ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2001.8.10 Vol.44

「浦和レッズシーズン2001を語る会」ご報告

〜3月2日会合から〜

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[大野]
 今日は浦和祭りですけど、この中は祭りじゃない雰囲気でやりたいと思います。前回の3月3日は、中川代表と横山GMと斉藤監督がみなさんに名刺を渡した段階だと思うんです。今日は名刺を渡しません。ふだん考えていることを、どんな素朴なことでも構いませんから、ぶつけていただきたいと思います。

 この席に斉藤監督を、という声もあったんですが、今呼んで、斉藤監督の人柄からしてこういう席に来るとたぶん駄目になると思います。これ以上負けられると困りますから、お呼びしません。シーズンが終わったところで、ということも考えております。

 では早速行きます。前半21試合が終わったところで総括したいと思います。星の上では15勝4敗2分け。この数字について、お一人ずつ分析と感想をお聞きしたいと思います。

[大野]
 今回の練習場の問題は、私はここまでにしておきます。
 横山謙三さん。ブラジル体制になったんですけども、去年まるで空から降ってわいたようにフラビオさんが登場したときには正直言ってびっくりしたんですけど、このフラ ビオさんの登場から今回のブラジル体制を作っていく間、今までヨーロッパかなと思っていたんでサポーターは最初びっくりしたと思うんですが、その辺りはどういうような 勝算があってブラジル体制になったのでしょうか。

[横山]
 監督問題は、実際に8人くらいの候補がいたんですが、南米では8人くらいいて、あとはヨーロッパの候補でした。
 夏場過ぎくらいから、ブラジルの選手が平均的に見るとパフォーマンスが非常に高いということが言えると思うんですね。その証拠にヨーロッパでも、どこのクラブへ行っ てもだいたい1人くらいはブラジルの選手がいるという、そのくらいブラジルの選手のレベルというのは高いと思うんです。そういうブラジルの選手を外国人選手の枠の中で フル活用することでチーム力を上げるという方向を考えておりましたので、そういう選手をうまくコントロールする、さらに日本のサッカーを組み合わせて作り上げていくの に、非常に有望な監督がいる、ということで最終的にチッタ監督におさまった訳です。
 そういうことで、元々は外国人枠にブラジルの選手を使って強化を図っていきたい、というのが狙いだったのです。

[大野]
 指宿合宿を中心にしてここまでやってきた訳ですが、GMから見て今のところブラジル体制がうまくいっているな、と手応えを感じるところはどういうところでしょうか。

[横山]
 攻撃的なポジションが比率的には大きいと思うのですが、良い攻撃をするということでは、やはりボール扱いのうまさというものが必要だということも含めて、非常 に攻撃にパスをたくさん使うというイメージがブラジルのサッカーにはあると思いますけど、それとはまた全然違って、速い攻撃を仕掛けられる能力を持った選手が多い、ということで、今までのレッズの速攻型というものも使えて、なおかつパスも使える、そ ういう攻撃が少しずつ芽生えてきていると思います。

[大野]
 それにはトゥットの存在が大変大きいと思うんですが、去年我々が見ていてどうしようもなく心配だった、最終ラインを中心とした守備なんですが、チッタ監督はまず守備から手を着けていったんですが、不安はありませんか。

[横山]
 ないことはないです。というよりも1年間戦う上でもっとも大事な物は守備だと思います。守備がしっかりしてさえいれば、そうとう勝ちゲームを重ねられると思いますので、そういう面では最初から守備の組織作りをかなり細かいところまで丹念にトレーニングしていると思います。非常に楽しみな部分だと思います。

[大野]
 この最終ラインのメンバーを含めて、もうひとつ。GKは3人なんですが、ルーキーがどう成長するかというのはこちらへ置いといて、安藤と西部なんですが、この2人で1年通していけそうですか。

[横山]
 補強という面では今年は8割方うまくいったかな、と思っているんですが、残りの2割の中にはそういう問題も当然入っていますので、守備力全体の問題として、もう少しやらなくてはならない部分が残っていると思います。

[大野]
 ではGKの補強も、もしかするとどこかであるかもしれない?

[横山]
 そうですね。

[大野]
 外国人じゃないですよね。

[横山]
 ええ。外国人はもう枠がいっぱいですから。

[大野]
 いや、アドリアーノが帰っちゃって、誰かが来るとか、そういうことはないですよね。いやこれは、横山さんがGK出身ですので、GKは日本人でやりたいという強い意志を確認しただけです。

[大野]
 それでは下に降りて、みなさんの質問をお聞きしていきます。

△1
 さきほど中川社長は「今年は優勝を狙う」と言ったんですが、優勝でいいんですよね。優勝を狙うために今年1年間をしっかりやる、ということでいいんですよね。

[中川]
 そうです。監督も選手もやる以上は(優勝を)狙いたいと言っている訳です。だから、できるかできないかという問題はありますけども、とにかく1戦1戦必ず勝っ ていこうという強い決意でみんないますから。札幌かどこかのように、現実的な順位を狙います、という言い方もあると思いますが、目標は高く掲げようということです。

