第2部 シーズン2003のレッズを語る
大野氏:こんばんは。それでは、第2部を進行してまいりたいと思います。いつもとはちょっと形を変えまして、第1部は、新田チーフマネジャーから、現在進められている浦和レッズのプロジェクトのお話を、とり急ぎ伝えてもらいました。のちほど、この第2部の後半で、マイクをもって、私、例によって下に降りていきますので、その辺りの質問がありましたら、どうぞ、ぶつけていただきたいと思います。
さて、後半は今シーズンの浦和レッズの戦い方にスポットを当てるとともに、最後にその部分から、将来の浦和レッズについてどういうふうに犬飼代表が考えているかという、その辺りの展望まで進めていきたいと思います。
それでは、ご紹介いたします。浦和レッズ代表の犬飼さんです。町でよく見かけると思いますが、森ゼネラルマネジャーです。で、オフト監督と通訳の手島さんです。進行はいつものように、私、大野が務めさせていただきます。
この「語る会」も4年目に入りまして、年だいたい2回ぐらいやってまいりますと、回を追うごとにどうしても、シーズン前とシーズン終了後、あるいは途中での、というところになって、セレモニー化してしまいますので、できるかぎりそれを避けて、進めていきたいと思います。のちほどサポーターのみなさんにマイクをお渡しいたしますので、その辺りを含めたところで、活発なご意見、質問を寄せていただくと、少しずつ、また、内容のほうも活発化してくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
それではさっそく、今シーズン、いよいよ、週末の鴨池のナビスコから開幕して、3月22日、アウェーの鹿島戦に乗り込むということでシーズンが始まるわけですが、今シーズンの戦力の分析という一点から、まず始めたいと思います。いつもの年よりも、去年の12月から今年の1月の半ばにかけて、激しく、強化担当の森ゼネラルマネジャー、あるいは中村修三チーフマネジャー、そのほか、スカウトの方々が動きました。で、ルーキーよりも、戦力、即、ということで(即戦力ということで)、獲得した選手たちの名前もすでにみなさんご存知だと思います。エジムンド、あるいは山瀬、都築、そしてルーキーでは、北京ユニバ組みの1年後輩になります小林が入ってまいりました。その辺りを含めたところで、いったいどのように手応えを感じているのか、まず、犬飼代表に伺いたいと思います。100点満点の補強というのは、なかなかありえないことなんですが、社長(代表)としては何点ぐらいの補強だったんでしょうか。
犬飼代表:点数を言うのは難しいんですが、マッチデーの増刊号にも載せさせていただいたんですが、去年のあの戦い方をずっと貫いて、どこを補強しなければならないんだという強烈なメッセージが現場からありましたので、そこの部分を補強して、今年はなんとか、ねらえるように、という意味では、いまのところ70点ぐらいかな、と。
大野氏:30ぐらいはちょっと…
犬飼代表:ちょっと、みなさんもご承知だと思うんですが、バックラインがちょっと足りないなと。ここについては、正直言って、ちょっと失敗した面もあります。継続してやっております。
大野氏:では、その辺りはまたのちほどお伺いします。あ、それと、社長、エジムンド獲得ですね…えー…かなり…オーストラリア、シドニーで合流してから、向こうの練習試合でも胸をわくわくさせるような、そんなプレーが多かったようですね。我々は映像を見ていないし、向こうへ行った方々の話を聞く以外ないんですが、どうだったんでしょうか。
犬飼代表:私も行って、仕上げの試合も見てきたんですけど、久しぶりに、浦和の人が喜んでくれるような、そんなサッカーが見られるんじゃないかなと。非常に発想の豊かなサッカーをやってくれるし、うちの若手が、なんとかついていこうという、そういう努力をしているんで、今年は、「勝つ」ということはもちろんですけど、みなさんがわくわくするようなサッカーがお見せできるんじゃないかと思っています。
