はこちら

2024

現役引退を決意、もう一度埼スタに響かせたい歌

若い選手たちに影響を与えるのが自分の役割。興梠は練習では声を出して、取り組みの先頭に立ち、ハードなメニューでも全力を絞り出してこなしている。以前あった「近寄りがたい」イメージは消えた。

一方で、この年も第4節の湘南戦でゴールを決め、J1リーグ18年連続得点、J1通算168得点と記録を伸ばしている。J1通算歴代1位まで、あと23点だが、そこから得点数は動いていない。10月30日時点での最後の出場は6月15日、第18節のC大阪戦だ。

7月31日、ついにその日が来た。
丈夫に生んでくれた母に感謝を込めて、自分の誕生日にシーズン限りでの現役引退を発表したが、それ以降も練習に取り組む姿勢は変わっていない。
もう一度ピッチで輝くことを、最後の責任として自分に課しているのかもしれない。

浦和のエース、行こうぜ慎三

興梠が躍動するたび、あるいはどうしても1点が欲しいとき、ここ12年間で最も数多く聞かれた個人チャントだろう。

この歌をもう一度、埼スタに響かせたいと、多くのファン・サポーターが願っているはずだ。

個人成績 (出場 / 得点)

通算
17 / 1
J1リーグ
15 / 1
リーグカップ
2 / 0
天皇杯
-
ACL
-
FCWC
-
その他
-
獲得タイトル

-

※2024年10月30日時点

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