△1
 今まで通り、ということですね。抽象的な社長の意見として、毎年優勝を狙う、
というのと同じでいい訳ですね。いつも抽象的にそう言うじゃないですか。

[中川]
 優勝、というのが抽象的かどうか知りませんが…。

△1
 優勝を「狙う」というのが、抽象的じゃないですか。じゃ、また今年も同じ苦汁をなめるかもしれない。可能性が高いという訳ですね。

[中川]
 リーグ戦の優勝もありますが、できれば何か一つタイトルを取りたい、ということを言ってる訳です。

△2
 ドイツ体制っていったいどうなっちゃったんでしょうか。スタートが南米で失敗して、オジェックである程度成果を残して。ケッペルはありますけども、原さんに任せて日本人でやろうとして、日本人で失敗してJ2に落っこっちゃった訳ですけども。
 このあいだギド・ブッフバルトもトークショーに来てくれて、僕たちサポーターはギド・ブッフバルトに将来監督をやってもらいたいと思っている人も多いんですが、前のベッケンバウアーの件もありますし、ドイツはどうなったのかな、と。フラビオが来て、突然ブラジル体制になっちゃって、僕は場当たり的だな、と。ブラジルで失敗したら横山さんどういうふうに責任を取っていただくのかな、と思うんですが。

[横山]
 ドイツの体制でずっと行こうとは最初から思っていませんでしたし、何もヨーロッパだけがいいということではないと思うんです。
 先程申し上げましたように、ヨーロッパ型とか南米型とかいうことではなしに、パフォーマンスの高い選手を起用するということで、この選手をうまく日本人とかみあわせ るという面で、ブラジルの監督の方がいいということです。いつの時代でもヨーロッパの方がいいとか南米の方がいいとかいうことはいい切れないんじゃないかと思います。

△2
 失敗することを考えちゃいけないと思うんですけど、どうも中川社長も横山さんも僕たちから見ると過去の責任が取りきれていないような気がするんですが、もしブラジル体制で、GK問題もありますけど、その2割の心配が現実になったときにどのように責任を取っていただけるか、教えていただきたいんですけど。

[横山]
 当然、私はクビだと思います。

△3
 先程のお話の中で、J2に落ちて甘かった考えがあったということ。それから去年J2でも新潟にドタキャンにやられたということ。この2つを考えたときに、自分のチームの実力と相手チームの戦術、実力。これらを推し量る、戦力分析というんですか 、これがきちんとできる能力がないんじゃないかと心配しているんですけど、その中で「優勝を狙う」と。どこからこういう言葉が出てくるんだと、ちょっと心配しておりま すんで、お考えを聞きたいんですが。

[横山]
 難しい質問ですが、J2で、少し我々の考えが甘かったためにえらく苦戦をしたということを先程申し上げた訳ですが、やっとの思いで1部に上がって、さあこれか ら1部でどう戦うのかというときに、我々は最初に外国人の選手をブラジル人で固めていこうという決意をした訳です。同時に日本人の選手も補強しまして、いま攻守を考え たときに「守」の方に少し問題があるかな、と思いますが、攻めの面ではかなり高いレベルで戦えるんじゃないかな、と思っております。これがうまくいくかいかないかは、 今度の3月10日のスタートから2〜3試合で、勢いに乗れるかどうかにかかってくると思います。そういう面では、我々は1部で戦える戦力が整っているんじゃないかと思 っています。

[大野]
 今の横山さんのお話をうかがっていますと、昨年は斉藤和夫さんを監督にしたのが失敗だったと言っても過言ではないですかね。今年はブラジル体制で、あれだけの スタッフが乗り込んでいるんですから、結果は優勝だかどうだかわかりませんが、ある程度の期待ができる。昨年はJ2だから斉藤和夫で戦える、と横山さんがお考えになっ ていたのかな、と思うんですが、どうなんでしょう。

[横山]
 もちろん戦えると思っていました。

[大野]
 失敗だった、と。

[横山]
 失敗というか、結果的には上がれた訳ですから。

[大野]
 それは横山さんが監督をやったから上がれたんじゃないですか。

[横山]
 いや、そんなことはないですよ。

[大野]
 いや、事実として残ってるんですから。そうですよね。だから今年はチッタを中心にフラビオがいて、ブラジル体制でやるんで去年とは違うぞ、ということですよね。

[横山]
 もちろん、そうですね。

△4
 埼玉スタジアムで試合をやるときには、駒場スタジアムからバスを出していただきたいので、そのようにバス会社と交渉していただきたいのですが。あのへんはサポー ターも多いので、2〜3回アンケートを取れば、どのくらいバスが必要かわかると思います。

[大野]
 これは運営担当の方に言っておけばいいですね。

△5
 イエスかノーでお答えいただいていいと思うんですが、チッタ監督以下のコーチ陣に戦術や選手起用などすべておまかせしているのですか。

[横山]
 任せています。

△6
 いま「優勝を狙う」ということでお聞きしたいんですが、あちこち予想も出ていますが、僕はどう考えてもジュビロやアントラーズに勝利で上回るという実感が今のところ持てないんですが、横山さんの中で、うちはジュビロやアントラーズやレイソルよりも、ここが優れているというところが、果たして今の段階で見いだしているのかと思 うんですが。