大野氏:そうですか。だいぶ財政支出したんじゃないですか。
犬飼代表:いや、(笑)たいしたことはないです。
大野氏:いろいろと、何億だっていう話もあるようですが。
犬飼代表:大丈夫です。
大野氏:いままでは、なかなか、その辺りでお出しにならない方が多かったように思うんですけれども。・・・(?)・・・
森さんです。森さんとしては、今年の補強は、足りない部分も含めて、どうだったんでしょうかね。とくに、ディフェンダーで、かなり積極的に動いて残念ながらとれなかった選手もいたんですが、その辺りを含めてどうでしょうか。
森GM:おっしゃるとおり、ディフェンダーとですね、それから、左サイドのミッドフィルダーといいますかね、そこをほんとうはとりたかったんですけど、残念ながら、よそのクラブにとられてしまったと。そこが、まあ、補強に関してはちょっと足りなかったところで、いま、社長は70点と点をつけましたけど、私も70点ぐらいかなと思っていました。補強に関しては。したがって、この30点を埋めれば、ほんとうに優勝を狙えるチームといいますかね、それが準備できたのになあ、という、そこがちょっと悔いが残っているところですね。
大野氏:これは、オフト監督からの要望がかなり強かったんでしょうか。
森GM:要望というか…昨シーズンからその都度、こういうポジションが足りないね、とか、そういう話は、試合が進む中で話していましたので、要望を受けてとったというよりも、お互いに認識を同じくして、そこを補強しようという考え方で動きましたんで…ただ、結果的にはちょっと足りなかったなというのが現状です。
大野氏:現実にこの選手がほしいと挙げていてもですね、トップの社長が「だめだ、高すぎるから」とかなんとかという話になっちゃうとですね、なかなかとれまんせんよね。そういう意味では、やはり、呼吸が合ったということもあるんですね。
森GM:もちろん、私の立場では、優勝するためにできるだけいい選手を集めていいチームにしていきたい、ということがありますけれども…。当然、いい選手というのはすぐにできるわけじゃなくて、相手のクラブのいい選手をとりたいというのが…、すぐに強くしようと思えば、そうしなきゃいけない。でも、相手のクラブからしたら、絶対に出したくないという選手がこっちはほしいということですから、そこで、そう簡単にはいかないというのが現実ですよね。
大野氏:どうしても、いまはエジムンドが脚光を浴びているんですけど、山瀬くんが札幌から来ましたが、状況としてはどうなんですか。だいぶ回復が急なように、練習を見ていると思うんですけど。昨日の練習も(フリーマン?)でやっていましたが。
森GM:幸いにも、順調に、リハビリの段階から、今はもうボールが蹴れるようになっていて、途中でトラブルがもなくずっと回復基調できていますんでね。ただ、ひざのけがというのは、無理をするとそこでまた再発するという怖さと常に平行して進んでいますんで。本人が「よおし、もう絶対に大丈夫だ。試合に出たい」という状態になるまでは、無理にやらせることはよくないんじゃないかと思います。もちろん我々は早く帰ってほしいんですけど、でも、結果的にはそういう考え方で復帰させたほうが、長い目で見ればプラスになると思います。じっくりと。はい。今シーズン中には、もちろん、復帰しますけど。あわてて早くということはしないほうがいいんじゃないかと思っています。
大野氏:もう一点、この前の「語る会」でサポーターの女性の方から「とにかくGKが足りないんじゃないか」いうリクエストがあったことを覚えていらっしゃるんじゃないかと思うんですが…たぶん、森さんのときじゃなかったかな…ともかくあったんです。2度連続で言われたんです。都築GK獲得の意味というのはどういうところにあるんですか。