[横山]
 ジュビロやアントラーズよりレッズが優れていると思われるのは攻撃陣だと思います。やや守備陣に不安が残ります。監督も相当守備に力を入れて組織的な守備をや っていると思います。ですからうまく組織が固まって戦えれば、攻撃陣はおそらく今のJリーグのジュビロにも勝るんじゃないかと思ってます。

△7
 2点です。浦和の下部組織から選手が育たないと言われていますが、クラブとしてそれをどうしていこうとしているのか。もう一つは新人選手の獲得について、大学卒 選手が非常に多いと思うんです。浦和は大卒選手が中退を入れて16人います。鹿島や横浜は3人です。日本代表候補45人のうち大卒は2人です。U−20代表候補34人 のうち現役大学生は1人だけです。やっぱり大卒中心の新人獲得をしている中で、浦和が過去5年間とってきた大卒選手で実になっているのは1人もいないと思うんです。そ ういう反省を強化部がちゃんとしてるのか不安です。

[横山]
 まず下部組織の問題ですが、力を入れてやっていない訳ではないのですが、施設の問題がかなり大きいと思いますし、他のクラブでやっていますように推薦をして、 地域を問わず選手を集めて強化をする、というやり方をしているところが多いと思いますが、うちはいま通えるところだけでやっていますんで、そういう意味では埼玉県の小 中高のレベルを全体的に上げていかなければいけないと思います。そういう面では埼玉
県サッカー協会とタイアップして、指導者養成というものを一昨年から始めまして、2003年までを第1期として5年間で指導者養成をして、地域の強化を図っていきたい と考えております。もうしばらく時間がかかるかと思います。クラブの中にも、もっと強化一本に絞った下部組織を考えた方がいいんじゃないかという話も出ています。これ も当然やらなくてはならないことだと思いますが、強化一本という考え方になりますと、大半の子どもたちがそこからはずれていくことになる訳ですが、そういうはずれてい く子どもたちもサッカーにとっては非常に大事なメンバーだと思うんですね。そういう人たちを大事にしていくという考え方をいま採っていますので、強化一本やりという訳 ではありません。そういう面では、枠を広げて強化の部分とサッカーを楽しむ部分とを分けてやっていく時期に来ているんじゃないかと思います。
 それから高校生の獲得が少ないんじゃないかというご質問ですが、結果的に大卒の選手が成長していないということは、その通りだと思います。高校からいい選手を獲得で きないということの理由に、チームが弱いということもあります。それから施設の問題で見劣りをする、ということもあります。プロの世界に入ってくるときに、ここより向 こうの方がいい、ということもあろうかと思います。
 まずは強さの問題が一番です。今年は強くなっていい選手が獲得できれば、と思います。

[大野]
 横山さん、今年は帝京高校出身の田中達也くんが入ってまいりまして、サポーターは大きく彼に期待をしています。どうも1年か2年たつと、みんなと同化してしま って、ただの人になってしまう可能性もなきにしもあらず、というのがチームの体質としてあるんじゃないかと思います。といいますのは、チッタ監督がこぼしていることが 一つあります。「どうして浦和レッズの選手は俺に話しかけてこないんだ」と。「こうやれ、というと素直に70パーセントくらいをやろうとしているが、もしかしたら自分 のやり方に疑問を抱いている選手がいるんじゃないか。なぜ自分に話し掛けてこないんだ」と。この間、井原と西野をつかまえて、「お前らがそれをやってくれ」という話を していたんですが、そのあたりを含めた選手全体の体質の問題もあるんじゃないかと思うんですが。

[横山]
 井原がジュビロにいたときに、若い藤田選手なんかが、毎日練習の中で、「タイトルを取るためにこうしよう、ああしよう」と言ってるというんです。そういう意味 ではレッズの選手はタイトルを取るという意識が薄いんじゃないかということを言っていました。そういう意識を高めていくということを彼はやってくれていると思うんです が、そういう面で、タイトルを取っていないということが一番の問題だと思いますが、タイトルに向かっていく雰囲気作りが非常に大事だと思います。それに監督にいろいろ なことを聞きにいかないということに関しても、私は選手に話したことがあるんですが、監督が何を考えているのかということをもっと話をしないと自分でも理解できないだ ろうし、監督からも要望が出てこないだろうと思うんですね。もっとコミョニケーションを大事にして自分からやらない限りうまくいかないんだ、ということを話したことが あるんですが、いまおっしゃられた通りだろうと思います。

[大野]
 中川社長もときどき「どうも選手は仲良しクラブだからなあ」とおっしゃるとくがあるんですが、私は最近、本当に仲良しなのかなあ、と思います。仲良しなのでは なくて、選手同士があまり言わないからそう見えるだけなんじゃないか、と。

[中川]
 従来、セカンドコーチが監督と選手の間のコミュニケーションを取るべきだと思うので、今年は土田コーチにそういう役割を与えていますので、よく話をしておきます。



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