森GM:やはり、優勝するためにはですね、11人そろえばいいということじゃなくて、長いシーズンの間にはけが人が出たりとか…そういう意味では、層を厚くしたいというのがね…優勝するためには、交代で出た選手がそんなにレギュラーと差があったんでは、なかなか優勝を狙えるチームではないと。そういう意味で、去年からもっと層を厚くしたいと。で、GKはまさにそうでしたし、今年ぜひ1人、ということで。結果的には、いろいろと候補にあがった中で、最終的に都築選手に来てもらったと。
大野氏:監督、お待ちどうさまでした。去年のシーズンが終わってからここまでのクラブのフロントの補強について、満足しておられますか。
オフト監督:いい感じでやってくださっていると思います。いままでおっしゃっていたように、まだ100%ではありませんけれど、我々に合った…我々のほしいと思うタイプの選手を探しながら、これからいい形での補強ができると思っています。こちらでオファーを出したとしても、選手のほうで選ぶ権利がありますから、何人かの選手は、だから、ほかのクラブを選びました。我々のクラブとして、やはり、高いレベルを目指すならば、ほかのクラブもやはり高いレベルを目指していますから、同じ選手に競合してしまうことだってあるでしょう。だから、うまく、我々の思うようにいかないこともあります。
大野氏:シドニーキャンプを11日間やってみて、ここまで順調に進んでいますか。それと、エジムンドという存在をどういうふうに考えていらっしゃいますか。
オフト監督:……………。シドニーキャンプ? すばらしい。
大野氏:「すばらしい」だけはわかりましたので、その前をお願いします。
オフト監督:エジムンド選手に関しては、来日早々の練習の中でけがをしてしまいましたけれど、けがに関してはもう回復しております。彼にとっては試合のリズムだとか、そういう試合形式での練習がまだまだ必要だと思っていますので、これからナビスコカップも迎えますし、その合間合間に練習試合とか、実際の公式戦とか、その中で整えていくような形になると思います。
大野氏:監督はなかなか選手の個人名は出さないんですけど、きょうはスペシャルということで…エジムンドが入って、長谷部がいいらしいですね。
オフト監督:(通訳を聞きながら、笑)。長谷部選手はほんとうにいい成長の過程を見せてくれていると思っています。若い選手ですから好不調の波が大きかったりしていたわけですが、高いレベルで安定して、これから将来的にいいパフォーマンスを見せてくれるものと期待しています。
大野氏:きょうは非公開で我々も練習を見ることができなかったんですけど、あんまりよくなかったらしいですね。
オフト監督:まあまあ(笑)。キャンプが終わって初めての練習試合だったわけで、暖かいところから寒いところに移ってですね、環境が変わった中できちんとサッカーをやることは、何人かの選手にとっては難しかったのではないかと思います。
大野氏:はい、わかりました。森さん、エメルソンはいつ来るのですか。(場内爆笑&拍手)
森GM:私が…というよりも、監督のオフトがいちばん気をもんでいたというかね。シーズンを迎えるにあたっていい準備をしなきゃいけないと。そういう中で選手が来ないというのは、監督にとっては非常に気の毒なことだし、私も彼にたいへん申し訳ないと思っているんですけど、クラブは何やってるんだ、と言われてもしょうがないと思うんですけど、ま、明日、午前中に到着することに…えー…なりました。(場内疑念の声)…いや、ほんとです。(場内爆笑)
大野氏:じゃ、いま、飛行機に乗っている?
森GM:そうです。ちょうど、いま、リオのカーニバルが行われていまして…
大野氏:ええええ〜〜。
森GM:それで、飛行機が…
大野氏:あ、飛行機が!
森GM:ええ、飛行機が満席なんですよね。
大野氏:そんなこと、前からわかっていることですよね。
森GM:それで、たまたまそういうのにぶつかって、ヨーロッパ経由でですね、明日、ブリティッシュエアで到着します。
大野氏:これはあくまでも冗談ですが…ヨーロッパで降りてそのまま来ないなんてことはないでしょうね。(場内爆笑)
森GM:ううん…乗換えがちょっと心配は心配ですけどね。(また爆笑)ヒースロー空港で。ただ、同じ便に日系のポルトガル語を話す人とか、乗っているらしいんで、まあ、間違いなくちゃんと到着すると…
大野氏:これ、今年に入って4回目ですものね、いつ来るかっていう話もね。
森GM:そうですね。もちろん、彼が来てみてですね、どういう状態なのかということも含めて…なぜ遅くなったのかということも含めて…まあ、あの、代理人から少しは状況は聞いていますけれども、ほんとうの理由といいますかね、そういうものをしっかり本人から聴取しようと思っています。
大野氏:これは監督にきいても、本人が来て事情聴取をしてから、みなさんにお話するということで…監督には振りませんが。社長、これ、いろんな理由があろうかとは思いますが…我々日本人の感覚だったら、仕事を請け負ったら、当然ながらその仕事の最初からみんなの仲間でやっていくんだというのがふつうじゃないですか。私もサラリーマン経験が長かったものですから。これ…なんだかよくわけがわからなくてですね…GMすら、なんだかわからないんですよ、理由が。これはもう、雷でしょ。怒らなきゃいけませんね。…俺が怒ってもしょうがないけど…怒らなきゃいけないですね。
犬飼代表:なんだか、私が怒られているような…
大野氏:あ、どうも…どうもすいません。
犬飼代表:これはもう、帰ってきたらきっちりとやらなければならないと思っています。
大野氏:社長怒ると怖いから怒ってください。お願いします。
さて、犬飼社長にちょうどマイクがいきましたので、先ほどから出ているディフェンダーの補強についてなんですけど、今年はぜひとも1つタイトルをとってもらいたいというのが我々の願いなんですが…それでも、オフト監督に言わせればちょっと後ろのほうがということもあるんですが…。シーズン中にその辺りに手をつけるということも十分に…考えていらっしゃるんでしょうか。INGなんでしょうか。
犬飼代表:ええ。いまもずっと継続して交渉中でして。シーズン中の移籍も踏まえていま進行中です。
大野氏:日本人ですか。
犬飼代表:日本人です。
大野氏:前に出てきた名前の人じゃないですよね。前に出てきて来なかった人じゃないですよね。
犬飼代表:いや、違います。
大野氏:まったく新しい?
犬飼代表:そうです。
大野氏:これは、即使えないとだめですよね。前に川島くんというのが来たんですけど(場内爆笑)、ただいたっていうだけだったんですよ。やはり使える…ほんとにですね…坪井もゼリッチも室井も脅かす存在、あるいは、小林くんはまだルーキーですけど、彼らを超えるような存在じゃないとだめですよね。
犬飼代表:まったくそうだと思います。
大野氏:そういう人ですか。
犬飼代表:ええ。そういうプレーヤーで…。今年の補強というのも優勝を狙うための補強であって、これまでの補強とはレベルを一段変えているわけですね。ですから、こんどのバックラインというのも、オフト監督がほしいと言っているのは、そのレベルの…優勝を狙える選手がほしいと言っているわけです。小林だとか三上だとか、増えてきているのはいいんですが、層が薄いですよね。その一段上の選手をどうしても連れてこないと、安心して優勝が狙えないと。これは継続してやってますよ。
大野氏:え〜〜…監督。
オフト監督:はい。
大野氏:やっぱり、DF面は不安ですか。ゼリッチが向こうで良かったのにけがをしたという話。で、きょうは室井が後半出たらしいんですがまだちょっと痛みがあるという話。そう考えると、DF陣は…優勝を狙えるということからいうと…ちょっと不安でしょうか。
オフト監督:先ほどから話をしているとおりに、そういう補強ポイントについては、クラブのほうで動いてくれていると思っています。もちろん、悪いときは悪いときであるかもしれない、だけどそういうことばかり言っていたならば、良くなるものも悪くなってしまう。悪いことは悪いということを踏まえて、しっかり練習もしなければいけないし、ゲームもそういうことを踏まえて戦わなければならない。とにかく現戦力を鍛えて高いレベルにもっていく努力をしたいと思っています。もちろんのこと、我々はいまいる選手を伸ばさなければならない。名前を挙げれば、坪井、去年途中から成長した平川、いま台頭している長谷部だとか…けがから復帰しかかっている山瀬…そういう選手がいますけれど、それとは別に、やはりディフェンダーの選手は1人必要だと思っています。 |